日本のステキなレンガの建築 Vol.4
今回は富岡製糸場のご紹介!ここもふんだんに煉瓦が使われた建築で、絹産業遺産群の構成資産として世界遺産にも登録されたのも記憶に新しいです。
第1章 フランス積み編
設計50日 建設一年半の突貫工事だったそうです。
レンガ造の建物を色々と調べていくと必ずここ富岡製糸場がでてきます。その歴史的価値もさることながら珍しいフランス積みになっているからなんです。
私が見に行きたかった理由もそこにあります。
確かにフランス積みだ。
上記の図ではわかりやすく色を変えています。フランドル積みとも言います。
設計、建設はフランス人技術者監修で行われます。そのためフランス積みになってるわけです。
このフランス積みは国内では明治初期の建物で多く採用されましたが現存するものは少なく明治中期から後はイギリス積みが主流になっていきます。フランス積みは見た目に優雅ですが手間がかかりイギリス積みのほうが効率に優れ強固であると考えられたからです。
以前紹介しました、東京駅、万世橋高架橋や南禅寺の水路閣もイギリス積み。
そういえばそれらは明治中期以降の建物です。
やっと明治初期のフランスさんに出会えました。
アメリカさんは日本にあるのだろうか。
これも今度、、、
ちなみにフランス積みの小口部の色を変えたりしますとこんな感じに。
第2章 レンガ編
では、もう少し近いところから、富岡製糸場のレンガを見てみましょう。
良質な粘土を産出する富岡近くの甘楽町に釜を作って焼き上げたものです。
当時富岡付近ではレンガなど作ったことがなく、集められた埼玉県深谷の瓦職人に作り方を教え瓦と一緒に焼き上げたものだそうです。
深谷の瓦職人にすれば初めて造ったレンガということになりますが、この時代のレンガの多くが外国人の指導を受け地元瓦屋の技術を用いて製造されていたようです。そういえばレンガって煉瓦って書きますね。
目地は現代ならモルタルですが、この時代日本ではセメントはまだ製造されてなく代替として下仁田町から採取された石灰を原料とした漆喰と砂を混ぜたものです。
ちなみ深谷ですが、富岡製糸場の創業から15年後の深谷に日本初の機械式レンガ工場である「日本煉瓦製造」が設立され、東京駅の構造用(壁の中なので見れません)や万世橋高架橋などで使用されたレンガが焼かれています。レンガの町ともいわれてますね。
第3章 木骨れんが造編
次は、構造についてです。
建屋は「木骨レンガ造」という造りなのだそうです。
初めて聞く単語だーって思ったら、そういえばこういうことです。
煉瓦じゃなさそうだけど。要するにハーフティンバーね。
改めて見てみますと確かに木が。
建物の荷重は木でささえており、レンガは言っちゃえばただの壁です。言い過ぎ?
でもレンガに荷重はレンガの自重位しか掛かっていないことが想像されます。
組レンガ造だと大きな開口は取りにくいですが、ここは用途がマユや絹の生産保存ですから湿気は大敵。
この構造により通気のための大きな開口扉も設けやすかったのかも。
また工期、費用の点からも利があったようです。
工場内から見れるトラス組ですが梁がダブルになっており、重い瓦屋根を支え、柱を設置することなく大きなスペースを確保させ効率的に機械を設置することが考えられています。
富岡製糸場はここ以前に建設された横須賀造船所と同じフランス人の技術者が設計しており、その横須賀造船所も木骨レンガ造であったとのこと。
残念ながらそちらはもう建物は残っていなく見ることはできません。
近年、富岡製糸場から横須賀造船所のものと思われるレンガが発掘されレンガ製造の為のサンプルに使われた可能性が考えられています。
そのような歴史的関係から昨年2015年に富岡市と横須賀市は友好都市提携がなされたそうです。明治時代のレンガの建物は震災や戦災、火事などで無くなっているものが多いのですが明治初期の工場がほぼ完全な姿で残っているというのはすごいですね
ハーフティンバーのイメージでフランス積みはデザインとしても色々な場面で使えそうな感じがするのですがいかがでしょうか。
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