ゼロから始めて2週間で仏検3級に受かった方法【仏検3級 勉強法】

はじめに

2021年度春季 実用フランス語技能検定試験 3級の記録です。

刺激的なタイトルをつけておいて申し訳ないのですが、最初に以下の点について含みおきください。

・確かに2週間で合格したのですが、その間は予定が全く無く、全ての時間を仏検の勉強に充てられる状況でした

以下、受験勉強的な視点から合格を目標とした勉強法について述べますが、語学の勉強として正しいかは別問題です。

ただ、仏検3級に効率よく合格する方法論(合計で100時間程度=標準学習時間の半分)としては有用だと思いますので、備忘録も兼ねてまとめていきたいと思います。

使用した教材

「仏検 教材 おすすめ」等で検索すれば、適当なサイトが出ると思いますので、個別の教材を推奨することは敢えてしませんが、構成としては「文法書(入門用)、単語帳、問題集、過去問」の4冊がおすすめです。

有名どころであれば失敗することはないと思います。

一応、僕の使った教材と感想を書いておきます。

① 文法書『フラ語入門、わかりやすいにもホドがある!』

画像2

初学者向けの教材としては最も有名でしょうか。著者の語り口が特徴的で好き嫌いが分かれそうですが、基本的な文法が分かりやすく解説されています。ただ、著者の語り口は難しい文法事項を説明するのに向いていないので、文法について深く理解したいときにはネットで調べた方が良いでしょう。(本格的な文法書を買うのも手ですが、あくまで辞書的に使うのがいいと思います。)

② 単語帳『ゼロからスタートフランス語単語BASIC1400』

画像3

アテネ・フランセの響きの良さに釣られて買いました。普通に勉強していると短期間で覚えられる単語には限りがあるので、こういった単語帳は必須だと思います。付録のCDを通勤・通学時間に聞いておくと、リスニングの短文問題が楽になるのでおすすめです。書名に1400とありますが、仏検3級に必要な単語数は1670語らしいので、買ってから足りないことに気付きました... ただ、本番で特に困ることは無かったのでそこまで気にしなくてもいい気がします。心配な人は『仏検公式基本語辞典 3級・4級・5級』を買うと安心できると思います。

③ 問題集『仏検3級スピード合格』

画像4

実際の設問ごとにまとまっているものなら何でも良いと思います。特に、慣用表現の対策は普通に勉強していたら短期間で身につくものではないので、必須だと思います。一応、文法の説明は一通りありますが、素っ気ない感じなので、フランス語に初めて触れる初学者向きではないと思います。

この本、本試験と比べて長文がやけに難しく、リスニングのスピードがやけ速いです。ただ、そのおかげで?本番では余裕をもって解くことができました。

④ 過去問『仏検公式ガイドブック3級・4級・5級』

画像5

直前の演習に使います。自分は使いませんでしたが、勉強途中に5級・4級を解いて問題形式に慣れておくのもありだと思います。試験2回分(75分×2)で2500円、しかも解説がそこまで丁寧でないので、少し高い気もしますが、本番と同じ音源が聞けるだけでその価値はあると思います。ちなみに、コロナ禍の影響で2021年度版の発行は無く2022年度版に2020秋季と2021春・秋季の3回分がまとめて掲載されるらしいので少しお得かもしれません。(その分値上がりするかもしれませんが...)

勉強法

自分の基本戦略は、筆記試験のうち動詞の活用を除いた60点で8割(=48点)を死守し、動詞の活用とリスニングで12点以上もぎ取ること。動詞の活用を除いた理由は3級の中で断トツで難しく安定した得点が期待できないためです。

そのために、まず文法書を一周します。やり方は人それぞれだと思いますが、自分は書かないと物事を覚えられないので、①の文法書の内容を自分なりに噛み砕いてルーズリーフにまとめる(=アウトプットする)ことで覚えました。この作業が全体の半分弱(=約40時間=1週間)でした。ここで動詞の活用をマスターできると後々楽になります。

これと同時に空き時間(=通勤・通学時間や寝る前の時間)で③の単語帳を読み進めました。単語帳はただ読むのではなく、付録のCDで音声を聞いた方が絶対に良いです。リスニング対策になります。

文法書の周回が終わったら、とりあえず3級の過去問を解いてみましょう。点数が悪くても気にしなくていいと思います。自分は、この時点で書き取り31/70点、聞き取り10/30点でした。得点できなかった設問について重点的に、問題集を進めましょう。問題集の進め方についても、やり方は人それぞれだと思いますが、自分は問題を裏紙に解いて、分からなかったポイントや知らなかった単語をルーズリーフにまとめる方式でやりました。

