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生成モデルの基礎――RNN(リカレントニューラルネットワーク)を解説します。

前回の記事ではGANについて解説をしました。今回は、「RNN(リカレントニューラルネットワーク)」の基本的な仕組みから応用例までを解説します。
今回の内容も生成AIパスポートの出題範囲となっておりますので、しっかりと内容を理解しておきましょう。

RNN(リカレントニューラルネットワーク)とは?

RNN(Recurrent Neural Network)は、時系列データや連続した情報を処理できるニューラルネットワークの一種です。従来のニューラルネットワークは「現在の入力のみ」を処理しますが、RNNは過去の情報を記憶しつつ新しい情報を処理できます。

RNNが得意なデータの例

  • 自然言語処理:文章や会話など、単語の並びが重要なデータ

  • 音声認識:時間に沿って変化する音声データ

  • 時系列予測:株価や売上、気温の推移など

RNNの仕組み

RNNの隠れ層(hidden layer)は「再帰的」に繋がっており、時間的な文脈を保持できる点が特徴です。

基本的な計算式
ht = tanh(Wx ・xt + Wh・h(t-1) + b)

  • xt :時刻  t  における入力データ

  • h(t-1) :前の時刻  t-1  の隠れ層の状態(過去の情報)

  • Wx 、 Wh :重み行列

  • b :バイアス項

  • tanh :活性化関数(-1から1の値に収束)

上記の数式が示すように、RNNは過去の情報( h(t-1))を次の計算に反映する仕組みになっています。

RNNの強みと弱み

強み
時系列データや順序のあるデータを処理でき、過去の情報を参照しながら未来を予測することができる。

弱み(課題)
長期依存問題(Long-Term Dependency)
RNNは、時間が経つにつれて過去の情報が薄れるため、数十ステップ前の情報を保持するのが苦手です。
勾配消失・勾配爆発問題
逆伝播時に勾配が小さくなりすぎたり、大きくなりすぎて学習が進まなくなる現象が発生します。

改善されたRNNの派生モデル

RNNの課題を解決するために、以下の改良モデルが登場しました。

① LSTM(Long Short-Term Memory)
LSTMは「記憶セル」を導入し、必要な情報を保持し不要な情報を忘れることで、長期的な依存関係を学習できるモデルです。
用途例:文章生成、翻訳タスク、音楽生成

② GRU(Gated Recurrent Unit)
GRUはLSTMをシンプルにした構造で、計算コストを抑えつつ高い性能を発揮します。LSTMほどの細かい制御はありませんが、計算負荷が軽いため大量データの処理に向いています。
用途例:音声認識、IoTデータ解析

RNNを使う場面とは?

  • 自然言語処理(NLP):文章の感情分析、チャットボット、翻訳システム

  • 音声認識:音声コマンド、リアルタイム字幕生成

  • 時系列予測:気象データ、株価の予測、売上予測

  • センサーデータの解析:異常検知、機械予知保全

特に自然言語処理では、RNNやLSTM、GRUを使うことで、文章の流れを理解し、正確な文章生成や翻訳を行うことができます。

まとめ

RNNは、順序や時間的な依存関係があるデータを処理する強力なモデルですが、長期依存問題や勾配消失問題といった課題があります。そのため、LSTMやGRUなどの派生モデルが現代のAI分野で広く利用されています。

生成AIパスポート試験では、「RNNの仕組みや課題、LSTMやGRUの違い」が出題されます。この記事を参考に、ぜひ理解を深めてください。

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