152 小さくも歴史を感じさせる「Z-1グランプリ」のまち・西予市卯之町
大洲市を発った私は、特急「宇和海」で四国をさらに西へ。
卯之町という小さな町に到着しました。駅舎は現在建て替え工事中です。
卯之町は愛媛県西部の西予市の中心駅。西予市はここ卯之町のような平野部から標高1000mを超える山岳地までを市域として地域ごとにかなり異なる特色のある町です。「旅色」FOCALで市域全域を紹介しています。
さて、駅を降りると早速横断幕が目にはいります。
雑巾がけレース? Z-1グランプリ? いったいなんだこれは。
ちなみに卯之町駅の観光案内にも「Z-1」の文字が。そのZ-1が行われている宇和米博物館に向かいます。
109mの廊下でZ-1レース!宇和米博物館へ
宇和米博物館は町の高台にあります。かつては小学校でしたが麓に移転、使われなくなった建物を米博物館として活用しています。非公開ですが研究施設も併設されています。
かつての教室のうち半分ほどの部屋で米作の歴史やかつて脱穀などをしていた道具を展示していますが、こういった民具の展示は各地域でなされているものと大きく変わりはありません。実は米博物館なのにこの博物館の目玉はほかにあります。
この長―――――い廊下!教室の端から端まで109m。向こうの端の人が米粒に見えます。この長い廊下を使って雑巾がけのタイムレースが行われています。これがZ-1グランプリです。参加費500円で誰でもチャレンジすることができるこのレース。
多くの芸能人の方がチャレンジしています。歴代最速は男子で18.17秒、女子で24.24秒。これって普通に100m走るより速いんじゃ…?
さて、旅の恥は掻き捨て。500円払って苦行にチャレンジします。
スタート地点からゴールが見えない… 家でもロクに雑巾がけなんてしないのにゴールできるのか?
…
……
………
いや、だめだろハァハァ 普通にしんどいやつやんこれ。
運動不足の爺がやってはいかんやつだわハァハァ
腰に来るししばらく立てんくなるわ(# ゚Д゚)
他の方もへろへろになりながらも積極果敢にチャレンジされていました。陸上してた子よりもそうでない子の方が速かったりしておもしろい結果がでてました。案外そういうものなのかもしれないですね。
雑巾がけに疲れたら併設されている奥のカフェで一休みしてください。なお、このカフェの名前も「Loca-cafe」です。
卯之町伝統的建造物群を歩く
米博物館から坂を下りて卯之町の古い街並みを歩きます。ここは2009年に重要伝統的建造物群保存地区に指定された歴史ある建物が数多く残る町。宇和島藩の在郷町(農村部などで城など中心となる施設がなく、商品生産の発展に伴って発生した集落のこと)として発展しました。また、大洲・宇和島両城の中間にあるため宿場としても賑わいを見せた町でした。
歴史ある建物の中でもベンガラ色がひと際目立つこの建物は古民家を改装したバルOTO。ディナーはピザを中心としたイタリアンバルで各地のクラフトビールも楽しめるこの地域の人気店になっているそうです。
中町(なかのちょう)で19世紀より営業している老舗旅館「松屋」。看板横にある過去の宿泊者には若槻礼次郎、浜口雄幸、犬養毅といった総理経験者の名がずらりと並びます。戦前のこの地の繁栄ぶりが窺えます。
四国初の学校、開明学校
重要伝統的建造物群保存地区の一角に建つこの建物。瓦ぶきですが窓はアーチ状に造られてどことなく洋風っぽい雰囲気も漂わせています。ここは開明学校。明治2年に開校した私塾を源流とする四国初の学校です。明治15年にこの建物が建築され平成9年に国の重要文化財に指定されました。
昔の小学校の様子を模した教室もつくられています。ここでは予約をすれば明治時代の授業を実演してくれます。
旧仮名遣いって難しいですね。
箪笥とか算盤って漢字でかけない大人がほとんどじゃないでしょうか。
当時の小学生はレベルが高いです。
敗戦後GHQの指示で黒塗りされた教科書も展示。敗戦が教育にも大きな影を落としたことを肌で感じます。
なお、長野県松本市には旧開智学校がありますが、同じ時代の教育施設の遺構であるため互いに交流を行っているそうです。
実は30年ほど前に卯之町を訪ねたことはありましたが、駅前に少し寄っただけでこんなに歴史のある町だとは何も知らずに宇和島に行ってしまい大変もったいないことをしたなと反省しました。
西予市は卯之町のほかにも、宇和海、四国カルストといった海、山の名所を抱えて見どころがたくさんあります。次は車で訪ねて山海の魅力もたくさん感じたいなと思いました。