#16 CEの実験区 De Ceuvel〔オランダ滞在記〕
De Ceuvel は、
もともと造船所跡地だった場所で、
よりよい未来をつくるために
サーキュラーエコノミー(以下CE)
の実験場として現在活用のされている場所。
環境への取り組みを、
具体的かつ身近で楽しいものにする
というのを目的として、
さまざまなことが行われている。
実験区になった経緯
1990~2000年: 造船所や工場の閉鎖に伴い土地価格が下落
2000~2010年: 放置され、犯罪の温床に
2012年: 土地を有効活用する案を市が募集
2013年: 実験的建築プロジェクト開始
2012年の市の募集でキーとなったのは、
この区画の汚染された土壌をどうするかという点。
当然、ほとんどの案は除去する方針だったけど、
唯一、土壌再生というリジェネラティブな方針を
掲げたプロジェクトが最終的に選ばれたとのこと。
ここに何があるのか
・スタートアップのオフィス
・レンタルスペース
・ホテル
・カフェ&バー
寝る・仕事する・食べる
いろんな切り口からここに辿り着ける。
CEなところ
建築材料の循環
オフィス用施設は、
廃棄予定だったハウスボートと
国内で集めた古材のアップサイクル。
エネルギーの循環
太陽光発電と熱交換によって、
ハウスボートオフィスは100%
再生可能エネルギーで電力を得ている。
熱交換(heat exchange)
- ヒートポンプ
- 空対空熱交換換気システム
を用いて周囲の空気から熱を約60%抽出し、
空気を取り込んで部屋を暖める技術。
有機物の循環
コンポストトイレで排泄物を堆肥化。
有害物質で汚染された土地には
下水設置ができないという理由から、
コンポストトイレが導入された。
排泄物に加えて、食品も有機廃棄物。
有機廃棄物に含まれる栄養素を、
農業の肥料にして都市に供給する研究もしている。
(STRUVITE REACTOR)
植物の力
□ Phytoremediation
ファイトレメディエーション
植物を用いた環境修復技術。
汚染された土壌や水をクリーンにする。
冒頭で述べたように、このプロジェクトでは
汚染された土壌を除去するのではなく、再生する。
ファイトレメディエーションに優れた植物を植え、
" Zuiverend Park(浄化公園)" にしている。
加えて、橋で人の歩く道を上げることによって
人と植物を守っている。
自然に生えてきた植物の研究もしているとのこと。
□ Aquaponics
アクアポニックス
〔Aquaculture: 水耕栽培〕×〔Hydroponics: 養殖〕
の、環境保全型農業。
これを用いて、De Ceuvel 内のカフェで提供する
野菜・ハーブを栽培している。
繋がりを生む
CE視察先として非常に有名な区画のため、
ここにオフィスを置いている企業と
視察に来るほど環境問題に関心が高い企業とが
繋がる機会になっている。
その他(人を巻き込む)
ちなみに、このプロジェクトは10年限定。
2024年にどうなるのか気になって調べてみたら、
市が契約を継続しない場合、
土地を共同購入するか、
他の場所に移動する、
という選択肢を考えているみたい。
おわりに
隅々まで循環させる工夫が施されているという環境面だけでなく、
CEビジネスが加速するしくみになっているという経済面も持たせている
ことに感激した。
返還軍用地の土壌汚染が確認されている
沖縄の境遇と重なる部分があったりして、
〔沖縄のザル経済〕と〔地球の環境問題〕
の2軸にアプローチしたい自分にとっては、
非常に質高い教材。
でも、これをそのまま導入すればいいという話でもない。
De Ceuvel のように具体的でかつ身近な、
CEの実験ができるような場所で、
沖縄に生息する動植物や
島特有のユニークな文化を活かした設計が
できたら、2つの問題に同時に貢献できるのではと
期待が膨らむ。
おまけ
カフェはかなり賑わってた!
自分が今回オーダーしたものは
美味しくもなく不味くもなくという感じだったけど、
バーテンダーの人柄がステキだったから
余裕あったら滞在期間中にもう1回行こう😁