![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/147518963/rectangle_large_type_2_daae86fd9f219ac3c80c594408041924.jpeg?width=1200)
木の取説(2)
< 樹種/材種 >
表題の「木の種類」と書くと、山に生えている立ち木の種類を連想しますが、ここでは木材、建築に使用する木材に限定してお話いたします。
項目の < 樹種/材種 >( じゅしゅ/ざいしゅ )ですが、呼んで字の如く木の種類、木材の種類という意味で同じです。
この言葉は大工と材木商とのやり取りの中で、木材を購入する際に明細書の項目に使う程度で、普段の仕事の話し言葉で使うことは余り
ありませんが、便宜上ここでは使用します。
< ヒノキと雑木 >
「雑木」(ぞうぎ・ざつぼく)という言葉があります。
古建築の世界では、ヒノキ以外の建築木材を「 雑木 」として大きく分けます。
< 奈良時代の建築 >
「雑木」という言葉について、奈良時代の建築( 665~793年、7世紀後半~8世紀 )のことに少しだけ触れてみたいと思います。
中学や小学校の歴史の授業で「 律令国家 」や「 律令政治 」を習ったことを憶えておられますか?
奈良時代は律令政治が行なわれた時代でした。
律令体制下の寺院や行政機関の建物の建築工事は、
国家や地方行政が建築工事を管理し、施工する
つまり “ 公共工事 ” です。
現代の公共工事と大きく違うところは、
国や地方の行政機関が施工まで行なう
ことにあります。
公共工事を行なう際の資金はというと、これは今も昔も変わらず、“ 税金 ”になります。
古代の税金は、農産物や物品の納入と労役でした。
地方によっては、技術者や技能者の派遣、山間部からは 木材の納入 などが課せられました。
~ 奈良時代の建築については別のカテゴリーでもご紹介します ~
![](https://assets.st-note.com/img/1716274150014-uhLNnm7Rv4.png?width=1200)
現代ではよく見かける瓦葺きの建物は、古代の都市や寺院では主要な建物にしか用いられませんでした。
多くの建物の屋根は「すすき」「葦」などを使用した「茅葺き」や、ヒノキの皮を使用した「桧皮葺」(ひわだぶき)の建物でした。
ヒノキは目通りが良く( 真直ぐであるということ )、香りが良く、木肌がきれいで耐久性が抜群に良い。
それにも増して作業性がとても良い木なんです。
作業性が良いという事は、建築工事の工期や人件費に大きく貢献できるということになります。
ヒノキは建築材以外にも、お椀やお箸などの日用品、調度品、仏像などにも多用されます。
税金を木材の納入とした場合、本体から皮まで使えるヒノキを税の対象とするのが建築や物品の生産と管理を一貫して行なう行政にとって
有利であることは解かります。
税の対象であるヒノキ以外の木を雑木として扱い、ヒノキ 1 に対して雑木の数量を決めて、規定の木材数量を税として納めさせたことは
想像できます。
ヒノキ以外の木を雑木とした理由は他にもあるでしょうが、建築生産の一面・国の統治体制の一面からご紹介しました。