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CancerX Story ~縄田 修一編~

CancerXメンバーがリレー方式で綴る「CancerX Story」
第18回は、CancerXメンバーの縄田修一です。
(冒頭写真:後列左から2人目 本人)



私のCancer Story


「この薬(モルヒネ錠)のおかげで痛みが和らいで家族と笑顔で話ができるようになったんだよ。それまでは、ずっと家族に八つ当たりをしてたんだ。薬ってすごいよね!」

薬学生の時に実習でお世話になった患者さんからの一言。
その時、薬のすごさを実感しました。当時は、モルヒネをがんの痛みに使用することは、まだ、少なかった時代。医療用麻薬の適切な使用を普及させたいと思い、緩和医療の勉強をしたいと思いました。

大学院修士課程に進み(当時、薬学部は4年制だったので修士課程がありました)、新潟の緩和ケア病棟に1週間研修に行ったり、緩和ケアマニュアルの作成で修士論文を書いたりしました。

その後、横浜市内の大学病院に就職し、緩和ケアチームの一員として活動しながら、がん薬物治療と緩和ケアの距離を感じ、がん治療の勉強をしたいと思い、日本病院薬剤師会の研修事業で「国立がん研究センター東病院」に3ヵ月研修に行きました。当時、一番“熱い研修”をしていると評判だったのが、東病院でした。動物舎の上にあった一泊500円の研修施設に泊めてもらった日々は今でもいい思い出です。そこで出会った仲間たちは、今でも「がん治療と向き合う心の支え」です。

医療薬学会がん専門薬剤師・指導薬剤師を取得し、全国のがん治療にかかわる薬剤師のネットワークができました。多くの患者さんとの出会いもありました。StageⅣの咽頭がんで、治療に伴う疼痛コントロールのために毎日病室を訪ねていた患者さん。その方には小学生のお子さんがいて毎日病室で話しかけていましたが、中々話してくれませんでした。その後、がんは完治し、夢だった居酒屋をOPEN。みんなで行った際に、大学生になったお子さんがお店を手伝っていたのは感無量でした!

2014年頃、自分が対応できる患者さんは限られていると思い、それならと縁があって、母校で大学教員をやりながら臨床で働ける道を選択しました。現在は、大学1年生からがん関連の授業を受け持ち、5年生・6年生の実習ではより多くのがん患者さんに学生が向き合えるようにしています。がん患者さんに向き合える次世代の薬剤師が一人でも多く育つことを願っています。

また、いくつかの患者団体でもお話をさせていただいていますが、NPO法人女性医療ネットワークの活動で行われている「マンマチアー委員会」では、2013年から今までに8回お話をさせていただいていています。


CancerXに参加したきっかけ


最初の接点は、WCW2019に参加したのことでした。
「がんと言われても動揺しない社会へ」の合言葉にとても感銘を受けたのを覚えています。その後、昭和大学リカレントカレッジでCancerXのメンバーが、講座を担当するということで参加をしました。しかし、業務多忙を理由に最後の課題を提出せずに終わってしまい、リベンジをしたいと思い、昨年、長期ボランティアで参加し、今年から社員で参加しています。

産学官民医といった多様な立場の人が集まるCancrXめちゃくちゃ刺激をもらっています!


今後の展望


「がんになっても今までと変わらぬ生活を送れる社会の実現」というミッションのもと、20年以上がん医療に関わってきました。ここ数年は、医療者だけでは実現できないと痛感する機会が多いです。

がんという病をそれぞれの立場でそれぞれに理解し、その個々の理解が融合したときに、ミッションが達成できると信じています。そのためには、CancerXは欠かせない団体。多くの方がCancerXに出会えるような活動をしてきたいと思っています。


プロフィール

縄田修一 Shuichi Nawata

神奈川県横須賀市で育つ。
日本一海に近い小学校で学び、水泳の授業は近くの海。
日本医療薬学会がん専門薬剤師・指導薬剤師を取得。
博士(薬学)を取得し、現在は、母校の昭和大学 薬学部 病院薬剤学講座 准教授、昭和大学横浜市北部病院 薬剤部 部長として、教育・研究・臨床を通して、がん患者を支えるとともに若手の教育に尽力。

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