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Photo by
soeji
読書感想文:Dolly Alderton “Good Material”
ある日突然、4年越しの恋人に振られてしまったアンディ(30代男性)。晴天の霹靂のような別れにボーゼンとして友達(子育て中で忙しい)に泣きついたり、なんとか復縁できないかと画策したり、好きでもない子と付き合ってみたり、もがきながらアンディが失恋を克服する過程を描いたジタバタ・コメディです。
アンディは売れないコメディアンという設定。彼の一人称で進む物語は、まさしくスタンドアップコメディーの舞台そのもの。元カノへの執着とか未練とか、ドロドロした感情をこんなにコミカルに描けるものなんですねえ。
オーディオブックで聴きましたが、語り手さんが最高でした。イギリス人作家による作品なので、当然語りはイギリス英語。なぜにブリティッシュ英語って、「愛すべきヘタレ男」のキャラにこんなにもしっくりくるのでしょう。リベンジダイエット中のアンディと筋トレコーチの掛け合いをジムで走りながら聞いていて大爆笑、トレッドミルから落ちそうになりました。
なんで俺は振られたんだ!というアンディの魂の叫びは、読者の疑問でもあります。こいつ、こんなにイイやつなのに、なぜ?その答えは、最後の二章で元カノの視点から語られます。そして読者は気づくのです、この小説がただのお笑いではなかったということに。ネタバレしませんので、ぜひ読んで(聴いて)みてください。
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