地方公務員のレンタル移籍制度プロジェクト報告
こんにちは。平成最後の日、いかがお過ごしでしょうか。僕は昨日住み慣れた大田区から鎌倉市に引っ越してきて、山積みの段ボールに囲まれながらキーボードを叩いています。
さて、2019年1月5日に「サッカーのレンタル移籍制度、地方公務員でもできるんじゃない?」と題したnoteを公開しました。
このnote、熱が籠ってしまい8000字くらいの長文になってしまいましたが、幸いなことに多くの方にシェアしていただきました。自治体の首長、管理職、若手職員、さらには民間からもコメントがあり、このテーマに対する問題意識の高さを感じています。今回は、ここまでのプロジェクトの進捗報告と、これからの展望を書いてみたいと思います。
木下斉さんとのプロジェクト化
このプロジェクトが一気に進んだきっかけは、一般社団法人エリア・アライアンス・イノベーション(以下、AIA)代表理事である木下斉さんにシェアしていただいたことです。
早速ご連絡差し上げたところ意見交換(という名の飲み会)の機会いただきました。僕自身は「自治体」や「公務員個人」の観点でしか見ていませんでしたが、自治体と一緒に事業を推進する「民間」側にも、公務員の人事が大きな影響を与えていると教えていただき、一緒にAIAでプロジェクト化することに。ファーストアクションとして、まちを本気で変える人のWebマガジン「AreaInnovationReview」にて木下さんと私の対談記事を公開しておりますのでご覧ください。(購読には会員登録が必要です)
3日間で100人以上、集まった共感の声
noteの反響が大きかったので、実際にレンタル移籍をしてみたい人がどれ程いるのかSNSで募集したところ、なんと3日間で100人以上のエントリーがありました。最終的には144名になっています(現在は募集終了)
この中には、すぐにレンタル移籍をしたい訳ではなく取組への賛意を示す意味でエントリーしてくれた方も含まれていますが、若手職員~局長まで、事務職~技術職まで、幅広い層の方からコンセプトレベルで共感していただけた事実に、自信が深まりました。現場はOK、次は首長がどのような反応を示すか知らねば。
現職市長との対話
そのような折、FacebookやTwitter上で現職の市長お二人からも詳しく話を聞きたいとお声がけいただきました。素晴らしいタイミング。折角の機会ですので両方とも訪問させていただき、一つは実際に市長・副市長と、もう一つの自治体は人事部門のトップと意見交換を実施しました。
その中で、構想を現実に落とし込んで行く上で最大の壁が見えてきました。それは「優秀な人材をレンタルで借りたい自治体は多いが、レンタルで貸したい自治体は無い」ということです。
考えてみれば当然ですが、他自治体から名指しで欲しいと言われるような人材は、現在の自治体でも主力中の主力を張っているケースが殆ど。期間限定とはいえ、敢えてその人を貸し出すメリットが無いのです。
研修を目的とした派遣であれば、派遣した職員の成長というメリットがあります。しかし人材不足の自治体において、既に中心戦力となっている人を出すのは極めて厳しい状況です。面談した方の言葉を借りれば、「今この役所からスペシャルな職員を5人抜かれたら、仕事が回らなくなる。この構想への参加は、非常に緊張感を伴う決断だ」
人事部門のトップとお話をしたもう1つの自治体では、より実務寄りな指摘もありました。「レンタル移籍で誰かを派遣したら、その人がやっていた仕事は誰がどうやって穴埋めするの?」といったものです。具体的なことは現場と一緒に詰めればいいやというスタンスで臨んでいましたが、今までと大きく異なる制度を提案している以上、細部を詰めていなければ現場からの共感を得るのは難しいなというのが正直な感想です。
レンタル移籍したい公務員は多く、借りたい自治体も多い。しかし貸したい自治体は無い。レンタル移籍制度を実現するためには、何らかの方法でこのギャップを乗り越える必要があります。
○1年以上の長期派遣になると派遣元自治体としてダメージが大きいのであれば、数週間程度の短期レンタルではどうか?
○週1~2日だけ他自治体で働く、兼務のようなスタイルではどうか?
などなど、多くの方からアドバイスをいただいています。今後のアクションとして、自治体人事の実務に詳しい方も交えながら、ワークショップを通じてスモールスタートが可能な形を見出していきます。
これからのアクション
これから進めていくのは、レンタル移籍を含めて以下の3つです。
【1】これからの自治体人事があるべき理想を作る
【2】レンタル移籍制度の「壁」を越える(既述)
【3】公務員が辞めやすい社会を作る
【1】については、「庁内」でどのような人事制度を実施するのが望ましいのか、あるべき理想づくりを起点に皆さんと議論を深掘りしたいです。アクションとしては、自治体人事に特化したメディアを作ったり、ワークショップをしようと思っています。
【2】については、「自治体間」の人事異動が対象です。これまで取り組んできたレンタル移籍には様々な壁がありますが、どうすれば実現できるのか引き続きお知恵をいただきながら模索していきます。
【3】については、長くなるので別の機会に書くつもりですが、公務員が転職しやすい環境づくりにチャレンジします。「官⇔民」「官⇔官」の双方で、より働きがいのある場所にスムーズに移動できる、人材流動性の高い社会を目指したいと考えています。
上記3つのどれについても、「関わってみたい!」と思うものがあればぜひご連絡ください。どれもが実験的な取り組みなので成功は約束できませんが、各分野の第一線で活躍している人たちと議論しながら新しい形を模索するのは面白いプロセスだと思っています。
令和時代の公務員制度を考えるBarを開催します
これから企画するところですが、5月~6月の平日に「令和時代の公務員制度を考えるBar」と題して、公務員制度についてライトに語るイベントを東京で開催する予定です。オンライン参加もできるようにしますので、ぜひご参加お待ちしています。
その他、この取組みに対するご意見や質問はいつでもお受けしています。TwitterのDMか質問箱へご連絡くださいませ!
■蒲原大輔 / Daisuke Kambara のtwitter
https://twitter.com/daisukekambara
今回も長文をお読みいただき、ありがとうございました。
私のノートをお読みいただき、ありがとうございます!