生成AIのプロンプティング完全ガイド – 効果的な活用法と限界とは?
今回も生成AIパスポートの試験に出題される試験範囲の解説記事を書きます。
今回はAIを活用するうえで欠かせない「プロンプティング」に関する解説をします。
生成AIの利用において、指示の仕方次第で、出力が大きく変わるため、適切なプロンプティングを習得することは重要です。
この記事では、プロンプティングの基本概念からテキスト生成AIのビジネス活用の範囲などについて詳しく解説します。
出力の質を向上させるための4つの要素
Instruction(指示)
Instruction(指示)とは、生成AIに対してどのようなタスクを実行するかを明示的に指示する部分です。
例えば、「次の文章を要約してください」「この文章の文法ミスを修正してください」といった命令文にあたります。
Context(コンテキスト)
Context(文脈)とは、AIが適切な回答を生成するために提供する追加情報のことです。
これは、過去の会話や、特定の分野の専門知識、データの背景情報などを含むことができます。
プロンプトの例:あなたは歴史学の専門家です。次の質問に対して、正確な歴史的背景を含めて回答してください。
Input Data(入力データ)
Input Data(入力データ)とは、AIに処理させる具体的なデータや情報を指します。
これは、テキスト、画像、数値データなど、さまざまな形式のデータを含みます。
Output Indicator(出力指標)
Output Indicator(出力指標)とは、AIがどのようなフォーマットや品質で出力すべきかを指定する要素です。
これは、回答の長さ、トーン、構造などを明確にするために用いられます。
プロンプトの例:100文字以内で簡潔にまとめてください。
ゼロショットプロンプティングとは
Zero-shot Prompting(ゼロショットプロンプティング)とは、AIに対して具体的な例を与えずに指示だけでタスクを実行させる方法です。
AIが事前学習した知識をもとに回答を生成します。
プロンプトの例:「水は何度で沸騰しますか?」
フューショットプロンプティングとは
Few-shot Prompting(フューショットプロンプティング)とは、AIに少数の具体例(数件)を提示した上で、類似のタスクを実行させる方法です。
ゼロショットよりも高精度な回答を得やすくなります。
プロンプトの例:
Q: リンゴの色は何ですか?
A: 赤色です。
Q: バナナの色は何ですか?
A: 黄色です。
Q: ぶどうの色は何ですか?
A:
AIは「ぶどう=紫色」と推測しやすくなります。
テキスト生成AIのビジネス利用
テキスト生成AIをビジネスに活用する方法には以下のようなものが挙げられます。
メールの作成
アンケート項目の作成
アンケートの分析
キャッチコピーの作成
ビジネス書類(請求書等)のテンプレート作成
スケジュール作成
業務の手順の分解(タスクの細分化)
タスクの抽出
外国語の翻訳
英単語からの英文の作成
海外企業宛のメール文章の作成
役割を与えてのディベート
人名の性と名の分離
人名や固有名詞のふりがなの記載
ブレインストーミング
生成AIをビジネスに活用する際には、生成されたテキストに機密情報や個人情報が含まれていないか、誤訳な意味の誤解が含まれていないかを確認する必要があります。
テキスト生成AIが不得意とする作業
プロンプティングを工夫しても、テキスト生成AIが苦手とする分野もあります。
新しい情報の生成
生成AIは事前に学習したデータの中からテキストを作り出します。新たな発見や事実を独自に生成することはできません。感情や直感に基づく判断
AIには感情がないため直感に基づいた判断はできません。文脈の深い理解
長文を正確に要約することが難しい場合があります。正確な文字数による回答
出力結果の正確な文字数の指定は難しいとされています。複雑な計算
テキスト生成AIは基本的に計算を苦手としており、出力された結果に誤りが含まれる可能性があります。最新情報に関する出力
生成AIが学習したデータが古くなるにつれて、最新のデータからテキストを生成することができなくなります。芸術の批評
AIは独自の思想や感情を持たないため、芸術の批評は難しいとされています。モラルや倫理観に関する判断
道徳的な判断や価値観を持っていないため、倫理的な問題の判断は難しいとされています。
まとめ
プロンプティングは、AIを効果的に活用するための重要な技術です。
適切な指示(Instruction)、文脈(Context)、入力データ(Input Data)、出力指標(Output Indicator)を設定することで、より精度の高い出力を得ることが可能になります。
しかし、AIには不得意な分野もあるため、過信せずに人間がチェックするプロセスを組み込むことが重要です。
これからも、より効果的なプロンプティングを模索しながら、ビジネスや日常の業務に活用していきましょう。