日本酒と私〜卵酒(たまござけ)の思い出〜
[多読よみもの 単語レベル:★★やさしい]
昔からある日本のお酒の作り方が、ユネスコの無形文化遺産に決まりました。
日本酒や焼酎は 少し強いお酒です。
最近は 飲まない人も 多いです。
私も あまり 飲まなくなりました。
でも このニュースを聞いた時、私には 日本酒の思い出が たくさんあることに 気がつきました。
私が日本酒の味を知ったのは、まだ小学校にも入っていない 小さな子供のころでした。
晩ごはんの時、料理といっしょに いつも日本酒が入った一升瓶が ありました。
お酒が好きな父が、毎日 ビールの後に 日本酒を 飲んでいました。
父は お酒を飲むと、よく話すようになり、声も 大きくなりました。
母は それを うるさがっていました。
私は その様子が あまり好きでは ありませんでしたが、
父が飲む日本酒には 興味が ありました。
もちろん、まだ小さな私は 日本酒を 飲むことは できませんでした。でも、風邪を ひいたときだけ 特別に卵酒を 飲ませてもらえました。
卵酒は、卵と砂糖と日本酒を 混ぜた飲みものです。卵酒を 飲むと 風邪が治ると 言われています。
卵酒の作り方は 簡単です。まず、日本酒を 鍋で温め、
マッチで火をつけて アルコールを とばします。
次に、卵と砂糖を混ぜたところに、温めた日本酒を入れます。
これで 卵酒の完成です。
アルコールを とばしていますが、飲むと のどが熱くなります。子どもには 少しきつい飲みものでしたが、大人になった気分になるので、私はこの卵酒が 好きでした。
簡単に作れる卵酒ですが、毎回、味が 違いました。
母が作る卵酒には、よく 卵のかたまりが 入っていて、ざらざらして、のどごしが悪かったです。
父は いつも 作り方を変えていました。日本酒を 熱く しすぎないようにしたり、卵の黄身だけを 使ったり、お酒の量を 変えたりしていました。でも、だんだん 作るのが面倒になって 母に 作らせていました。
私は 10歳ごろから あまり風邪を ひかなくなり、卵酒を 飲むことも 少なくなりました。
でも、寒い冬の夜には 卵酒が 飲みたくなります。
ちなみに、この卵酒のおかげで 風邪が治ったかどうかは 覚えていません。
2024年12月
伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に決まったというニュースを見て