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足が小さい人が靴を作る理由

こんにちは。タイトル通りのnoteを始めてみました。

はじめましての方に簡単に自己紹介をします。

私は20㎝~21.5㎝の婦人靴を作っている女です。私の足が21㎝です。ブランドの専用ホームページとブログはあるのですが、こちらはもっとざっくばらんに?腹を割って?書きたいと思います。

私は靴は好きですが、マニアではありません。一般人並みです。ただ、執着がすごい。「私の足は21㎝で、靴がないことで諦めたことが多く、ぴったりの靴を入手したことで人生が変わった自覚があるので、執着しています」という内容のことを以下に書きます。長いので胸焼け注意。



パンプスとの別れ

大学生までは大きすぎるパンプスを引きずって履いていました。痛くて当たり前・靴は痛いものとしか思っていませんでした。
22歳の4月から、私は痛い靴を履くのをやめました。痛くない靴を売る靴屋に就職したからです。チャッカブーツとモンキーブーツを履いていました。別にパンプスが嫌いになったわけではなかったんですが…
21㎝の小さい足に合うパンプスは、日本全国、世界中からも靴を仕入れていたその店にもなかったのです。

痛くない靴はどこまでも歩ける喜びを教えてくれました。
でも。

パンプスが履けないなら、大好きなフリルや花柄の服も似合わない。
綺麗なバッグも、ロングヘアも、メイクもネイルもアクセサリーも全部私には不釣り合い。全部捨てよう、もう身に着けることはないのだから。
ああ、百貨店に入ったら後ろ指をさされそう、ジュエリーの店なんかに近寄ってはいけない、私なんかが触ったら笑われる。

こんな調子でとんでもない自己否定をしていました。22歳で好きなファッションを諦めようとした当時の私、不憫…

作ればよくね?

でもある時気づいたんです。
「ないない言っても欲しい靴は出てこない。21㎝で、脱げなくて、ちゃんと歩けるパンプスは、私が作るしかない。今わたしやりたいこととかないし!靴作りを人生の軸にしよっと」

重いような軽いようなテンションで
「たまたま」当時住んでいた家の近くに靴作り教室があったので通うことに決めて
「たまたま」その先生は素晴らしい女性で
「たまたま」私は素晴らしい靴作りメソッドのもと、1足の黒いプレーンパンプスを作れたのでした。

人生を取り戻す

そのパンプスは、服も、バッグも、ロングヘアも、アクセサリーも、メイクも、おしゃれをして出かける楽しさも、少しずつ取り戻してくれました。
黒いプレーンパンプスは、安心感も与えてくれました。
人生が変わったとしか言えないのです。

人生を取り戻したら勢い余って人生が変わっていった

自分の人生を取り戻しながら、脳内では。

『でもでも。もっといろんな靴が欲しい。
新しい靴がほしいと思うたびに、この長く険しい靴作りの工程を踏まないといけないの?めんどくさ!(注)
私はたまたま・そこそこ手先が器用だったし人生かけてやりたいこともなかったからできたけど、全世界にいる足の小さい人に同じことやれって言える?(ここで急に話がでかくなる)
そもそも、店先で見かけたかわいい靴が、自分のサイズで買えるようになるのがベストじゃない?

よっしゃ私が小さいサイズの綺麗な靴を量産するわ!私も助かって、ほかの足の小さい人たちも助かるなら、それって最高じゃない??』

なんか使命感みたいなものを感じ、ド田舎から上京することになりました。

靴作りの道に進むことに

こんな流れで靴作りの道に進みました。いばらの道とは知っていました。知っていたけど、思ったよりやべー。
でも靴作りの道に進んでいなくとも、自己否定の人生が続いていたと思われるので、しょうがないですね!


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