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高校球児の進路には独立リーグという選択肢がある 〜四国アイランドリーグplusデータレポート(8月14日週号)


はじめに

昨年の甲子園を沸かせた山田空暉(愛媛MP:愛工大名電)のように、高校卒業後にできるだけ早くNPBのドラフトで指名されることを目指し、四国でプレーしている選手も多くいます。

選手の出身高校の所在地は38都道府県に上っており、様々な土地で高校時代を過ごした選手が活躍の場を四国に移しています。

夏の甲子園が真っ盛りのシーズンでもあるので、今回は四国アイランドリーグplusに所属する全選手の出身高校について紐解いてみたいと思います。

記事執筆前提となるリーグでの自分の役割は、下の記事をご覧ください。

四国4県の高校の出身選手は?

四国アイランドリーグplus所属全選手の出身高校(四国)。練習生も含む。年度末年齢は2024年4月1日時点での年齢。

出身校の一覧は高卒で直接入団した選手以外も含めた全選手を掲載しています。

まずは四国出身の選手からみてみましょう。夏の甲子園でベスト8に進出した渡邉裕貴(愛媛MP:三本松)に加え、土居毅人(愛媛MP:宇和島東)平安山陽(徳島IS:松山聖陵)と高校時代に甲子園で登板した投手もリーグに所属しています。

昔から四国四商と言われる「高松商、徳島商、松山商、高知商」のうち、リーグには松山商以外の3校出身の選手が在籍しています。

石田啓介(香川OG:高松商)増田将馬(徳島IS:徳島商)嶋村麟士朗(高知FD:高知商)とそれぞれ地元のチームで主力として活躍しており、ファンからの熱い声援を受けています。

徳島ISの白川恵翔は甲子園通算42勝の古豪・池田出身の在籍4年目で、チームの顔として活躍を続けています。父も愛媛MPでプレーをしていた宇都宮葵星(愛媛MP:松山工)のように、地元出身で2代続けて独立リーグでプレーをしている選手もいます。

九州地区の高校の出身選手は?

四国アイランドリーグplus所属選手の出身高校(九州)。選手は練習生も含む。年度末年齢は2024年4月1日時点での年齢。

現時点で四国の高校出身よりも多いのは九州で、全体で28人となっています。

吉村紘輝(愛媛MP:藤蔭)は夏の甲子園の100回大会の開幕試合で先発登板しました。松井秀喜氏(元巨人、ヤンキースなど)が始球式に登場することが決まっていた状況で、その松井氏の母校である石川の星稜が開幕試合を引き当てた100回大会ですが、星稜の初戦の相手が藤蔭。そして先発したのが吉村でした。

乗田元気(高知FD:鹿児島城西)は中止となった2020年の春のセンバツに出場予定でした。センバツ出場が決まっていた32校を集めて8月に甲子園で行われた交流試合では、2番・遊撃手としてフル出場しています。

2020年は夏の全国高等学校野球選手権大会も中止となったため、プロ野球志望の選手を集めた合同練習会が東日本と西日本を対象に2度行われましたが、山本力聖(香川OG:秀岳館)大城雄一郎(愛媛MP:小林西)は西日本の高校生を集めた練習会に参加しています。

近畿、中国地区の高校の出身選手は?

四国アイランドリーグplus所属選手の出身高校(近畿、中国)。選手は練習生も含む。年度末年齢は2024年4月1日時点での年齢。

四国からの距離が近い近畿地区の高校出身選手は17名、中国地区の出身選手は9名います。

甲子園大会で大きな活躍をした選手は少ないですが、佐々木大和(愛媛MP:盈進)が昨夏の甲子園で登板しています。

古賀覚(愛媛MP:広陵)は2017年の夏に高校3年生ですから、大会新記録の6本塁打を放った中村奨成(広島:広陵)を中心に甲子園準優勝を果たした世代ではありますが、本人は「広陵時代はベンチに入ったことがなかった」と下記noteでコメントしています。

このように、高校時代にはポテンシャルを発揮しきれなかったものの、独立リーグで花開こうとしている選手が近畿、中国地区の高校出身選手には多く見られます。

東海地区の高校の出身選手は?

