2024年の「NPB」「IPBL JAPAN」加盟球団まとめ 〜四国アイランドリーグplusデータレポート(2月26日週号)
はじめに
2月も終盤となり、日本野球機構(Nippon Professional Baseball Organization:NPB)だけでなく、日本独立リーグ野球機構(The Japan Association of Independent Professional Baseball League:IPBL JAPAN)加盟の各リーグでも練習試合が始まり、公式戦も3月半ばから続々とスタートします。
2024年はNPBのファーム・リーグに新規参入球団があり、各球団とリーグの関係が複雑になっています。そこで今回は2024年の「NPB」「IPBL JAPAN」加盟のリーグや球団を紹介します。
海外の方にも読んでいただきたい内容のため、今回は自動翻訳して日本語圏以外の方にも理解しやすい文章を意識して書いています。
※日本独立リーグ野球機構をいままでは「IPBL」と略していましたが、今回は「IPBL JAPAN」と記しています。
※これまでの自分の活動内容はこちらのリンクにあるマガジンをご参照ください。
2024年NPBの加盟球団
まずはNPBの加盟球団です。NPBにはトップカテゴリとしてセントラル・リーグとパシフィック・リーグという2つのリーグがあり、各6球団が所属しています。10月に行われる両リーグのプレーオフ(クライマックスシリーズ)の勝者は日本シリーズに進出し、日本シリーズでは先に4勝したチームが日本一の栄冠を勝ち取ります。
セントラルとパシフィックの所属球団は2023年と変わっていません。その一覧は下記の通りです。
セントラル・リーグ(6チーム)
・阪神タイガース(2023年リーグ1位、日本シリーズ制覇)
・広島東洋カープ(2023年リーグ2位)
・横浜DeNAベイスターズ(2023年リーグ3位)
・読売ジャイアンツ(2023年リーグ4位)
・東京ヤクルトスワローズ(2023年リーグ5位)
・中日ドラゴンズ(2023年リーグ6位)
パシフィック・リーグ(6チーム)
・オリックス・バファローズ(2023年リーグ1位)
・千葉ロッテマリーンズ(2023年リーグ2位)
・福岡ソフトバンクホークス(2023年リーグ3位)
・東北楽天ゴールデンイーグルス(2023年リーグ4位)
・埼玉西武ライオンズ(2023年リーグ5位)
・北海道日本ハムファイターズ(2023年リーグ6位)
ファーム・リーグ(14チーム)
また、NPBには12球団の二軍(セカンドチーム)の選手が試合を行うファーム・リーグが2つ存在します。ファーム・リーグでは年間通して公式戦が140試合程度行われ、トップチームへ昇格するための選抜や選手育成のための場となっています。東日本と西日本にそれぞれ存在するため、2つのファーム・リーグの名前はイースタン・リーグとウエスタン・リーグです。
2023年まではイースタン・リーグに「ファイターズ、イーグルス、ライオンズ、マリーンズ、ジャイアンツ、スワローズ、ベイスターズ」の7チーム、ウエスタン・リーグに「ドラゴンズ、タイガース、バファローズ、カープ、ホークス」の5チームが所属していました。
ところが、2024年にファーム・リーグの球団の拡張が行われ、イースタン・リーグに「オイシックス新潟アルビレックスBC」、ウエスタン・リーグに「くふうハヤテベンチャーズ静岡」が参入しました。これにより、2024年のシーズンはイースタン8チーム、ウエスタン6チームで戦うことになります。
「オイシックス新潟アルビレックスBC」と「くふうハヤテベンチャーズ静岡」はNPBのトップカテゴリであるセントラル・リーグ、パシフィック・リーグには所属しておらず、あくまでもファーム・リーグのみの参加となります。
このため過去にセントラル、パシフィックの12球団に所属したことのないアルビレックスとベンチャーズの選手は、たとえ今季ファーム・リーグで好成績を残しても、トップカテゴリのチームに昇格、および移籍はできません。秋に行われるNPBの新人選手選択会議(ドラフト会議)で指名があれば、翌シーズンからトップカテゴリの試合に出場できる可能性が出てきます。
なお、過去にセントラル、パシフィック各リーグに所属する12球団の所属歴がある選手の場合は、7月末の移籍期限までならセントラル、パシフィック各リーグに所属する12球団へ移籍することも可能です。
2024年IPBL JAPANの加盟球団
独立リーグであるIPBL JAPANの加盟リーグは5リーグ、22チーム(うち2チームは準加盟)あります。その詳細は下記の通りです。
四国アイランドリーグplus:IBLJ(4チーム)
・愛媛マンダリンパイレーツ
・香川オリーブガイナーズ
・高知ファイティングドッグス
・徳島インディゴソックス
IBLJは今年で20周年を迎える日本で最も歴史の長い独立リーグです。公式戦ではこの4チーム同士の試合の他に福岡ソフトバンクホークスの三軍(サードチーム)との交流戦が各チーム8試合ずつ行われています。IBLJの各球団はホークスのサードチームとの試合で2022年は13勝15敗4分とほぼ互角でしたが、2023年は8勝18敗8分と負け越しており、リーグのレベルはNPB各球団のサードチームにやや劣る程度と考えられます。
ただし、平均年齢が約23歳と他のリーグに比べても若く、潜在能力の高い選手が多く在籍していることもあり、2023年のNPBドラフト会議では独立リーグで最も多い9名が指名されました。中でも、徳島インディゴソックスは6名の指名があり、11年連続でNPBの球団に選手を送り出しています。
ルートインBCリーグ:BCL(7+準加盟1チーム)
・福島レッドホープス
・群馬ダイヤモンドペガサス
・信濃グランセローズ
・茨城アストロプラネッツ
