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MOROHAに救われる夜

1/11。ギタリストのCANDYMANです。

飲み会終わりに寂しくなるのは人類が備えている性質なのだろうか。
「楽しかったな〜!」という気持ちで会をお開きにして、先程の楽しさの余韻を味わうように駅に向かう。途中で寄ったコンビニのドアに反射した自分は、普段飲まないアルコールのせいか何の成果もあげていないのに、勝利の美酒に酔いしれた顔をしている。いわゆる上機嫌ってやつだ。普段は食べない10円ガムのガチャガチャにテンションを上げ、口に入れる。仲間がいて、馬鹿話を思い出し、幸せを噛み締めている。

電車に乗り、イヤホンを耳にさして音に酔いしれる。しかし、3曲目が終わる頃には孤独を味わっている。先ほどまで美味しかったガムが急に苦みを感じるようになった。ずーっと苦い。さっさとガムを吐き出せばいいのに、何を惜しんでいるのか分からないがずっと噛んでいる。いつかは甘くなると信じてるのか。この状態でも入れる保険あるんですか!?
耳からふと流れてくるのはMOROHA。良かった。俺にはMOROHAがいる。

今日のテーマは「MOROHAに救われる夜」です。

「有名ミュージシャンが『MOROHAのライブを聴いて何も感じなかったやつはヤバい』と言ってた」というポストを見かけた。まさにそのとおりだと思う。というか何も感じないというのは幸せな状態なのかもしれない。

耳から流れ出したのは、MOROHAの新曲「やめるなら今だ」

一昨年解散したバンドのことを思い出す。自分なりに必死こいてギターを弾いた。汗もかいたし恥もかいた。でもそれが一体なんだって言うんだ。そうMOROHAは語りかけてくる。「やめるなら今だ」という声と戦ってきた。
大学を卒業して正社員になったタイミング。25歳を超えたタイミング。バンドを解散したタイミング。いつだってあったけど、その声をかき消し「やめるなよまだ」に変えている。

電車は降りるべき駅の一つ前まで来ていた。そういえば、遠い昔に未来を誓い合った人とよくこの駅から出かけて行ったことを思い出した。その人は既に別の人と新しい未来を進んでいた。一昨年、共通の友人の結婚式でそれを知った。とても幸せそうだった。

「あなたと一緒になる未来しかいらない」と言ってたのに、嘘つきじゃねぇかと思ったけど、結果的に嘘つきなのは俺の方だ。俺抜きで幸せになっているのが嬉しい。これは嘘じゃない。

最寄駅に降りる。今日飲み会に行ってたことも忘れるくらい、酔いは覚めていた。どうすりゃいいんだ。家までは真っ直ぐ帰るけど、頭の中は迷路だ。
夜道を歩く。電灯が消えかかっている。寝るにはまだ少し早い時間で、家路の周りには暖かそうに光った家が立ち並んでいる。思わず「いいなぁ」という声が漏れ出した。

ロックミュージシャンに憧れていた。ただ元来の中途半端な生真面目な性格のため、学生時代は皆勤賞で表彰状をもらうくらいでバイトはブッチできない。イカれたロックンローラーには程遠い。そんな所も揶揄されたことがあった。

曲の終わり。ライブ映像に切り替わり、アフロさんが「ぶっ飛んでるやつなんて、イカれているやつなんて何にも凄くない。イカれてなくていい、普通でいい。真っ当は真っ当なりに、お前を真っ当しろ。」と叫ぶ。チカチカと消えかかった電灯が元通りになり、暗い夜道がふと明るくなった。理由はなくても足は出す。それが理由になる。

MOROHAという言葉通り、自らを削りながら俺らを削ってくる。だからこそ、心の奥底まで響いてくる。この足で前に歩いて行かなくちゃ。飲み会だけの意気込みだっていいじゃないか。それがゴミだと言われても百も承知だ。もう行かなくちゃ。苦いガムを噛み続けよう。朝を迎えに行こう。
ありがとう、MOROHA。

おまけ

フェリックスガムは噛み続けても残るのに、コンビニにあるガチャガチャのガムって最終的に溶けてなくなる。とても苦いんだけど、あれって何?

以上。

今日の一曲 MOROHA「夜に数えて」

もう負けないさ。



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