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大原麗子さんの説得力
時代劇好きの私には、最近(令和2年4月)NHKにウキウキさせてもらっている。大河ドラマの「麒麟が来る」、土曜日の夕方には「雲霧仁左衛門3」、そして昨日は吉田鋼太郎主演「柳生一族の陰謀」。
「柳生一族の陰謀」は一言でいうと「懐かしい」作品。残酷にサクサク人が死んでいく。最近、作られる時代劇は現在の価値観が反映されて、なかなか人が死なないし、身分も容易く乗り越えてしまう。それに比べてこのドラマは私が子どもの頃の昭和50年から平成のはじめくらいまでの時代劇の「匂い」のする時代劇だった。
とはいっても、もともとの「柳生一族の陰謀」は「千葉真一が走ってたなあ」ぐらいしか記憶がないため、出演者を調べてみた。()内は今回のドラマの演者。
柳生宗矩 萬屋錦之介(吉田鋼太郎)
柳生十兵衛 千葉真一(溝端淳平)
徳川家光 松方弘樹(岡山天音)
徳川忠長 西郷輝彦(荒井敦史)
お江予 山田五十鈴(斉藤由貴)
出雲の阿国 大原麗子!(森田望智)
烏丸小将文麿 成田三樹夫!(浪岡一喜)
私としては、成田三樹夫さん、大原麗子さんへの思い入れが強い。
烏丸小将文麿は、公家でありながら剣の達人という役で、気味の悪さが話の良いスパイスになるのだけれど、この役はあの時代なら成田三樹夫さんしかいないと思う。でも、今回の浪岡一喜さんもことのほか良くて、彼は令和の成田三樹夫になるんじゃない!?と応援したくなる。
あと、大原麗子さん。
今回、森田望智さん演じる出雲の阿国が初めて出てくるシーンで、踊りを忠長の前で披露し、忠長は彼女のことを好きになってしまうのだけれど、それがわかるのは斉藤由貴さん演じるお江与の方がとんでもない顔で睨みつけていたためだ。
大原麗子さんの場合、出てきただけで「ああ、この女性を若殿様は好きになってしまうんだろうなあ」と思わせる美しさと魅力があった。
これは、数年前NHKで「獄門島」がドラマ化された時も思ったのだが、映画の時は大原麗子さんがヒロインで「金田一耕助が唯一心魅かれた女性」を演じていたのだが、大原麗子さんだと「そりゃ、好きになるでしょう」と思わせるのだが、その時演じた仲里依紗さんは、素敵な女優さんなんだけど、この女性を好きになってしまうというのが、伝わってこなかった。
今の女優さん達は、美しくて魅力があるのに、大原麗子さんのように出てきただけで「ああ、男の人は好きになってしまうだろうな」という雰囲気を出せない、いいかえれば大原麗子さんには出てきただけで人の心をとらえてしまう魅力があった。
大原麗子さんは、少女の頃、意外にも不良だったと聞いたことがある。不良といっても当時の最先端をゆくグループの「六本木野獣会」に属していて、いきがるだけではなくて、世の中から、はみ出る力とセンスがあったのだろうと思う。
大原麗子さんは容姿の美しさもさることながら、世の中に収まりきらない個性があったからこそ、存在だけでドラマの展開に説得力を持たせていたのだろう。