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この世を去った大切なあの人ともし15分だけ会えるとしたら何を伝えるだろう。

おとうさんへ

ひとつだけ、この先どんなに頑張ったって絶対に叶わないことがあるんだ〜。

こうやって同じ場所で同じものを見ること。
ずっと叶わない。

この刻、おとうさんと一緒に見ていたその先に一体なにがあったんやろね。

たった 6年間弱 の父との刻。

潰されそうなくらいに
いっぱい抱きしめてくれた。
いっつもどこでも一緒。

「ハナちゃん、デートいくで〜!」

って私をヒザ上に乗っけて2人っきりで出かける先は、いつもおばぁちゃんのお墓まいり。

帰り路の こふじ食堂 のソフトクリームが独り占めできるのが嬉しくてしがみついて行ったっけ。

自営業だったから、一緒に仕事に連れてかれる私は自慢の看板娘。

とある所で大人になった私が娘と知って
「目がそっくりや」と涙浮かべてくれた父の同級生。

人情派の父は全方位に愛情たっぷり。
姿カタチは存在しなくても
いつも一緒に居る感じがする。


ぽっこり出たお腹、
豪快な笑い声、
沢山の仲間たち、
漁師さんや職人さん、
大きな体に小さなショートホープの箱、
日曜日のたまご焼き。

本当に愛される人だったと思う。


夢にさえ出て来てくれたこともないけれど、目を閉じたらいつだって大笑いする姿しか浮かばない。


おとうさんが生きてた頃の年齢を超えて、やっと人生がスタートした気がして命を尊く感じる。命を有り難く思う。


1日だけでいいから一緒にお酒でも飲みたい。そんな願いも叶わないけれど。


生きてたら、
おなか出てたかな。
白髪になってたかな。
おかぁさんにまだ怒られてばっかりかな。
大好きなスキー、
まだずっと一緒に行ってたかな。
会社は大きくなって今頃私たちも参画してたかな。


まさかの37歳で他界した父の命日は一ヶ月後。改めて偉大さを想う。

そして女手1人で3人兄妹を育ててくれたちぃちゃな母を尊敬して止まない。

#

今年お世話になった人がこんな話を聞かせてくれた。就職活動中の学生たちが、面接に挑む時、限られた時間の大切さを伝えるためにこんな質問をするのだと。

『15分だけこの世を去った大切な人に今の自分の報告をするとしたら、あなたはどんなことを伝えますか?そんな気持ちで伝えたら絶対に後悔しない。』

私はただただ、涙が出て止まらなかった。


私今、父に会えたらなんて言うだろう?
全然足りないけど、一瞬でも会えるなら

何を話すだろう。
どんな私を伝えるだろう。


人は毎日死に向かって歩いている。
誰かのそんな言葉を思い出した今日。

どうせなら喜怒哀楽出しきって、
味わいまくるしかないよな。

ありがとう。おとうさん。
そして、おかあさん。

あ(愛)
い(命)
う(運)
え(縁)
お(恩)

教えてくれてありがとう。
大切にする。

(平成28年12月12日に書いた文章です。)

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