・栃木ゴールデンブレーブス
・埼玉武蔵ヒートベアーズ
・神奈川フューチャードリームス
・山梨ファイアーウィンズ(準加盟)
2024年からNPBのファーム・リーグに参加した「オイシックス新潟アルビレックスBC」が昨年まで在籍していたリーグです。準加盟のファイアーウィンズを除き今年は基本的に7チームで公式戦が行われます。2023年はBCLの中で北地区、南地区とさらにリーグを分けていましたが、2024年は地区分けはなく、1リーグでの開催となります。
BCLもIBLJのようにNPBの球団との交流戦を行っています。ジャイアンツ、ベイスターズ、ライオンズ、ホークスのファームチームとの試合が行われており、2023年の戦績は19勝23敗6分とほぼ互角の結果でした。
IBLJよりは過去にNPBの球団に所属していた経歴を持つ選手が多く在籍しており、NPB各球団のサードチームと同程度のレベルだと感じます。
NPB各球団へも多く選手を輩出しており、2023年のNPBドラフト会議では8名が指名されました。
ヤマエグループ九州アジアリーグ:KAL(4+準加盟1チーム)
・宮崎サンシャインズ
・火の国サラマンダーズ
・大分B-リングス
・北九州下関フェニックス
・佐賀インドネシアドリームズ(準加盟)
2021年からIPBL JAPANに加盟した新しいリーグで、所属する火の国サラマンダーズはIPBL JAPANの年間No.1決定戦であるグランドチャンピオンシップを2年連続で制しており、勢いのあるリーグでもあります。
今年は準加盟としてインドネシアの選手を中心に構成される佐賀インドネシアドリームズが創設されるなど、九州アジアリーグの名前の通りアジアの国と連携した新しい取り組みも行われています。
2023年のNPBドラフト会議では2名が指名されています。
北海道フロンティアリーグ:HFL(3チーム)
・石狩レッドフェニックス
・美唄ブラックダイヤモンズ
・KAMIKAWA・士別サムライブレイズ
こちらも2022年からIPBLに加盟した新しいリーグです。2022年はグランドチャンピオンシップに進出したサムライブレイズがKALの火の国サラマンダーズ、IBLJの高知ファイティングドッグスを相手に2試合で1得点39失点と、大きなレベルの差がありました。NPBの球団にドラフト会議で指名された選手はまだおらず、他の独立リーグと比べるとややレベルに開きがあると思われます。
ただし、2023年のグランドチャンピオンシップに進出したレッドフェニックスはIBLJの愛媛マンダリンパイレーツに1-4と善戦するなど、少しずつレベルが上がっています。2023年は士別で行われた開幕戦で過去最多の1125人の観客を集めるなど認知度も上がってきています。
日本海リーグ:NLB(2チーム)
・石川ミリオンスターズ
・富山GRNサンダーバーズ
2023年から新しくIPBLに加盟した日本海リーグですが、所属する2チームのは長い歴史を持っています。2チームとも2007年シーズンからBCLに参画しており、このうちミリオンスターズはBCLの初代王者でもあります。
現在は日本海リーグとして2チームでリーグ戦を行っており、2023年はサンダーバーズが優勝してグランドチャンピオンシップに進出しました。NPBのドラフト会議では大谷輝龍投手がマリーンズからドラフト2位指名という高い評価を受けるなど、リーグから3名の指名がありました。
2024年時点での各リーグのプレーレベルを区分する
ここまで整理したNPBとIPBLに加盟するリーグ、チームについて、各リーグのおおよそのプレーのレベルを区分してまとめてみます。
NPBファーム・リーグに新規参入した2球団や、ヤマエグループ九州アジアリーグで2023年から参入し勝率.147だった宮崎サンシャインズなど、同じカテゴリに分類した中でもまだ体制が整いきっていない球団はありますが、大まかに分けると上記のような区分になるかと思います。
この他にも、IPBLに所属していない独立リーグとしてさわかみ関西独立リーグ(和歌山ウェイブス、堺シュライクス、大阪ゼロロクブルズ、兵庫ブレイバーズ、淡路島ウォリアーズ、姫路イーグレッターズの6チーム)と北海道ベースボールリーグ(富良野ブルーリッジ、旭川ビースターズ)がありますが、ここ5年でNPBへ選手を輩出した実績はなく、大きなくくりとしては「カテゴリ4」のレベルと考えられます。
2023年にNPBドラフト会議で1名の指名があった千葉スカイセイラーズは2024年はどの独立リーグにも所属しないチームとなりますが、4月5日には西武ライオンズとの練習試合が組まれているなどNPB球団との交流戦はあり「カテゴリ3」のレベルとして捉えて良いかもしれません。
ファーム・リーグの拡張によって生まれる議論
以上、NPBとIPBL、その他の独立リーグについて2024年の体制とプレーのレベルの整理を試みました。
2024年はNPBのファーム・リーグの拡張という構造変革が起きた年であり、この出来事が今後NPB、IPBLにどのような影響を及ぼすか注目しています。
例えば今年のファーム・リーグで仮にNPBのトップカテゴリに昇格する資格のない選手が圧倒的な成績を残した場合、シーズン中にトップカテゴリのチームに移籍できないことに対してファンから「もったいない」という感情が生まれるはずです。
その際にどのような議論がなされ、新たなプロ野球の制度が生まれるのか。
より競争力が高く魅力のあるプロ野球を創り続けるために、今後NPBやNPB加盟の12球団、NPBファーム・リーグの新規参入球団、IPBL JAPANやその加盟リーグ、チームには事業発展や普及だけでなく競技力向上に関する制度設計のための連携も求められてくると思います。
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