World Cancer Week2024リポート 【CancerX 課題発見】〜課題発見のその先へ。進化思考で「未来」を体験する方法〜
2024年1月28日〜2月4日まで行われた、World Cancer Week 2024
このリポートは【CancerX 課題発見】についての報告です。
■開催概要
【日時】2024年2月4日(日)
【形式】リアル開催 東京・聖路加国際大学
【登壇者】
大浦 イッセイ 氏 (NPO法人 まもるをまもる・代表理事)
久保 とくみ 氏(MiaLuce inc. / 闘病コミュニティRe:live )
水谷 真一郎 氏 (パパリボン 代表 / Creative CARAVAN inc. CEO / クリエイティブディレクター、プロデューサー )
宮野 貴至 氏( 元芸人 / YouTuber )
モデレーター:西垣 孝行 氏(藤田医科大学 医療科学部 臨床医工学分野 医療准教授 / 臨床工学技士 / 応用情報科学博士 / NPO法人 まもるをまもる 代表理事 )
■セッション概要
これまでCancerX課題発見は、アートや写真を使った「対話型鑑賞」を使って、CancerXに関わる人々の多様性を活かし、個人の思い込み(バイアス)に気が付く練習を行ってきました。
たくさんの「気づき」は、問題の本質や潜在的なニーズを読み解くのに必要不可欠です。課題を整理して進化させたい「X」を見つけた後は、太刀川英輔氏の「進化思考」のフレームワークを使います。生物が進化した構造と同様に、一人一人の創造性を引き出すことで、膨大な知恵の組み合わせから、誰でも解決策が導けることを伝えてきました。
今年は、進化思考の中でも、最も楽しく、最も刺激的な、未来を体験できる手法である「フューチャーセルフ」ワークショップを実施します。
皆さん全員が、自分でも気が付かなかった「妄想力」や「発想力」に驚くことになると思います。誰でも簡単に実施できますので、一度体験して、自分の家庭や職場に持ち帰っていただけたら幸いです。
■セッションサマリー
今回のセッションリーダーを務めたCancerXメンバーの がきさん(西垣 孝行氏)に、セッションについて話を聞きました
1、セッションの狙い
5年が経ち、多様な方々が参加くださるようになったことから、課題発見のその先へと「進化思考」で未来を体験してもらう、フューチャーセルフを実施しました。未来の自分を他の参加者に語ってもらうことで、知恵と知恵の融合が起き、自身では考えない、思いもつかない未来像が生まれることもあると考えました。
2、フューチャーセルフとは?
太刀川栄輔さんの著書「進化思考」に登場するフューチャーセルフをCancerX課題発見用に改良したワークショップです。
①まずネコさんが、自分について2分間自分の気になっていることや最近の取り組みについて語ります。
②イヌさんが、2分間インタビューでネコさんに質問します。
③その姿をウシさんとトリさんがメモを取りながらしっかりと聴きます。
④ウシさんが、ネコさんの5年後の未来人に成り切って、インタビュワーのイヌさんから2分間、5年後の未来について質疑応答に答えます。
⑤次に、トリさんが、ネコさんの10年後の未来人に成り切って、インタビュワーのイヌさんから2分間、10年後の未来について質疑応答に答えます。
⑥最後に、ネコさんが、自分の未来を語ってくれたウシさんとトリさんの未来について、どうのように感じたのか、グループ内でシェアします。
この一連の流れを、4人で順番に役割を回して、全員が、未来を他の参加者に語ってもらう体験を実施しました。 この一連のワークショップを、「フューチャーセルフ」と言います。
3、セッション設計で注意したこと
わかりやすさを第一に考えました。
特に「分担をはっきりさせること」「インタビュー形式で緊張しすぎない場を成立させること」を目指しました。
4、セッションをやってみて
それぞれの発言を、中途半端に聞けない環境となったため、周囲の全員がプレイヤーになりました。また、安心安全の盛り上がりを体感してもらえたと思っています。参加者は、未来を語った後の感想を語ることになるが、これにより自分のバイアスが外れ、自身では思いもつかないような自分に気づくことができている様子が伺えました。「よしよし!出せてる!」と実感をしました。
参加者の方が、セッションで使用したメモ(付箋)にたくさん書き残してくれたり、自身への感想をメモして持ち帰る様子も多くみられました。セッションが大いに盛り上がったと思っています。
5、やってみて思ったこと
自分で「5年後どうなってる?」と考えることはなかなかないが、他人に「5年後」を考えてもらうことで、改めて自分自身がどうなりたいのかをきちんと考える場を作ることができたと思っています。
また、周囲からの発言やリアクションを受け、更に何かアクションを起こしたい!と考えている様子が感じ取れました。
例えば、この手法を使って、CancerXメンバーでCancerXの5年後について話すことも良いのではないかと思っています。
6、参加者の感想から
「私が思い描く"がんを取り巻く社会にこうなってほしい!こうしたい!"という意見に対して、様々な視点から意見をいただく機会になりました。特にこのワークショップでは、未来視点で多様な意見をいただけたため、自分だけでは想像できないような視点に気づくことができました。」
「知らない人かつバックグラウンドやジェネレーションも様々な方と話し合う機会があってとても面白かったです。科学の力によらず人の力だけでタイムトラベルできるという奇跡的なワークでした。」
「自分の進化した姿を他の人の視点で述べることにより、その人が思いつかなかった将来に向けたアイデアがどんどん飛び出し、本人もわくわくしながら、自分の将来の姿を体験するというものでした。例えば、5年後10年後障害者の姿は、障害者と健常者と格差がなくなり融合している、障害者が人事担当となり人を採用しているなど、自分が考えていなかった5年後10年後の世界に連れていっていただきました。」