#14 人で賑わう銀行に〔オランダ滞在記〕
オランダの3大銀行(ABN AMRO / ING Bank / Rabobank)の1つである
ABN AMRO が建てた複合施設 CIRCL に行ってきた。
CIRCL ができるまでのいきさつ
銀行の立地の良さを活かせていないことに課題感を持ち、
日常的に市民が立ち寄れる場所をつくることに。
ABN AMRO は倫理観が高く、その1つとして
サーキュラーエコノミー(以下CE)推進にも
ファイナンス分野で貢献してきた。
だから、施設を新設するにあたって、
CEのコンセプトを取り入れることになったそう。
建設業×CE
material flow analysis (MFA) という、
ある国や地域の一定期間内のモノの流れを分析する手法がある。
アムステルダム市が MFA を行った結果(↓)、
建設業界のインパクトが大きいことが分かり、
建設/解体廃棄物の問題に優先的に取り組んでいる。
CIRCL の施設を設計する際、
CE で建設業界の問題を解決するべく、
以下の点が意識されている。
□ Urban Mining
遠くから輸入したりせずに、
都市部の廃棄物を活用する考え方。
Urban Mining (都市鉱山)という、
都市でごみとして大量に廃棄される家電製品などに
存在する有用な資源を鉱山に見立てたものという概念
がもとになっている。
・市内のオフィス解体に伴う廃棄物
・ABN AMRO 従業員の不要になった服
・廃棄される自転車
などが、CIRCL の床, 窓, 家具, 断熱材, ベンチ
などになり、建物を構成している。
□ 分解・回収可能
CEでは、元の価値をできるだけ落とさずに
資源として使い続けられるかが重要。
設計の段階で、分解と回収を考える必要がある。
CIRCL のいたるところにこの工夫がされていて、
使われている建材のなんと90%が分解・回収可能。
分解・回収を可能にするために
□ Building as Material Banks (BAMB)
取り外し可能な設計。
CIRCL のエレベーターは PaaS (Product-as-a-Service)。
つまり、解体時に捨てられるのではなく、
企業に返却される。
□ リデュース>リユース>リサイクル
優先順位はこれ。
不要なものは最初から使わない "リデュース" が1番大切。
「CIRCL」という名前にも
洒落たメッセージが込められている。
正しいスペルは "circle" だけど、
"e" がなくても同じ読み方ができるよね。
じゃあ取り除こう。→ "CIRCL" に。
その他
おしゃれだし居心地も良くて、
食事とおしゃべりを楽しんでる人もいれば
資料広げて仕事の話してる人もいれば
環境系のイベント日だったからそれの参加者もいた。
紙アートの展示会は
5/10~7/29 の期間限定らしい。
ラッキー⭐