徳島ISの白川恵翔が期限付き移籍先の韓国プロ野球(KBO)で初先発初勝利! 〜IPBLデータレポート(5月27日週号)
SSGランダースに期限付き移籍をした徳島ISの白川恵翔が6/1のキウム戦で初先発
個人的に、5月末にSSGランダースなどいくつかの韓国プロ野球(KBO)の試合を見てきました。
サムネイルの写真はSSGランダースの本拠地、韓国の仁川SSGランダースフィールドで食べたトッポギです。たしか5000ウォンちょっとだったかなと思います。美味しくてリーズナブルでした。
この予定は2月頃から立てており、個人的にKBOの球団の関係者を訪ねる予定を組んでいたものです。
すると、韓国へ向かう直前のタイミングでまさか「徳島ISの白川恵翔がSSGへ期限付き移籍」というニュースが飛び込んできました。自分は全くこの件は知らなかったので、すごいタイミングでの話でした。
移籍の経緯や契約内容については室井昌也さんの記事をご覧ください。
SSGランダースの公式インスタグラムによる白川の本拠地ブルペンでの投球練習の様子はこちらです。
そして白川は今日、6月1日のキウム戦で先発登板を果たし、5回を投げ無失点で勝利投手となりました。
・白川登板試合の速報
徳島ISが圧倒的な強さを見せて前期優勝!という四国アイランドリーグplusのニュースがある日でもあるのですが、今回はせっかくのタイミングなので、その徳島ISの大黒柱として活躍してきた白川の今季の成績と、先週自分が訪ねたKBOの現地の様子、そして白川の今日の登板の様子を紹介したいと思います。
※記事執筆前提となるリーグでの自分の役割は、次の記事をご覧ください。今年はIPBL(日本独立リーグ野球機構)全体のデータ活用もみているため、タイトルを昨年度から変更しています。
白川恵翔の四国での投球成績詳細
白川はSSGのインスタグラムでも紹介されているように、ダイナミックなフォームから投じられる最速154キロの速球が魅力です。
実際に今季の投球割合を見ても、6割以上がストレートとなっており、直球を軸とする投球スタイルになっています。
ただ、白川はスライダー、カーブ、フォークなどひと通りの変化球は操っており、どの球も6割程度のストライク率と実戦で使える球種です。
特に、スライダー(スイーパーの曲がりのものも含む)の奪空振り率を見ると、100球以上の投球数がある中ではトップの数字を残していました。
白川はストレートだけでなく、様々な球種を操れる器用さも持っており、この能力がKBOでどのように発揮されるか注目しています。
トラッキングデータはないため詳細は映像からの推測になるのですが、白川は工夫次第でカーブ、スライダー、スイーパー、カットボールという様々な曲がる系の変化球を投げられるタイプだと思っています。前田健太(デトロイト・タイガース)のように様々な変化量のスライダーを投げる姿や、MLBでもトレンドとしてみられるスイーパーとジャイロ回転のスライダーを投げ分ける投球をぜひKBOのマウンドで見てみたいです。
「ロボット球審」と「ピッチクロック」への早期対応が活躍の鍵
一方で、KBOではテクノロジーを様々な場面で用いており、特に投手への影響が大きい点が2つあります。それはいわゆる「ロボット球審(自動ストライクゾーン判定)」と、「ピッチクロック」です。
・ロボット球審(自動ストライクゾーン判定)
KBOにロボット球審が導入されたことに関するNumber、note上での記事と、今年3月にアメリカ野球学会(SABR)で報告されていた「Changes in Minor League Umpire Tendencies With The Challenge and Automatic Ball-Strikes Systems」という発表がありますので、詳細はそちらをご参照ください。
日本の独立リーグから自動ストライク判定の世界に飛び込むと、おそらく「高めのストライクゾーンを取ってもらいやすく、両サイドには狭い」と感じるはずです。白川がこの状況に対応し、どう球種の選択に活かすか注目です。
・ピッチクロック
違いのもうひとつはピッチクロックです。走者がいない場合はマウンドに軸足を添えてから18秒以内で投げないといけないルールになっています。
ピッチクロックをどこからカウントするかはリーグによってまちまちなのですが、自分が見ていた試合では、マウンドに軸足を添えたタイミングからカウントをスタートしていました。
プレーがかかっていない場面でも投手が軸足をプレートに乗せたらカウントダウンが始まり、サイン交換を始めたタイミングで球審がプレーをかけるという場面も見られました。
いずれにしても、強制的にテンポの良い投球が求められるため、今までのマウンドさばきとは異なる所作をする必要があるという認識が必要になります。
6月1日の白川のキウム戦での登板の様子
さて、6月1日の17時からのキウム戦に先発した白川は5回を投げ92球、6奪三振、4四球、無失点で勝利投手。という上々の結果を残しました。
初回に3四球を与えるなど苦しんだものの、2回以降はカーブやフォークなどの変化球を交えてカウントを整えつつ、勝負どころでは吠えながらストレートを投げ込み、空振りを奪う姿が印象的でした。
自動ストライク判定のゾーンにも徐々に慣れてきた様子で、3回以降はあまり細かくコースを狙わずにピッチトンネルを通す投球が見られていたように思います。
球速は常時140キロ台でしたが、ストライクゾーンのストレートが通用したことと、KBOのストライクゾーンに試合中に柔軟に対応できたことは特に自信になったのではないでしょうか。
投球の様子はこのあとSSGのインスタグラムにも上がる可能性がありますので、フォローしておくと良いでしょう。
キウムは下位のチームでもあり、真価が問われるのはこれからの登板かと思いますが、6週間という限られた時間の中で白川がどのような結果を残すか。今後の独立リーガーの活躍先にも関わってきますので、ぜひ独立リーグファンも注目していただければと思います。
KBOの現地観戦はどのようにすればよいのか?
では、白川を現地で観戦するにはどのようにすればよいか?最後に、2024年5月末に現地観戦をしてみた自分の体験記をまとめておきます。
個人的に初のKBO観戦でしたが、まとめとしては
特に個人的にはこの動画を使って数時間でハングルが一通り読めるようになり、場所や選手名など固有名詞を読めるようになったのは大きかったです。
韓国語の知識ゼロで弾丸で行っても全く問題なかったので、ぜひ、皆様も白川恵翔の応援に行ってみてはいかがでしょうか。
自分も今回現地で白川の登板は見ることが出来ていないので、タイミングが合えばもう一度行ってみたいところです。