WCWのテーマについて -クリエイティブディレクターの視点から-
みなさま、初めまして。CancerXの活動においてクリエイティブディレクションを担当しております。金そよんと申します。
一般社団法人であり、がんにまつわるあらゆる課題と向き合う活動において、「なぜクリエイティブディレクションが必要なのか」について疑問を感じてらっしゃる方も多いと思います。
わたしの経歴としては広告会社でコピーライターとしてのキャリアをスタートさせ、その後、女性を支援するNPOにて2年ほど勤務後、今年コピーライター・クリエイティブディレクターとして起業しました。CancerXとの関わり始めたきっかけなどは「CancerX Story」でお話しする機会があるかと思います。
Social Action ✖️ Creative Direction?
ソーシャルアクションにクリエティブディレクションは必要?
さて、一般社団法人CancerXにおける「クリエイティブ担当」としての一番大事かつ大きなプレッシャーを感じるのは、毎年開催しているWCW(ワールドキャンサーウィーク)のテーマ決めです。
団体としてのミッションを掲げているところは多いと思うのですが、毎年のテーマを決めている団体は多くないような気がします。
我々が毎年イベントのテーマを決める理由は、以下の3つです。
・がんにまつわる課題は、時代によってアップデートされているため
・日英のテーマを設定することで、世界中の団体との目線合わせができるため
・関わるすべての人の目線を合わせることで、深く議論できるため
2019年にスタートし、オフライン・オンライン開催を交えながら、これまで6回開催。2025年1月には7回目のWCWを開催することが決定しております。
WCWテーマの振り返り(と個人的感想も)
それでは、時を戻して、2019年に開催した第一回目のWCWのテーマから振り返ってみようと思います。
2019年 Cancer So What?がんと言われても動揺しない社会へ
→CancerXのミッションでもある「Cancer So What?」という言葉を掲げて、初回のWCWをスタートさせました。がんを病気を超えた「社会課題」と捉えて問題提起していく。やや強気かつ構えの大きいメッセージを打ち出したことで、世の中を注目を集めることができました。
2020年 Break the Limits!
→みんなの心の中にある限界(がんに対する固定観念や諦め)を突き破ってほしいという思いから生まれた言葉です。あらゆる立場の、ひとりでも多くの人が、自分の限界を超えていかないと社会は変わらないなと思って書いた言葉です。
2021年 with Cancer
→がんの課題は、病気そのものの大変さだけでなく、それまでの生活や価値観をも変えてしまう可能性があるということ。そして、それついて当事者になるまで気づきにくいという点にあります。「働く」「食べる」「移動する」「寝る」など、人生のあらゆる場面において「with Cancer」という視点と関わりを持つことが大事であり、必要だと知ってほしい。そんな思いを込めたメッセージです。
2022年 Exchanging Ideas & Sharing Views
→我々の活動指針として掲げている「Collective Impact」を強く意識した言葉になります。「Collective Impact」とは、さまざまな立場(医療者・研究者・がん経験者とその家族・民間事業者・行政といった多様な立場の参加者)の人がアイデアや視点を掛け合わせるころで、新たな気づきを手に入れてほしいという思いを込めています。
2023年 Collective Action! 思いをかけあわせて、次のアクションへ
→2022年度のテーマを受け継ぎながらも、がんという社会課題と向き合うためには、さらなるアクションが必要であるというメッセージを発信しました。
2024年 Empower through Dialogue 問いは、はじまり。
→毎年ステートメント(キャッチコピーを補うための長めの文章)も書いているのですが、2024年がなぜ「問い」をテーマにしているのかについて触れています。「問うことは誰かの心をノックすることであり、 誰かの声を聞くきっかけになる。そして、自分を見つめ直すきっかけにもなるのだ。問い合い。会い進む。」コロナが少し落ち着いた頃でもあって、直接会って問いかけあって一緒に進みたいという思いも込めました。
そして、2025年WCWのテーマは?
そして、7回目を迎えるWCWのテーマは、「Together, We Move Forward. Together, We Change. あなたが動くと、変わり始める。」です。
実は、今年のテーマは、これまでのテーマの中でも最もCancerXらしいと思っているんですよね。(いきなり個人的感想ですみません)
「関わりながら、生きていく。CacnerX」 CancerXを立ち上げた当初、書いた言葉です。
一緒に考えて、悩んで、行動してこそ、CancerX。
テーマって、誰が、どう決めてるの?
毎年のテーマをまるでわたしひとりで書いたように書きましたが、それだと「アレオレ詐欺*」です!
テーマ決めのプロセスは、CancerXのメンバーたちが多様な視点から問題提起をし、海外と日本国内における「がんという社会問題」への取り組みのの現在地を確認し、Cancer Agenda(がんと言われても動揺しない社会を作るための「今、達成すべきこと(アジェンダ)」と照らし合わせたうえで、言語化していく。
と書くと、ものすごく複雑で難しそうに聞こえますが、みんなであーだーこーだ言い合いながら案を出して、一緒にブラッシュアップしていく感じです。わたしはクリエイティブディレクターという役割ではありますが、まずは聞き役に徹し、材料を揃えて、「さあ、どう調理していこう!」と言った感じで書き上げています。テーマ作りにおいてもコレクティブインパクトを大事にしているとも言えると思います。
(*アレもコレもオレがやった仕事だよ、という詐欺じみたウソのことを指します。業界用語でしょうか。)
最後に
大変長くなりましたが、WCWを「イベントテーマ」という切り口と「クリエイティブディレクター」の視点でお伝えしてみたく、書いてみました。
テーマ決めは、WCWが開催される半年前ぐらいから始まります。その前の年のWCWを終えて、各セッションの振り返りが終わったら、次のWCWの構想を練り始めるイメージです。(CancerXのメンバーは専任ではなく、みんな本業を持っているので、本人が稼働できる範囲で自分のペースでコミットしています)
「今年のセッションからこんなアクションを始めてみたいと思う」「Cancer Agendaのここが伝わってないよね」「来年はこんなセッションやってみたい」など。メンバーの動きやセッション構成をなるべく客観的に見渡しながら、みんなの思いやアクションの共通項を見つけて言葉にすること。
実は結構プレッシャーを感じる作業なのですが、WCW全体を俯瞰する鳥の目と、ワードひとつひとつを選ぶ虫の目の両方をフルで稼働させながら仕上げていく作業は、コピーライターとしてCancerXに関わる醍醐味でもあります。
繰り返しになりますが、2025年WCWのテーマは「Together, We Move Forward. Together, We Change. あなたが動くと、変わり始める。」です。このnoteを読んでくださったあなたがアクションすることで、社会は必ず変わり始めます。ぜひとも、一緒にアクションしましょう。
(ちなみに、CancerXがなぜ「Cancer Collective Impact」や「Cancer So What」という名前ではなく、「CancerX」なのかについては、またの機会に投稿したいと思っております!)