それでもわたしには勇気がない
「就活用スーツを買った」「髪を染めた」
最近、大学3年生のわたしの周りでよく話題になるはなし。
シュウカツのために突然みんなが真っ黒になっていく。
みんなで真っ黒の髪に真っ黒のスーツを着ることも、女の子はスカートが多いことも、ストッキングを履くことも、すごく抵抗を覚える。
日本とトルコにルーツがあって、地毛が明るい茶色の友人が黒染めしていた時。
地毛がこの色なのになんで染めないといけないんだろうね〜って話しながら、わたしは彼女のもとの髪の色がとても好きだったのに、それを真っ黒にさせられたのが嫌だった。
地毛にある色ならいいじゃない。何色だっていいじゃない。
冬は寒いし浮腫むのに、何でスカートにストッキングがマナーとされるのか。
わたしは寒いのは嫌だからパンツスーツにしたい!って言ったら、そんなところで個性発揮しようとしなくていいよ。スカートにしなよ。と男友達に言われた時も、わたしは怒った。真冬にスカート履いたことないくせに。ストッキングすぐ伝染するからお金かかるの体験したことないくせに。パンツスーツでさえそんな風に言われるのか。
リクルートスーツも髪の黒染めもなんのために?
「みんなと一緒にするため」
じゃあ何で一緒にするの?
「印象良くするため」
何で一緒が印象がいいの?
「そういうもんだから」
誰もわたしが納得する答えを教えてくれない。
美の多様性を訴える資生堂は今年も就活メイク記事を出している。全然多様化してないじゃん。
去年まで傍観者だったカラスの集まりに、わたしもカラスの一羽として参戦することになるらしい。
たまに、自分のスタイルを貫くためにカラスにならない人がいる。
「髪を染めても、スーツを着ても、自分のできることは増えも減りもしない」と言って私服で就活をしていた先輩は本当にかっこよかった。
わたしもそんな風に自分のままでシュウカツしたい!と思ったりもした。
それでもわたしには勇気がない。
今はコロナの影響で全部オンラインで厳しく見られないからちゃっかりすっぴんで(眉毛だけかいて)、真っ赤なTシャツで就活イベントに参戦している。
でもしばらくしたら、わたしはスーツを買うだろう。お金がもったいない、もっと多様化すべき、とぶつぶつ言いながら、スーツを買いに行く。
そんな自分が情けなくて、悔しくなる。
もし服装が内定に影響を与えたら…?と考えてしまう。
みんながカラスにならない日がきたら、わたしも堂々とカラスにならずにいられるんだろうな。
わたしは先駆けになりたいけど、きっとそんな勇気はない。情けなくて恥ずかしいけど。
でもせめて、パンツスーツにしよう。
わたしは自分を貫くぞって、ちっちゃなちっちゃな抵抗です。