今年も癌治療学会で発表してきます
10月下旬に福岡で行われる
第62回癌治療学会学術集会に今年も行ってきます。
もう医者25年くらいやっていると、
地方会といった小さな学会、研究会には自分の研究発表はしないようにしています。自分も若い時は、こういう小さな学会で発表して度胸をつけてきたから。
そして、さすがに、自分のやっている臨床、そして研究は
他ではやっていないことなので
できるだけ規模の大きな学会で発表しようとしています。
といっても、こういう学会は、誰でもできるわけではなく、
事前に発表の募集がかかり、英語で、私はこういう研究をしています、という研究の概略(抄録)を学会に提出。
それをえらい先生方がみて、採択か不採択か決めます。
自分は、放射線科であり、腫瘍内科であり、IVR医です。
なので、これに関係した一番大きな学会に毎年演題を出すようにしています。
今回の、癌治療学会学術集会
日本医学放射線学会総会
そして、日本IVR学会総会
この3つは必ず演題を出しています。
幸い、この3つ全て、過去15年間くらい、演題が通って発表させてもらってます。
もう50すぎると、臨床だけで疲れて、研究したくなるなるもんなんですが、
やはり新しい治療をやっている立場上、しっかりと成績を奉告する義務があると自分に言い聞かせています。
ちなみに今年の発表演題は、
積極的症状緩和を目的に緊急的肝動注を実施した高度肝機能障害を伴う大腸癌肝転移
というタイトルです。
簡単に言えば、肺転移があっても、リンパ節転移があっても
通常の薬物治療で制御できない肝転移があって、
このままでは肝不全で余命3ヶ月以内と思われる緊急性のある大腸癌肝転移の患者さんに
当院で長年実施している肝動注を、緊急入院や他院から転院させて
救命と症状緩和を目的にやった成績、です。
非常に、非常に、状態の悪い患者さんばかりで
すでに前医で完全に治療を諦められている患者さんだけでした。
ただ、僕はこの肝転移の治療に自信があります。
それだけ、過去にだしてきた成績がいいからです。
通常は待機的に実施するのですが
これを緊急的に実施した症例の成績を発表します。
普通の先生方は、肺転移があるのに、肝転移の治療をしても意味がない、という場合が多いかもしれません。
自分は、抗がん剤治療やカテーテル治療以外に、緩和治療にも首をつっこんでます。
実際に看取った患者さんで、肝転移、肺転移、リンパ節転移があって、
肺やリンパ節が原因でお亡くなりになった患者さんは、ほぼ皆無です。
死因のほとんどは、肝転移悪化による肝不全です。
だから、例え、肺転移があろうとも、肝転移が切迫していたら
僕は肝臓を救いにいきます。
そういうポリシーの詰まった発表です。
さて、息抜きに学会中は福岡でうまいものでも食べてきますよ。