問題集が一周出来たら(自分は試験前々日でした)、問題集等に載っている模擬試験を解きましょう。この手の問題は本番より難しくできているので50/100点取れれば本番は大丈夫だと思います。(自分は58点だったので、本番は行けそうかなと思いました)ここから試験前日までは模擬試験で出来なかった設問について問題集をもう一周したり、慣用表現とか動詞の活用といった暗記物を詰め込んだりしました。

本番前日には当日と同じ時間割で2019秋の演習をしました。リスニングの短文問題が全く出来ず結構不安でしたが、68/100点だったので一安心。寝る前に短文問題の反省を踏まえ、基本的な名詞、動詞の発音をCDで聞きました。

本番当日は、今まで書いてきたまとめを見たり、単語帳のCDや模擬試験のやけに速いリスニングを聞いて耳を慣らすことだけやりました。変に新しい問題を解くと不安になるので、やらない方がいいと思います...

以上が大まかな勉強法です。

設問分析

~筆記試験~

第1問 慣用表現(2点×4問)

知識ゲ―なので、覚えるしかないです。慣用表現は、第7問 応答文や第9問 会話文の選択肢にも混ざっていて、知らない慣用表現があると、そちらで事故る可能性があるので頑張って覚えましょう。ただ、分からないものは分からないので、本番できなくても気にしない方が良いと思います。最初に分からない問題が来るとテンパる人は飛ばしてもいいかもしれません。ただ、問題冊子の表紙から透けて見えるので気を付けてください。

第2問 動詞の活用(2点×5問)

筆記試験で一番失点しやすい大問で、毎回の平均得点率も30%前後とかなり低いです。①文の意味を汲み取り、活用させる形を把握する→②実際に動詞を活用させる という二段構えの問題なので、文章の意味が分からないとほとんど点が取れません。<Si+直接法現在形, 直接法単純未来形>や<Si+直接法半過去形, 条件法現在形>のように文法知識だけで解答できる問題も無くはないですが、基本的には文の意味が取れないと詰みます。

また、仮に活用形が分かっても、焦って解くと不規則変化や性・数一致など細かいミスをしやすく、しかも部分点が無いので、点数が一瞬で溶けます。一旦飛ばして後でゆっくり解くのがおすすめです。

第3問 代名詞(2点×4問)

文法知識で解けますし、さらに単語が分かれば自信を持って答えられます。各問題が独立していて大量失点することもないので、対策すれば確実に満点が取れると思います。

第4問 前置詞(2点×4問)

慣用表現(fire de~とか)、それぞれの動詞が取る前置詞(commencer à~とか)を覚えれば1問か2問は拾えます。残りは文章の意味が取れて、かつ前置詞のニュアンスが分かっていれば解けます。与えられた6つの前置詞の意味がバラついていれば簡単に解けるのですが、選択肢の配置によっては場所を表すdansとen、時間を表すderant、dans、en、 pour等の区別が必要になります。選択肢が共通で事故りやすいので、慣用表現、動詞の取る前置詞は確実に覚えておきましょう。

第5問 単語配列(2点×4問)

第3問と同様に、文法知識で解けますし、各問題が独立していて大量失点することもありません。対策すれば確実に満点が取れると思います。(本番取れませんでしたが...)

第6問 語彙(1点×6問)

反射神経ゲ―です。与えられた文の意味が取れれば、なんとなく分かると思います。与えられた選択肢の単語が分からないと詰むので7/8個くらいは分かるようにしておきましょう。

第7問 応答文(2点×4問)

人物A(質問、提案)→人物B(?)→人物A(反応)の会話のうち、空欄になっている人物Bの発言を選ぶ問題です。基本的に、選択肢は「人物Aの質問・提案に矛盾しているもの」、「人物Aの反応に矛盾するもの」、「正解」の3つになっています。文の意味が取れれば、確実に満点が取れると思います。

第8問 長文(1点×6問)

基本的に全員が満点を取る問題です。本文を読みながら問題を解きましょう。全部読んでから最初の問題から解くと余計な情報が入って間違いやすくなりますし、該当する箇所を探す無駄な時間がかかってしまいます。

第9問 会話文(2点×4問)

第7問 応答文と同じで空欄になっている箇所の前と後、両方に合致するものを選びましょう。基本的には直前と直後の1文ずつが分かれば解けると思います。好みですが、最初に選択肢を和訳しておくと、雰囲気で選択肢を選ぶミスが減るのでおすすめです。例えば、直後の文に「~heure」が見えたのでなんとなく「Quelle heure~」で始まる選択肢を選んだが、実際は時刻の話ではなく、所要時間の話だったみたいなミスですね。1問2点で選択肢が共通なので、事故らないように丁寧に解くのがおすすめです。

