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YOASOBIの楽曲制作手法にも見られる「オーダーメイドな芸術」が抽象絵画に革命をもたらす可能性(前編)

自分には「1人1人にパーソナライズ化されたエンタテインメントを各人が主体的に楽しみ、それを生きがいとできるような社会を生み出したい」という欲求があります。

スポーツアナリストとしても、チームが勝つためのサポートをすることにはほぼ興味がなくて「観戦者がより豊かな観戦経験をするための仕事をする」ことに圧倒的な興味がある珍しいタイプです。

なので「エンタテインメントを創作する」「世界観づくりのお手伝いをする」ということをたまにやります。

最近は抽象絵画の企画立案にも足を踏み込んでおり、少しそのご紹介をしたいと思います。

YOASOBIの楽曲制作の手法は新しい発明である

導入としてこの話から。

先週、作詞家、音楽プロデューサーのいしわたり淳治さんが関ジャムで、YOASOBIの「ハルジオン」を2020年のベスト1に選出し、こんな話をしていました。

ひとつの作品にオートクチュールで歌を作るというこのスタイルは、これまでの多くの人に似合う既製品の服を作るような楽曲制作とは全く別のベクトルの新しい"発明"だと思いました 

出典:
関ジャム 完全燃SHOW|テレビ朝日(1月17日放送「音楽のプロが選ぶ2020年の年間ベスト10。」)

YOASOBIのハルジオン

楽曲は小説に沿って作られています

ハルジオンの原作となる小説「それでも、ハッピーエンド」

原作小説を書き下ろして、楽曲を制作するスタイル

いしわたりさんは番組中でYOASOBIの楽曲の歌詞について

「最初は解釈に幅がある歌詞だと思ったが、元となっている小説を読んだあとにもう一度曲を聞くと、小説の主人公たちが空いている隙間にビシバシ入ってくる。この作り方をした場合、ストーリーや状況説明は小説が担ってくれるので、余計な言葉を歌詞に入れる必要がない。この発明はズルい」

という旨の発言があり、小説をモチーフにした楽曲制作の新規性と可能性についてとても高く評価しています。

1月17日放送の関ジャムはTVerで1月24日の22時まで配信しているようです(いしわたりさんのコメントは27分頃にあります)。

「オーダーメイドの抽象絵画」を描き、zoom背景として活用する取り組み

YOASOBIの「小説を原作として楽曲を作る」のように、松岡智子さんというアーティストが「人の世界観(語り)をモチーフに抽象絵画を作る」という取り組みをしています。

今日、1月24日まで恵比寿で個展を開いています。

例えば

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このような抽象絵画を描いているのですが、いずれの絵もモチーフは「人の世界観(語り)」です。30分〜1時間程度のインタビューをしながら、松岡さんがモチーフとなる人に感じた世界観を描き、インタビューが終了したタイミングで絵が出来上がっている。という作り方をしています。

そして、描かれた絵はモチーフとなった方々が「zoom背景」として使っています。

具体的にどういうことか気になる方は、モチーフの方々と松岡さんの公開webミーティングをしているので、こちらをどうぞ。

オンラインにてアートで自分自身を抽象画するという概念が2020年に生まれました. 2020年5月にはじめてオンラインで自分自身を芸術家と共に抽象化するというプロジェクトにご参加いただいた皆さんを対象に展示と対談を行います. 今回は約20作品...

Posted by 松岡 智子 on Wednesday, January 20, 2021

松岡さんはこの手法で抽象絵画を全部で60作品ほど作っており、その中には女性ビジネスアスリートの本庄遥さんもいます。

松岡さんと本庄さんと松島さんの公開webミーティングです。

オンラインにてアートで自分自身を抽象画するという概念が2020年に生まれました. 2020年5月にはじめてオンラインで自分自身を芸術家と共に抽象化するというプロジェクトにご参加いただいた皆さんを対象に展示と対談を行います. 今回は約20...

Posted by 松岡 智子 on Tuesday, January 19, 2021

「アスリートの語りをモチーフに、アーティストが作品を作ったら面白いものができるのではないか?」という発想

松岡さんのzoom背景の作り方の発想の元は

「アスリートやアスリートをサポートしている人の語りをモチーフにして、アーティストが作品を作ったら新しい芸術領域が生まれるのではないか?」

というものでした。

初めて取り組んだのは昨年の今ごろで、スポーツアナリストを抽象絵画で描いた作品。SAJ2020ではライブペインティングを企画し、イベントの熱気を描くという取り組みをしています。

たまたま2019年の12月にイベントで松岡さんとお会いしまして、自分もSAJ2020でのクロスカルチャー企画を検討している時期だったので、

「熱量の高い人の思いや語りをモチーフに、絵を描くって面白そう。SAJの熱気をライブペインティングで描くことってできないかな?」

と聞いてみたら、実現しました。

ちなみに「アスリートやアスリートをサポートしている人の語りをモチーフにして、アーティストが作品を作ったら新しい芸術領域が生まれるのではないか?」という自分の発想の元は、三上ちさこさんとの出会いです。

「Trajectory」の詞の作り方がまさに

「番組を作るプロデューサーの熱い語りをモチーフに、三上ちさこさんというアーティストを媒介して作られた詞」

となっており、その作風にかなり感銘を受けたので、SAJ2020では三上さんとのトークセッションも企画しました。

長くなってきたので一旦ここまでにして、後編ではオーダーメイドな芸術の可能性と今の時点でできていること、これからやっていきたいことを書きたいと思います。


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