緩和治療もやってる立場でのカテーテル治療
がんカテを当院でやり続ける理由は3つ。
育て上げたスタッフがいること、協力してくれる病棟やケモセンターの看護師、薬剤師の理解があること
IVR-CTがあること
3つめは、緩和病棟で実際に緩和の患者さんも並行してみていること。
上記2つはいつも書いてることですが、
3つ目は自分にとっては非常に大きい。
なぜなら、後半戦の癌治療の先には緩和治療がある。
緩和治療を知ることは、自分が後半戦に関わる医師として何が求められ、
カテーテルで何をすべきかよく理解できたことだ。
前方治療はがんセンターで勉強、実践できた。
ガイドラインの中で、その時代の典型的な最善治療をしてきた。
ただ、後半戦は、患者個々の状態が違いすぎて、
治療に携わる医師のスキルだけでなく、医師としてのモラル、ポリシー、死生観など、いろんなことが、患者治療に影響する。
その中で、今も緩和病棟を間借りしてカテをやっているわけだが、
実際にカテをしてる患者さんも緩和病棟の看護師に看護され、
時に緩和治療とは、と将来の自分のことを考える参考になったと言ってくれるし、
また、中にはカテができなくなったあと、そのまま同じ病棟で僕が主治医として緩和治療をしている患者さんも今も入院しており、
患者さん自身もカテの時からの長い付き合い、よい後半戦、緩和治療ができている。
緩和治療で思うことは、目の前の患者さんが、来週、再来週、どのような状態になるか予測できることだ。それを、緩和治療になる前からさらに予測すれば、先々、この患者さんが一番問題となり、亡くなる原因となる状態が予測できる。
がんカテは局所治療。がんは、生き物。
体の複数箇所に病気があっても、その増大速度や治療効果は一様ではなく、
また体への影響、予後への影響も本当にさまざま。
だから、それら全てを予見して、がんカテのターゲットを決定し、
時にがんカテで狙えない場所はサイバーナイフで放射線治療科の先生に制御してもらい、漫然と全身薬物治療をやって効果なく副作用で苦しむよりも、
先に鍵となる臓器、病気を救命することを意識して治療適応を判断している。
そこにがんがあるから、そこに治療する。
そんな考えでは、将来の命は延長しない。
ここで、終末期の患者さんを看取ってきた数だけ、
緩和治療科の先生にご指導いただいた数だけ、
がんカテが成熟してきたと感じている。
ちなみに、終末期といってもさまざま。
元気でもいろいろな問題があってホスピスにいる方もいる。
今もそういう患者さんが入院しているが、基本内科的にうまく全身状態をコントロールしてしまえば、あとは
談笑、世間話
をしていることも多いですね。
終末期と言われてすぐ死ぬわけではありません。
僕の患者さんたちは、良い方向で、僕の余命予測をとんでもなく外し裏切ってくれています。