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ホワイトタイガーと写真をとる
[多読よみもの 単語レベル: ★★ やさしい ]
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1996年。
私はインドネシアのバンドンに住んでいました。
ある日、友達が遊びにきました。
「ひさしぶり!」
「ひさしぶり。元気だった?」
「バンドンに来てくれてありがとう。どこに行きたい?」
「ホワイトタイガーを見に行きたい!」
ホワイトタイガーは白いトラです。
めずらしいトラです。
バンドンの動物園に、ホワイトタイガーがいました。
このホワイトタイガーにさわることができました。
一緒に写真をとることもできました。
それで、とても人気がありました。
私たちは、動物園へ行きました。
少し歩くと、たくさん人が並んでいました。
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そこには、ホワイトタイガーいました。
首と足に鎖がつながれていました。
ホワイトタイガーの横で、たくさんの人が順番に写真を撮っていました。
こわがっている人も楽しんでいる人もいました。
ホワイトタイガーは、とてもおとなしそうに見えました。
私は少し悲しい気持ちになりました。
ホワイトタイガーには、自由がないように見えました。
「次、どうぞ」
私たちの順番が来ました。
私たちは、ホワイトタイガーのうしろに立ちました。
背中やしっぽをやさしくさわりました。
その時、ホワイトタイガーがふり向いて、私たちを見ました。
「わっ!」
「こわい!」
スタッフがホワイトタイガーの首をひっぱりました。
「びっくりしたー!」
「あぶなかったね」
私たちは笑って、ホワイトタイガーからはなれました。
ホワイトタイガーの横で笑っている写真と、驚いている写真がとれました。
数日後、新聞に動物園の写真がのっていました。
そこには、ホワイトタイガーがうつっていました。
その記事のタイトルは「ホワイトタイガーが写真撮影の客を食べた」でした。
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