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砂漠で人狼

ジャイサルメールにはドロップキャンディーの雨が降る

これを信じてジャイサルメールに行った。
19歳の時。

私はデリーで短期留学中だった。

スパイスジェットという格安航空で、ぐわんぐわん揺られながら、何とか夢のジャイサルメールに着いた。

飛行機を降りると、見渡す限りの砂漠!砂漠!砂漠!

タクシーで「トーキョーパレス」というホテルまで行った。
お店の人に勧められるまま、1日砂漠でテント泊コースを購入。

早速ラクダに乗り、砂漠の真ん中へ。

偶然、慶應大学の4年生の2人が卒業旅行として来ていた。仲良くなった。
4人から、6人グループになった。

砂漠ではネットが繋がらない。
まあ、インドに来ている旅行客なんて、大概がヒッピー的な、ネット社会クソくらえ的な、そんな高尚な志を持った奴らである。
彼らにとっては、ネットからの遮断は寧ろ望ましい事なのだろう。
皆、焚き火や会話をしっかりと楽しんでいた。

しかし我々と来たら、すぐにそれらに飽きてしまった。
そして、あろうことか人狼をしだした。

正直、狼よりも周りを彷徨く野犬たちの方がよっぽど怖かったが。

それでも、人狼は大変盛り上がった。
周りが寝静まっても、永遠に続いた。
他のグループの人から「黙れクソが!」と罵られテントを叩かれても、続いた。
プラネタリウムよりも綺麗な星空の下、そんなのお構いなしで、続いた。

かく言う私も心理戦が好きで、人一倍楽しんでいた。

今考えると、「砂漠で人狼」は、絶対に、違う。
うん。絶対に。違う。

焚き火の方が、会話の方が、星空の方が、よっぽど貴重だったろう。
それでも、あの日砂漠で何時間も何時間も人狼をした事は、一生忘れないと思う。

おばあちゃんになったら、
孫に「砂漠で人狼、最高だヨ!」と伝えよう。
そしてそれを後世に伝えるよう、念を押そう。

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