男が、「母親を振り切る」ということ
コンサルティング中にありました、親子関係に関する課題の話。
ここから下は、男性⇔母親、という関係性について書きますが(コンサルがそうだったから)、でもこれはそのまんま、女性⇔父親、でも言えることだと思います。
男性の中には・・・・僕も含めて、
「父親に対する母親の愚痴や批判を聞かされながら育った」
という人が、少なくないと思います。
でもこれって、男性にとっては、かなり強力な『呪い』なんですよ。
虐待とか、ある意味で分かりやすいものを受けていたら、それは「親が悪い」と言い切ることができるかもしれませんけれども・・・・
こういうのって、その男性と母親の関係は、悪くないことが多いので、だからこそ根深く男性の心を支配する『呪い』になり得るんです。
男性にとって母親とは、「はじめての異性」なわけですよ。
そして父親とは、「自分が見習うべき男性性の象徴」であるわけです。
その父親を・・・・母親が批判したり、ディスったりしてみなさいな。
それは間接的に、その男性(息子)のことを批判したりディスったりしていることになるんですよ。
父親が、母親に愛されていないことを見ながら育った男性は、心のどこかで、「自分も女性に愛してもらうことはできないんじゃないか」という恐れを持って生きることになります。
それが怖いから、その男性は、愛されたくて、なるべく母親に気に入られようと、そっちに寄せようとすることになります。
すると、女性性が強くなっていくわけです。
女性性の強い男性が悪いわけではないけれども、社会的に求められていることと違うから苦労することは多いし、何より、こういうバックグラウンドが理由で女性性を強めてしまった男性は、「本当の女性性」を持ってるんじゃないわけです。
ただただ、母親に愛されたいがために、後付けで身に着けただけの女性性だから・・・・要するに、発揮の仕方、コントロールの仕方がヘタクソだったりすることも多いのです。
となると・・・・
嫌われるのが怖くて男性性も発揮しきれない、
それでいて女性性もそこまで発揮できるわけじゃない、
どっちつかずで、どうしたらいいか分からない状態になります。
これ、もう、ほんと『呪い』だから。
こういうことに心当たりがあるんなら、それは『解呪』しなければなりません。
そのための方法が、まず、「母親に、父親の好きなところを聞く」っていうこと。
「お母さんはなんでお父さんと結婚したの?」みたいな。
愚痴ったり批判したりが多くても、両親の夫婦仲が悪くないようだったら、これが多分一番早いと思うのです。
それから、「母親に自分のことを褒めてもらう」ということ。
父親ディスりによって間接的に否定された自分の男性性は、その分、直接ちゃんと褒めてもらうことによって回復させられます。
「あなたはこういうところが素敵よね」
「あなたという息子を持ってよかったわ」
母親にそう言ってもらえたら、男としてすごく嬉しい気持ちになります。
親との関係性自体が悪くなくて、こういうことをちゃんとできるようであれば、それをするに越したことはないと思います。
ただ・・・・
どうしても、こういったことが無理なようなら。
ちゃんと、「母親を嫌う」って、すごく大事だと思うのです。
父親の愚痴を息子に言うくらいだから、きっと母親との仲は悪くないのでしょう。
むしろ表面的には仲良しなのかもしれません。
だからこそ、聞いちゃうのでしょう。
でも、それ、自分を傷つけているってことに、気付いた方が良いです。
父親に対する母親の愚痴を、もしも毎日聞かされているとしたら、それ、毎日毒を飲まされているのと一緒ですからね。
心がどんどん殺されていってるんです。
絶対に、絶対に、やめてもらわなくちゃダメです。
もし、どうしてもやめてもらえないようなら・・・・
母親とは距離を置いて、その愚痴を聞かなくてもいいようにしてください。
少なくともそれだけは絶対にしてほしいです。
ただ、それは「これ以上傷つくことはなくなる」というだけで、今まで傷ついた心が癒されるわけではありません。
だから、「嫌う」っていうのが、大事なんです。
好きな人、大切な人に言われた言葉って、物凄く大きく響くじゃないですか、ポジティブにもネガティブにも。
でも、嫌いな人に言われた言葉って、別にどーでもいいじゃないですか。
彼女に「服のセンスがダサイ」って言われたら傷つくけど、どーでもいいやつに言われてもどーでもいいわけで。
元カノにはダサイって言われてても、今の彼女が大好きだと言ってくれるなら、それもそれで、元カノの言ってたことなんかどーでもよくなるじゃないですか。
それと同じ。
