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東洋医学の神秘

以前にも書きましたが、変形性脊椎症です。
職業病なので、僕と同じくIVRに専従している医者は、もれなく腰痛持ちです。

学会の飲み会の席でも、50代オーバーが増えたこともあり、さらに鉛のプロテクターで潰されまくった腰椎にともなう腰痛、神経痛の話ばかりで。
うちらの業界あるあるです。

僕は、患者さんと良く話をするほうです。
そのせいか、立場がありますので友達にはなれませんが、
仲の良い知り合い、くらいには、ざっくばらんな話をすることも多いです。

また、特殊な治療をしているため、全国から、いろんな立場、職業の方がカテのために通院することが多く、意外と実は医療者だった、こともよく経験します。
医療者って、つい、専門用語を会話の中で意識してても使ってしまいます。
こちらも、相手が看護師や医師なら、あえて回りくどい説明しなくても、専門用語使いながら説明した方がらくなので、

「ねえ、〜さんって、医療関係者ですよね?」

と結構当てます。

今、カテをしている患者さんの中に、鍼灸師さんがいるのですが、
この患者さんともよくお話をします、いや、よくお話をされる患者さんなので(笑)、看護師さんたちともよくしゃべってますね。

まだカテを4回程度しかしたことがない関係ですが、最初からなぜか僕は自分が変形性脊椎症で、左の坐骨神経症状が最近悪化し、歩いてたり立位を続けると時々左足が痺れてきて、立ち止まることがあります。そんな話を患者さんにしたんですよ。そしたら、患者さんの目が輝いて、ちょっと先生、みせてください、と、まあ病院なのであくまで個人的なボランティア的な範囲ですが、自分の体を診てもらいました。

どうも僕は、身体ががたがたらしいです(笑)
面白いのは、僕は腰痛と左坐骨神経痛を患者さんに伝えたのですが、
鍼灸って不思議ですよね、身体をあちこち押されて反応を確認されました。
背中だけでなく、顔から肩から足の先まで。

私のカテの時に最高のコンディションでお願いしますよ〜と笑いながら
簡単な整体のような施術をしてもらいましたが、直後から随分と腰痛だけでなく
両足の疲労感、目の疲れが軽くなりました。

そして、後日談があるのですが、その患者さんから、大阪で開業されている鍼灸整体師さんを紹介されました。患者さんのさらに先輩らしいです。
ちょっと時間的に忙しかったのですが、これからもカテを続けることを考えるとこの腰痛と坐骨神経痛が軽くなることはとっても重要。
土曜日に受診し、施術を受けました。

気さくで、懐の深い、本当に良い先生でした。
驚いたことに、僕は直接針を刺されるところを見てないのでわかりませんが、おそらく、頭頂部と左右の側腹部の3箇所しか針を刺していません。
それなのに、あれだけ1日数回痺れる坐骨神経痛が、今のところほぼ消失しています。本当にすごい。これからも通いますし、家族も今度診てくださることになりました。

がん医療って、他の疾患の治療より、患者さんと話す時間は相当長くなります。関わる年数も長くなったりしますので、もろプライベートがでたり、お互いの性格がわかります。そんな中で、こういうご縁で自分の治療につながったのはラッキーでした。

さて、今まで書いたのは、経過報告だけで、僕が書きたいことは書きのごとく。

遺伝子医療も免疫治療も、最新と言われている医療は、検査値の1点1点、もしくは画像という情報から治療法を決めます。特に、個別化された遺伝子治療は、異常な遺伝子のひとつがあれば、それに結びつく薬剤を使用する時代です。

一方、僕が今回の鍼灸で感じた東洋医学は、検査は、施術する先生の指先と感覚、経験だけです。僕ら、西洋医学をやっていると、ついつい患部ばかりに目が向いてしまって、全身をみれていないことがあります。患者さんが抗がん剤の副作用でしんどくても、それを気にせず数字だけ見て投与し続けること、ありますよね?
(僕はしないけど)

東洋医学って、僕が感じたのは、まずは全身を診る、知る。それは、やはり病気も健康な臓器も、全部ひとつなんです。ひとつの体の中に入っていて、協調しますし、悪くなれば他のところに悪い影響を及ぼします。(だいたい正解?)

ちゃんとそこまでお話ししていませんが、僕の患者さんも、土曜日施術してくださったゴッドハンド先生も、やはり最初に全身をくまなく確認してくださいました。また性格や精神的なことも質問を受けました。

これって、普段僕がしているカテーテル治療でもふとやってることだなと感じました。カテーテルは局所治療です。そうすると、実施者はその臓器、その病気ばかりに目が向いてしまう。そうならないように、僕は患者と話をし、定期的に(僕は気の流れがわからないのでCTで)全身検索します。西洋医学って、経験は非常に大きいのですが、一定レベルの知識と技術があれば一定の結果がでるようにエビデンスが重視されますよね。東洋医学って、僕は本当に見聞したわけでも調べたわけでもないのですが、師匠から弟子に経験と知識が伝授され、西洋医学では説明がつかない治療と結果をもたらしてくれます。もたらされた僕が実感しています。

東洋医学を西洋医学のように、科学的、画像的に研究されれば、もっと広まるかもしれませんが、やはり実際に東洋医学を経験しないと、西洋医学しかしらない僕らは、東洋医学に関しては、わからない、どうぞやってください、と、患者さんから言い出さない限り勧めたりしません、できません。

でも、僕は、がんも含めて、病気は、局所だけでなく、全身が複雑に関与し、科学だけでは到底説明できないことがまだまだ無限にあると思うし、今回そう感じました。

なぜって?

僕の腰椎のX線写真をみて、100人の整形外科は、100人とも、
ロキソニン飲んで、安静ですね。
というでしょう。

針を3箇所刺して症状が軽快する、それもキレがいい
(キレがいいのは、がんカテと同じで、こういう結果がメリハリあるの、好きです)

すげえな、東洋医学。

もう、僕の年齢と残り時間では、東洋医学を学ぶ時間がない。
だから、今まで通り、自分のがんカテで救える患者さんを救い続けたい。

ただ、自分の身内が、東洋医学をやってみたい、ともし言ったら、
全身全霊で応援してやりたい。

そして、将来、よぼよぼになった僕を元気にしてほしい(笑)
僕は医者だから。西洋医学の限界を知ってしまっているから。

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