四国アイランドリーグplus所属選手の出身高校(東海)。選手は練習生も含む。年度末年齢は2024年4月1日時点での年齢。

東海地区からは、冒頭でも紹介した山田空暉だけでなく、杉本幸基(徳島IS:大垣日大)が100回大会の甲子園で登板し、準優勝投手となった吉田輝星(日本ハム:金足農)と3回戦で投げあっています。

甲子園まではあと1歩届かなかったものの、菊田翔友(愛媛MP:享栄)は高校時代から大きく注目されていた投手のひとりです。同じ享栄からは2021年に菊田と同学年の竹山日向がヤクルトからドラフト指名されており、今年の3年生には高校生トップクラスの左腕と評判の東松快征という後輩もいるだけに、NPB入りへの意気込みは強いものでしょう。

また、東海地区は釜谷竜哉(高知FD:栄徳)池戸昇太(徳島IS:美濃加茂)馬渕歩空(愛媛MP:帝京大可児)のように、地元の高校を卒業後に愛知大学野球連盟の大学に進み、その後四国で各チームの主戦クラスを任されるケースも多く見られます。

関東甲信越の高校の出身選手は?

四国アイランドリーグplus所属選手の出身高校(関東甲信越)。選手は練習生も含む。年度末年齢は2024年4月1日時点での年齢。

リーグ唯一の甲子園優勝投手がコーチ兼任の正田樹(愛媛MP:桐生第一)です。在籍10年目の今年は8/14時点で6試合26イニングを投げています。

森本玲委也(高知FD:土浦日大)は1番・中堅手で夏の甲子園に出場しており、平間凜太郎(高知FD:山梨学院大付)は控え投手として甲子園のベンチ入り経験があります。

関東甲信越では東京の高校出身者が8名と最も多く、山崎正義(徳島IS:紅葉川)野里慶士郎(高知FD:足立西)泊広哉(愛媛MP:江戸川)のような都立高校出身の選手も目立ちます。

また、東大から独立リーグに進んだ高橋佑太郎(高知FD:私武蔵)、北信越からは竹石寛(徳島IS:新潟)宮澤太成(徳島IS:長野)など、その地区でも有数の進学校出身の選手も見られます。

北海道、東北の高校の出身選手は?

四国アイランドリーグplus所属選手の出身高校(北海道、東北)。選手は練習生も含む。年度末年齢は2024年4月1日時点での年齢。

最後に北海道と東北地区ですが、距離が遠い影響か、この両地区から四国に進む選手はそれほど多くはないようです。

8/14時点でリーグトップの防御率を誇る若松尚輝(高知FD:札幌第一)は高校時代春の北海道大会で優勝していますが、その時の背番号は7と投手がメインではなかったようです。

190cmを超える大型遊撃手の山保健太郎(高知FD:旭川明成)などもこの地区出身であり、晩成型の選手が多いかもしれません。

なお、平尾蒼凱(徳島IS:明桜)は2020年の秋田県の独自大会で優勝しており、この年に甲子園大会があれば出場していた選手です。このときの明桜にはルートインBCリーグ埼玉の主戦格である長尾光もいて、甲子園でも上位進出を狙える力があったと思われます。

平尾は2年前の下記のnoteで甲子園出場が決まった後輩へのメッセージを送っていました。

以上、四国アイランドリーグplusの選手を出身高校の地区ごとに紹介しました。

日本の高校以外の出身選手としては、ロドルフォ・マルティネスシンクレア・ジョセフ・孝ノ助張賢眞サンフォ・ラシィナヤセル・ペレス・アコスタもおり、8/14時点では合計137名の選手が四国のリーグを盛り上げています。

高校球児の進路には独立リーグという選択肢がある

高校卒業後に独立リーグに所属し、高卒1年目でNPBのドラフト会議で指名された選手としては今年のWBCでも活躍した阪神の湯浅京己が代表的でしょう。

高校卒業後、NPBのドラフト会議に指名されるのは大学進学だと4年後、社会人だと3年後になりますが、特に指名解禁に関する縛りがなく、高卒1年目の選手でもNPBの球団から指名される可能性のある独立リーグは近年、高校球児の次の進路の選択肢となっています。

独立リーグというと、高校時代に全国区になっていない選手が多い印象だと思いますが、今回紹介したように、山田に限らず高校時代から注目されていた選手が大学や社会人にはない利点を活かそうと四国でプレーしています

多くの高校球児は進路に頭を悩ませる時期だと思いますが、独立リーグへの挑戦もぜひNPBを目指す選択肢のひとつとして検討してもらえると良いかと思います。

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