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クリスマスの日にデパートで紫のゲロを吐く

クリスマスが来るたび思い出す、あの紫のゲロ。

福岡の中心とも言える、ソラリア一階広場の大理石にぶち撒けられた、真紫のゲロ。

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我が家はクリスマスの日に父親の仕事場に行くのが恒例だった。
異世界のような所で怪しい人たちから大層可愛がってもらえるので、当時の私はその日を何よりも楽しみにしていた。

ただ、そこに行く前に天神に行けるのも楽しみの理由の一つだった。
天神はいつでもキラキラだが、クリスマスとなれば更に磨きがかかって、キッラキラ✨になる。
警固公園のイルミネーションも毎年綺麗。

その年も、私は心躍らせてその日を迎えた。
しっかりオシャレして、母と兄と弟と天神へ。

しばらく歩いて、ソラリアに辿り着いた。
ソラリアは赤と緑の装飾でクリスマスムード全開。
サンタのコスプレをした大学生くらいの女の子達が、出店のようなものをしていた。
皆んなが皆んな、聖なる夜を満喫していた。

そんな中、いきなりゲボボボーという音が右から聞こえた。
右下を向くと、一面紫。

弟が、真紫のゲロを吐いたのだ。

保育園生の小さな可愛い体から、これでもかという程の大量の真紫ゲロ。


私は一瞬あまりの気色悪さに引いて、すぐに思い出した。

あっ!そう言えばこいつ、今日の昼に海苔ばっか食ってたな!

一応、弟が地球外生命体ではないと分かり安心した。

しかし、周りはそうもいかない。
さっきまで可愛い声で呼びかけていたサンタコスプレ女子達は、声も出せずに固まっている。

そんな中、私の母だけが「どうしようどうしよう」と戸惑いつつも、真紫ゲロの処理をしていた。
ただ、あまりに大量だったので、彼女の持っていたティッシュやハンカチではどうにもならなかった。

私は横でキレていた。
サンタコスの女子達にキレていた。
金貰って働いてんなら、こういう気持ちの悪い事態が起きても直ぐに動けや!!と。
自分は何もせず、横でひたすらキレていた。

しばらくして、女子のうちの1人が上司を呼んでくれた。その人が手伝ってくれたおかげで、ゲロは無事片付いた。

それでも私の苛立ちは収まらない。
私の大切な1日をぶち壊しやがって!と言わんばかりに、今度は体調不良の弟にキレ出した。

弟よ、あの時はごめん。

当時は本当に散々だと思ったし、キレ散らかす良くない姉だったかもしれないが、今となっては最高のおもしろ話。

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