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LEICA M11-Pを買いました
西日本に停滞する台風が東京にも大雨をもたらしていた8月の終わり。なんでよりによってそんな日に…と自分でも思いつつLEICA M11-Pを買った。
その後も続く悪天候と暑さに振り回されつつ、1ヶ月半ほど触ってみた雑感を残しておく。
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写真を始めて1年でM型ライカは時期尚早だと言われるかもしれない。
確かに今の自分に相応しいカメラは他にもあるだろうし、ライカに限って言ってもなんでM型なのかとか、色々とツッコミどころはある。
実際、自分でも今年の春くらいまではM型ライカは憧れでありゴールだと思っていて、技術だって望むレベルにはまだ到達していないし、そもそも高価だし、つまり自分の中にも「まだ買わない理由」はいくらでもあった。
ただ、そうやって理由を並べて残りの人生の中で最も若い「今」という機会を逸するのもまた損失なのでは?と考えたので、購入を決意。
少なからず蛮勇だった自覚もありつつ、今のところ後悔は無いです。
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M11-Pはこれからも写真を撮り続けるための理由に加わってくれたと感じる。
やっぱり大きな決断ではあったので(主に価格面で)、回帰不能点を通過したらあとは月を目指すしかないように、買ってしまったらもう撮るしかないんですよね。
シャッターを押せばとりあえず撮れるカメラが存在するのに、AFも無い、手ブレ補正も無い、ファインダーからレンズを通した像も見られないなんて、なんと不便で面倒くさくて面白いのかと笑ってしまう。
たくさん使ってたくさん歩き回って、たくさん美しい写真を撮りたいと改めて思う。
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M11-Pで撮ることの意外な効果として、撮るときの変な焦りが減った。
先に書いたようなAFとか手ブレ補正とか速写に役立つ機能がそもそも無いからか、レンジファインダーを覗くと自分の中に散らばっている様々な機能や意識の粒が「撮る」ことに蝟集していく感覚があって、シャッターを切るべき瞬間に備えてじっと構え続けられるようになった。
実際に写真を見た人からも「落ち着きが出て来た」と指摘されたので、画にも現れているのかもしれない。
個人的にこの1ヶ月半で一番の収穫。
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買ったばかりでアドレナリンどばどば期なのもあってか、先に書いた通り今のところ後悔らしい後悔は無いのだけど、唯一やっちまったなと思うのは、
「買ってからもお金がかかること」
保護カバーやストラップをはじめ、手狭になった防湿庫を買い替えたりもして出費が続いている。
6000万画素ともなればそれなりのスペックの編集機材やソフトが必要になるし、現行のレンズは欲しいと思ってもすぐ買えるような値段じゃない。
加えて故障の際の修理代も数十万かかる場合が多々あると聞いて慄いている。しばらくは貯金に勤しまないとな。
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そういえば歴代のカメラたちには名前を付けている。その方が一層愛着を持てそうだから。
このLEICA M11-Pはドイツ製なので、ドイツ語で『記憶』を意味する『Gedächtnis』と名付けた。『記録』ではなく『記憶』を残すカメラ。
ゲデヒトニス。通称『ゲデちゃん』です。どうぞよろしく。