その『呪い』の言葉と、自分との結びつきを、少しでも弱めてあげなきゃいけないんです。
だから、はっきり言ったらいい。
「お母さんが、お父さんの悪口を言うのを、僕は聞きたくない」
と。
それで、やめてくれるなら・・・・少しは救いがあるかもしれませんが・・・・
息子に愚痴を言い続けるような母親は、きっとダークサイドもだいぶ溜まっているだろうから、もしかしたら逆ギレするかもしれません。
そしたら、
「僕はそんなお母さんとは話したくない」
と、ハッキリ拒絶してやりましょう。
気付いてないかもしれませんけど、仲良しのつもりかもしれませんけど、あなたに『呪い』をかけてくる母親は、母親であっても『モンスター』です。
一緒には、いられません。
「お母さんなんか嫌いだ!!!」
と、いい年こいて反抗期になったかのように、叫んでやったっていいのです。
母親にも、事情があるのはそうでしょうし、つらかったのだと同情することもできます。
でも・・・・だからといって、息子に『呪い』をかけてもいいことにはならない。
そのことを、ちゃんと実感してもらわなくてはならない。
何より自分自身が、自分に対して『呪い』をかけてくる母親のことを、拒絶する勇気を出さなくてはならないのではないでしょうか。
まぁ、ね。
最終的に人生のどこかでは、もう一度仲良くなれるのが最高かもしれません。
いつか、全部ひっくるめて、母親のことも、自分のことも、赦せる日がきたら、それは素晴らしいこと。
でも、とりあえず今の今は、そんなこと考えなくて良いですから。
とにかく、自分に『呪い』が掛けられていることを自覚して、それを解いてください。
できる限り、優しい手段が取れたら、本当に素晴らしい。
けれども、どうしても無理なようだったら、しっかり嫌って、しっかり離れてください。
そうでないと・・・・男性はいつまでも、自分の根本的な部分にある男性性に、自信を持てないままです。
自分の男性性の強さを信じ切れない男性は、いつまでもそれを発揮しきることができませんもの。
ちなみに、僕は、ハッキリ言いました。
母が、父の悪口を言うのはすごく嫌だったし、それだけならまだしも、僕に対して「あなたの顔が年々お父さんに似てきて不快」とまで言われたから、それがいかに嫌かを伝えて、基本的には交流を絶ちました。
正直、母親のことは大嫌いですね。現時点では、次に会うのは葬式の時でいいと思うくらい嫌いです。
先日、弟の結婚式で会ってしまいましたので、仕方なくいつきを抱かせてやりましたが・・・・もう二度とそんなことはないでしょう。
というくらいには、嫌いです。
でも、嫌いだ、嫌だってきっぱり言えたことで・・・・僕、だいぶスッキリしたんですよね。
それまでは、「母親に嫌われないために」女性性を発揮しなければならないと思っていましたけど、そこからはわりと、無理せず難なく、それまで以上に自分のエネルギーをコントロールしやすくなった気はします。
まぁ、ただ・・・・僕が実の母親を嫌っているということ自体が、今度はいつきとまりこの母子関係に影響してきてしまってはよくないので・・・・
これはこれで、いつかちゃんと、どこか収まるべきところに収められたらいいなぁと思っていますが。
だから、まだ途中経過ではありますが・・・・
今は、「嫌い」になれて、すごくホッとしています。
この話は、冒頭に書いたように、「男性⇔母親」だけではなく、当然「女性⇔父親」にも当てはまると思います。
父親に、母親がディスられてるような家庭で育った女性は、そりゃ男性不信になるでしょうに。
父親は、もしかしたら悪気が無く、ただただバカで昔気質だから、ちょっと母親を小ばかにしているだけのつもりかもしれませんが・・・・
その振る舞いが、娘にどれだけの悪影響を与えていることか。
夫婦仲が良いことが一番の教育なんだってことを、そういう親はどいつもこいつも知らなさすぎね。
知らず知らずに、夫婦で互いをディスりあって、子どもに『呪い』をかけていく。
悪気が無いのなら、それが「悪い」わけじゃないですけれども・・・・
だからといって、子どもが割を食っていいことにはなりません。
もし、親に対して、こういうことの心当たりがあるのなら・・・・
それはちゃんと、『解呪』に動きましょう。
恋愛で目の前の異性をどうのこうのするより、ビジネスをどうのこうの頑張るより、多分何より一番優先的な課題になりえることだと思います。
親を恨むな。
恨みは何ももたらしません。
でも、嫌うのは自由。
それはもう仕方のないこと。
嫌ってしまえばいいんです。
そうやって呪いを解いていこう。
そして、呪いが解けた先の未来で・・・・
もう一度仲良くなれたら、最高ですね。