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末期がん患者に対する全身療法は効果なし


おつかれさまです。

本日もセンセーショナルなタイトルですね。

m3という医療サイト、医師が登録して情報得たり共有するサイトのひとつですが、こんな記事が出ていました。

抜粋ですけど、海外の研究報告です。

米イエール大学がんセンターのMaureen Canavan氏らによる研究
「JAMA Oncology」掲載

末期がん患者に対する全身薬物療法の問題点
 入院率や集中治療室の利用率の増加
 ホスピスへの移行の遅れ
 生活の質(QOL)の悪化
 医療費の増加

これは実際の臨床現場や臨床研究で報告、証明されています。

調査対象 死亡前14日以内に化学療法を受けた患者
     成人患者7万8,446人

結論  全ての癌腫において、この時期の薬物療法は生存に寄与していない
    可能性が高い
    治療継続は無駄であり、緩和ケアや支持療法に重点を移すべき時期を
    遅らせている可能性がある


以前から言われていることです。
僕も、自分がカテをして、抗がん剤治療をして、その後緩和治療をしてきた患者さんを最近ひとり失いました。

ただ、最後に抗がん剤を打ってから亡くなるまで5ヶ月程度の期間がありました。
その5ヶ月は、ご本人のため、QOLを維持するために緩和治療、内科治療をしてきました。おそらく、この患者さんに、効果が不透明な抗がん剤をやり続けたら、がんには効かない、副作用がつらい、結果として余命が短くなる、こういうことが生じたと思います。積極的治療のやめ時って、本当に大切だと思っています。

ただ、当科の治療は、従来の標準的治療は中止するべきだが、全身的にがんが悪いのではなく、どこか限局した部位のがんが特に悪い、その結果、QOLが悪化したり余命に影響したりする、その場合、完治はできません、できませんよ。
しかし、重要な部位に集中して治療することで、多くの大学病院やがんセンターでホスピスを勧められるしかなかった患者さん、その一部の患者さんが、血管や臓器の場所からがんカテに適している場合は、ホスピスの前に積極的に治療しています。

僕は、そういった意味で、自分の治療を緩和動注、と表現したりしていますし、実際に palliative transarterial chemotherapy として学会発表や論文を書いています。

緩和は終わりではなく、症状の緩和は生存の延長に影響することもすでに論文で証明されています。

局所治療を後半戦でうまくつかう、これが当科の考え方であり、
放射線治療科や緩和治療科の先生方にもいつもご協力いただき
治療体系ができています。




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