2025年、より良いものを書くために
先日、Xでの投稿に、思わぬ反響をいただいた。
このポストだ。
(月30冊はかなりハード)
これはノンフィクションライターである石井光太さんの本に書いてあった。
(『本を書く技術』はノンフィクション本を書くための技術書だが、書く人すべてに役に立つ内容なので、ぜひ読んでみてほしい。)
本の中で、石井さんは語る。
私は自分の読書量が多い方だと思っていた。
しかし、いただくお仕事が増えるにつれ(ありがとうございます)、気づけば本を読む時間は減ってきていた。
そんなあるとき、竹内政明さんのコラムを読んで衝撃を受ける。
竹内さんは読売新聞朝刊の一面コラム、編集手帳の前担当者だ。
美しい構成に、興味を引く書き出し。
「このテーマにその話を持ってくる!?」という発想力。
世を揺るがすニュースを語るとき、記者として感情の荒波を押さえつけて表現する。
その指の間からこぼれた、怒りや悲しみのしぶきが美しいこと。
すぐに傑作選を購入し、さらにその人柄に惹かれて著書を38冊集めた。
わくわくしながら竹内さんの文章術本を読んでいるうちに、自分の書き方と似ているところに気がつく。
そこも、惹かれた原因かもしれない。
たとえば、コラムの書き方とか。
偶然だが、以前のポストで竹内さんと似たことを書いていた。
(とくに3と4がそんな感じ)
(私はヘビの串焼き、竹内さんは之字運動と呼んでいる)
書き方は似ているのに、どうして竹内さんみたいに書けないんだろう。
私も、もっとうまく書きたい。
良いものが書きたい!
竹内さんのコラムは名文の引用が多い。
漢詩や落語、小説、六法全書など、とにかく多種多様な書物から引用する。
これがおそらく鮮やかな発想の元となっているのだろう。
『名文どろぼう』『名セリフどろぼう』『心にジーンと響く108の名言』といった引用がメインの本も出されている。
池上彰さんとの共著『書く力』では、執筆に使う部品を集めるために本を読んでいる、とまで言っていた。
なるほど、書くための読書!
私に足りないのは、これかもしれない。
石井さんは、月に最低30冊読んでいる。
1日1冊のペース。
私のスピードと理解力では、とても時間が足りない。
そこで、ぼんやり雲を眺めたり、スマホいじったりする時間をすべて読書に回すことにした。
とにかくたくさん読みたいので、さまざまなジャンルを10冊ほど並行して読んでいく。
取りに行く時間がもったいないので、お出かけバッグや食卓など、あらゆる場所に本を置いておく。
1分でも時間ができたら本を開くクセをつけた。
少しでもうまくなりたくて、毎日ページをめくる。
読む。読む。書く。また読んで、書く。
気になったところにふせんを貼る。
引用に使えそうなところをメモする。
素敵な表現をノートに書き留める。
読書習慣はまだ始めたばかり。
良い文章を書くには、先が長いかもしれない。
それでも、いつか必ず実になると信じ、ひたすら読んで、書いていく。
今の私のペースでは、とても頑張って月に10冊である。
1年間で120冊読める計算だ。
余暇のすべてを読書にあてるのは、なかなかきつい。
たまにはゴロゴロお昼寝だってしたい。
それでもみっちり読書を続けていけば、読むペースも速くなっていくだろう。
120冊。いけるかもしれない。
いや、いきます。やります。もしかしたら、150冊…360冊いっちゃうかもしれない!
たくさん読んだからといって、本当に良いものが書けるのだろうか。
楽しむための読書が「読まなきゃいけない」ものに変わると、どうしてこんなに手が重たくなるのだろう。
読むのがしんどい。
そう思うときもある。
竹内さんは、『編集手帳の文章術』でこう語っている。
これは、歌舞伎役者の心得(稽古のときにはセリフを覚えて、すぐに忘れる。舞台に立って相手のセリフを聞き、そこで思い出してセリフを放つ)から着想を得ているそう。
なるほど。
120冊読んだあとなら、私の文章にも少しは艶や渋みが出てくるかもしれない。
だったら、読むしかないじゃないか。
最低120冊。
2025年は読み切ります。
Discord名:かむら
#Webライターラボ2501コラム企画