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不器用なメッセンジャー

玄関に気配を感じた。

誰かが来た。
サンダルを引っ掛けて、左手で玄関の扉を開けた。
するとそこにはペンギンが一羽立っている。

ペンギンは、そのつぶらな瞳でわたしの姿を確認すると、ぷるぷるっと身震いをしてから、くるりときびすを返し、ぺたぺたぺた・・・と歩きにくそうに帰っていった。

玄関前の私道からコンクリートで舗装された車道沿いの歩道へまがり、まあるっこい背中を左右にゆらして、よたよたと帰っていった。

ペンギンは、わたしに何かを伝えに来ていた。

ペンギンは、電話をかけられない。
自分でダイヤルを回すことも出来ない。
かけられたとしても、受話器に向かってしゃべることは出来ないのだ。

だから、あのいかにも歩行に不向きな鳥類は、この遠い道のりを、ただわたしに一言伝えるために、よたよたと歩いてきたのだ。

人も車も通行量の多い都会の街を、わたしたちがやるように、ピポパっとダイヤルを回すことなど考えず、ただひたすらぺったりぺったり歩いてきたのだ。

…っていう夢を、18年前に見たっていう話

さっき久しぶりにfacebookで昔の書き込みが出てきて思い出した。
ものすごく印象的な夢で、その映像も含めてずっと深く記憶に残っていた。

しばらく忘れていたけれど、また思い出した。
あいかわらずその情景もその時の気持ちも鮮明に思い出せる。

当時は、そのひたむきな姿に、その苦労をいとわぬ野生の強さに、なにかとてつもなく大事なことを教えられた気がしたけれど、それがなんなのかずっとわからなかった。

が、

今ならわかる。
と言うより、ふと、わかった。

PLAY WITH THE CARD YOU DEALT

「配られたカードで勝負するんだよ。
それがたとえどんな意味があったとしてもね。」

有名なスヌーピーのセリフ。

結局人は、というか人も動物も、自分の生まれ持ったものでやりくりするしかない。

持って生まれたものに、しのごの文句を言うてないで、できることを、ただやればいい。

今の自分を受け入れて、その自分ができる精一杯をやりなさいって意味だったんだなって、突然わかってスッキリした。

18年かけて、やっとわかることもある。

夢って侮れないね。
ありがとう、ペンギンさん。




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