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ケータイ失くして熱も出て
私は自転車に乗る時、絶対に音楽を聴く。
危ないよと止められても、絶対に聴く。
今日も30分自転車を漕いでシティーセンターに来た。
30分も聴いていると、アルバムの中盤から聴いた場合なんかは途中で終わってしまうので、その後はApple Musicが勝手にセレクトして別のアーティストの曲を流してくれる。
それが何故か、いつもフジファブリック。
今日は茜色の夕日だった。
18:30だったら、夏だと夕日で空が濃いオレンジに染まる頃かな。こっちは3時間半前には日が沈んでいたので、真っ暗だった。真っ暗の中でも茜色の夕日はいいなぁとか考えつつ、自転車に乗っていたら、3年前の夏の終わりを思い出した。
夜12時くらい、ライブハウスのバイトが終わって駅までの道をケータイを触りながら歩いていた。改札に差し掛かった所でケータイをしまい、吉祥寺駅の中のトイレに入った。
トイレを出て、ケータイを取り出そうとしたら、無い!バッグにも服のポケットにも!
30分以上探して駅員さんにも伝えたけど、見つからなかった。
その日は夏休み最終日だった。
もうすぐ授業が始まるっていうのに、ケータイも無い、課題も終わっていない、なんなら微熱があって体調が悪い。あの時の絶望感ったらない。
夜中1時過ぎに家に着くと、悲しみのあまりベッドに倒れ込んだ。そして、ひとまずiPod touchで音楽を流した。
フジファブリックのロマネ。
ダーダッ ダーダッ ダーダッ ダーダッ
曖昧なことだったり 優しさについて考え出したら〜
そこで、急に、本当に急に、志村が死んだことを実感した。私がフジファブリックを好きになった時には既に亡くなっていたというのに。事実は理解していたのに。
何で死んだんだよ〜と怒りと悲しみで涙が溢れた。ケータイを失くして、夏休みの宿題も全く終わっていなくて、熱も出てて。十分に落ち込んでいるのに、更に追い打ちをかけるように悲しみが押し寄せてきた。
一頻り泣いて、それから課題をした。
次の日には大きな台風が来た。電車が動かないくらいの。私はケータイが無いので休講の連絡を見ることも出来ず、健気にも朝の8時に学校に向かった。自転車で30分の道のりだが、巨大な木が倒れて道を塞いでいたので、回り道をしたり慎重に進んだりしてなんとか辿り着いた。
そしたら、同じく連絡を見ていない尊師(という先生)と新任のインド人の先生がいた。3人で「なんか授業無いみたいね〜来ちゃったのにね〜」と言って、帰った。
台風一過
天気も私の心の中も。
問題は何も解決していないし、志村が死んだことに変わりはないけど、なぜか心は晴れ晴れとしていた。