チームの変化のときにやった新しいふりかえり「ギャー! / ソワソワ / ワクワク / ペコリ」
概要
こんにちは、CAMPFIRE Webエンジニアの hayashida です。
最近チームの大きな変化があり、普段と異なるふりかえりを実施してみたので、それを記事として公開します。
普段のチームでのふりかえりについて
普段、チームではKPT(Keep / Problem / Try)の形式のふりかえりをすることが多く、よかったことや今の課題を洗い出して深堀りし、次のアクションにつなげるようにしています。
KPTは、スクラムなどのリズムの中で安定してチームが動いているときには、全員が理解しやすく、日々の課題にフォーカスでき、またネクストアクションの洗い出しまでをテンポよく進められる点で非常に大きなメリットを感じています。一方で、形式的になりやすく、感情を吐露するといったことが起きにくいと感じます。
今回新しいふりかえりを実施した経緯
詳細は割愛させていただきますが、チームにおいてコアメンバーが離れることが急に決まるという大きな変化を迎えました。
その変化により、計画の大幅な変更や、これまでできていたことができなくなったり、やり方を大きく変える必要が出てきました。チームの中でも、変化に対する不安や今までのやり方でできなくなるがどうすればよいかわからない、といった状況や声があちこちで出てくる状態となりました。
この状況でも、CAMPFIREでのフルリモートの環境である点も含めて、明示的な課題以外ではなかなかチーム内で言葉にする機会は取れていませんでした。
新しいふりかえり「ギャー! / ソワソワ / ワクワク / ペコリ」
今回、そうした状況の中で、ふりかえり手法として「象・死んだ魚・嘔吐」を実施してみるのはどうか?という話が挙がりました。この手法は、それぞれの思っている課題を洗い出す機会として非常に有用と言われています(名前を除いて、ですが…)。
ただ、今回は「課題」自体よりも、まずは より「気持ち」にフォーカスしてもよいのではないか、と感じていました。そこで、あえて既存のふりかえり手法から離れて、この状況に合わせて新しくふりかえりの方法を作ることにしました。
今回のふりかえりでは、4つの状況のそれぞれに対して、今の気持ちを書き出して、チームみんなで見てみるというやり方で行いました(ちなみにステッカーはデザイナーさんがサクッと貼ってくれました!)。
①ギャー!:最近あった「ギャー!」と叫びたくなるようなこと
ここでは、最近あった「ギャー!」と叫びたくなるようなことを書き出します。特に辛いことや急に発生したネガティブなことを記載することで、大変だよねということをまずは共有しあうことにしました。また、ここでいま、頭を占めていることを吐露してしまって次に進めることを期待していました。
②ソワソワ:ソワソワして落ち着かないようなこと
ソワソワの部分では、叫ぶようなことではないけれど、落ち着かないこと、課題になっていて気になって仕方がないことを書き出します。解決はできそうだけど、気になっていることが明確にできる意味でKPTのProblemに近いですが、この見せ方のメリットとして感情に沿った書き出しができる点もあるかなと思います。
③ワクワク:ワクワクすること。自分・チーム・将来に期待していること
ワクワクの部分では、ポジティブに捉えていること、前向きなことを書き出します。
①や②では、ネガティブなことがメインですが、ここではポジティブなことを書きます。あえてKPTのように前ではなく、①や②のようなネガティブな記載のあとに置くことで、ものごとをポジティブに捉え直す機会として機能することも期待していました。
④ペコリ:他の人やチームにお願いしたいこと。ここは迷惑かけるかも、、、と思っていること
最後に他の人やチームにお願いしたいことや、迷惑かけるかも、と思っていることを書き出します。①、②、③では内省的なことが多くなります。一方で④では、対外的な人との関係性に目を向けるタイミングになります。そうすることで、お互いに期待していることや迷惑かけるかもといった遠慮している部分をチームで把握して、チームとして改善していくことを検討できる機会になればと思って追加しました。
やってみた結果
やってみた結果として、思った以上に多くの付箋が並びました。これについては、意図的に個人的な感情や思いにフォーカスしやすい形式にしてみた点が適切に働いたのかな、と思っています。
「①ギャー!」や「②ソワソワ」の部分で、チームのメンバーそれぞれが似たようなことを思いつつも、気にしている点が少しずつ違ったり、色々な不安を抱えていることが見える化できました。また「ここは別途相談しましょう」といった簡単なネクストアクションも設定できました。
「③ワクワク」では思った以上に、みんなが今回の変化を前向きにとらえていて、よりよくできる機会として捉えていることもチームで共有できたので、チーム全体として前向きになれるきっかけとできました。また個別の事象に対してワクワクしていると挙げてくれた人もいて、個人のワクワク感をチームのワクワク感に昇華できたかと思います。
そして、「④ペコリ」では、各自お願いしたいことやここは迷惑かけそう、と思っていることを言語化して共有できたため、「気にせずやっていこう!」であったり、「そこはサポートし合いながら頑張ろう!」といった声かけしあうこともできました。
上記を通して、チームの結束感も感じることができ、チームの向いている方向を揃える良い機会になったかなと思います。
全体を通して、結果として今回はチームの中で方向性がかなり揃っていた状態だったため、上記のような結果になりました。そうでない場合にやってみるとまた違った状況が生まれるかもしれません。
また、ふりかえりすべてで言えることかもしれませんが、心理的安全性がないと心で思ったことの吐露ができず、うまくワークしないことも考えられるかなと思います。今回のふりかえりは特に感情面にフォーカスしているため、より重要になるかもしれません。
参加したメンバーの感想
今回のふりかえりに参加したメンバー数名からふりかえり前後に対しての感想をいただきました。
おわりに
チームの急な大きな変化に際して、新しいふりかえり「ギャー! / ソワソワ / ワクワク / ペコリ」を考えて実施してみたので、記事として公開させていただきました。
普段ふりかえりで利用しているKPTなどと比べ、感情部分にフォーカスして話ができたので、今のチームの状況に対してはかなりフィットしたのかなと思います。もちろん、まだ荒削りな部分もあり、ここからどういうアクションにつなげるか、という点では個々の相談ややり取りに依存してしまっている部分もあります。
しかしながら、今回実施してみた結果として、チームに変化があったときなど、チームが揺れ動くときにはこのふりかえりを実施してみることをオススメしたいと思いました!
まだまだチームは変化に合わせてどうなるだろう、どうしていこうかという状況ではありますが、ふりかえりでのチームの結束や成長も通じて、今回の難局も乗り越えられそうと感じられました。
おまけ
最近、上記とは別の機会で、ふりかえりに Kudos card のようなものを導入してみました(この形式のふりかえりフォーマットの作成・準備は私が、実際の導入はPdMの方が実施してくれました)。
ふりかえりでは、Figjamでテンプレートとして以下のようなものを用意しておきました。
実際にふりかえりの場では、いろいろな方への感謝の言葉が並び、また単純な付箋ではなく”エモい”カードの形式としたことで、アイスブレイク的な機能も果たしました。
また、テンプレートとして「〇〇さんへ」という部分を入れていたことで、誰宛てかも明確になり、この点も普段のふりかえりと異なり、良かったかと思います。
この感謝カードの形式は、いつものKPTなどのふりかえりにプラスアルファで付け足して活用することもできそうでした。
このような、いつものふりかえりのアップデートもしていけるとチームの雰囲気作りや改善にふりかえりの果たす役割も大きくなるのではないかと思い、おまけとして紹介させていただきました。