~聞き取り試験~

第1問 書き取り(2点×5問)

聞き取り試験と言いつつ文法ゲーです。事前に問題文を読み込み、空欄には何詞が入るのか、動詞ならどのように活用するのか、それとも不定詞なのか、形容詞なら性・数一致は起こるのか、名刺なら単数なのか、複数なのか...などを予測することが必須です。例によって、活用や綴りのミスでも部分点はなく、0点になります。失点しやすく差が付きやすい問題ですので、予測を怠らないようにしましょう。

第2問 短文(2点×5問)

聞き取り問題と言いつつ単語ゲーです。基本的な動作・状態を表す動詞が聞こえたら、解けます。単語帳のCDを聞きましょう。

第3問 会話文(2点×5問)

第2問と同じく実質単語ゲーだと思います。設問の文で正誤を問われやすそうな箇所(例えば曜日や時刻、場所)は事前にチェックして、フランス語の発音を頭の中に用意しておきましょう。そこまで高度な問題が出るわけではないので、正誤に関わる単語さえ聞き取れれば、文章の意味が分からなくても解けます。

時間戦略

※あくまで僕の戦略ですので、皆さんの得手不得手に応じて調整してください。

過去問を解いた感じ、事故りやすい動詞の活用と会話文は時間をかけたい。あとリスニングの予習に5~10分欲しい。ということで、以下の時間戦略を立てました。

① 1→3→4→5→6→7→8の順番に解き、これらを30分以内に収める。

② 9の会話文を10分かけて大事に解く。

③ 飛ばしていた2の動詞の活用を10~15分で解く。

④ 余った5~10分で聞き取り問題の予習をする。

上記はあくまで一例です。ある程度勉強していれば時間は余ると思いますので、得点を最大化できるように各自で調整してください。

受験当日(ほぼ日記なので読み流してください)

当日は早く起きてもやることが無いので10時に起床。試験時間は15時20分~16時35分で、入場は30分前から可能だったので、開門と同時に着くように出発。道中でもリスニングを聞き流して、耳を慣らした。

なんやかんやあって、試験開始の10分前になり、問題冊子が配られるも、表紙から第1問が透けて見えてしまう。嫌な予感がしたが、透けて見えた二問とも答えが浮かんだので少し嬉しくなった。

試験開始と共に第1問から解き始める。運ゲーに勝利し、第1問が4問とも分かったのでツイてるなと思った。(実際は綴りのミスで6/8点でしたが...)前置詞と語彙の手ごたえがあまり良くなかったが、試験開始30分ジャストで第8問まで解き終わる。このタイミングで試験監督による本人確認があったので丁度良かった。続いて会話文を解く。過去問より易化しており、かつ選択肢の慣用表現も前日に覚えたところが出たので自信をもって答えられた。最後に動詞の活用を丁寧に解いて、聞き取り問題の予習を始める。

実は、書き取り試験中にリスニングの問題冊子が見られるのかどうか分かっていなかったので、書き取り問題の問題冊子と一つになっているのを確認して、かなり安心した。

リスニングの音声は過去問のCDの通り、若干癖のある日本語で謎の安心感があった。例年通り~やや易くらいの難易度で体感では24点くらい取れたと思ったので、書き取りと合わせて60点は行ってるだろうと思いながらも、前置詞と語彙の感触の悪さのせいで不安なまま帰宅。

感染対策のため、例年行っていた模範解答の配布は中止となり、公式サイトに夕方以降掲載しますとアナウンスがあった。正確に何時に公表されるかは不明だったが、19時40分過ぎに模範解答が公式サイトに掲載され、早速自己採点。結果は、手ごたえの悪かった前置詞(2/8点)で事故を起こしながらも73点と勉強量の割には良い点が取れた。

結果

7/8発表。

自己採点通り合格していました。

画像1

良かった点

・戦略通りの時間配分で解けたこと。

・計画通り記述で50/70点以上取れたこと。

・書き取り以外のリスニングが18/20点と予想以上だったこと。

反省点・改善点

・綴りのミスが多かったこと(発音記号の有無が分からなかったり、s'estを短縮せずに書いたりとレベルの低いミスをしてしまった)実際にフランス語を書く機会を増やすべきだった。

・動詞の活用で、不規則変化のミスが多かったこと。(法・時制・人称は全て合っていたのに4/10点だった)一週目の段階で活用を固めておくべきだった。

いいなと思ったら応援しよう!