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【ハッピーエンドはどこですか?】終遠のヴィルシュ -ErroR:salvation-プレイ感想


1. はじめに

乙女ゲームを数作プレイして要領もつかめてきたので、何か面白いソフトないかなとランキング等を検索したらたどり着いた終遠のヴィルシュ。口コミや感想を読むと何やら不穏なコメントしかない笑。「玄人向けらしいけど、3本くらい乙女ゲームプレイしたし、いけるっしょ!」という謎の自信で購入しプレイをした結果………1人目のエンドを迎えた瞬間、頭が真っ白になってそのままショックで立ち直れず、その後数カ月ソフトを封印することになりました!!!
半端な気持ちでプレイしたら痛い目見ます、ガチで。


2. 総評(ネタバレなし)

もう何を書いたらいいのか、何から書けばいいのか分かりません笑。
全ストーリーが重厚で辛くボリュームもたっぷりあり、何がきっかけで誰が死ぬか分からないという乙女ゲームではなかなか味わわない謎の緊張感と共にプレイしました。本当に何度心折れたか分かりません。1人目のエンドを迎え放心状態になりましたが「彼が幸せになるところを見届けなければ」というその一心でプレイを続けました!
そう、幸せなエンドを見るためには、まず絶望を見届けなければならないのです。
「絶望」って人によって尺度が違うから、いやいやそんな簡単に絶望って単語使うけど実際それ程じゃないでしょ、と思う方もいるかと思います。ところがどっこい。断言できます。あれらは完全に「絶望」でした。
いや~これ乙女ゲームと言うんですかね?でも「彼の幸せを見たい」という思いがプレイヤーの原動力になったというとは乙女ゲームなんですかね?

これは間違いなく上級者向け。素敵な恋愛を楽しみたいという人はプレイしないでください。
ただ、大作であり名作であることは間違いないです。

そしてこれからプレイされる方へ。是非、当記事含めた「ネタバレ」は見ずにプレイし始めることをお勧めします!前情報があるのとないのとでは、絶望の突き落とされ方が全然違います!


3. キャラ個別感想(ネタバレあり)

キャラ個別感想の前に、終ヴィルの特徴的なエンド仕様について少し説明します。

各キャラに対してエンドが大きく3つ存在します。
1つ目は、中途エンド。これは他の乙女ゲームでもよくあるエンドです。地雷選択肢を選ぶと途中で死んじゃうやつです。
2つ目は、絶望エンド。これが本当に文字通り絶望。そしてもっと絶望的なのが、全キャラの絶望エンドを見ないと、各キャラの救済エンドが見れないという鬼畜仕様。
3つ目は、救済エンド。キャラによっては「救済とは…?」というものもありますが、概ね救済です!

私、初めてプレイしたときにですね、絶望エンドと救済エンドがあるっていうのは知ってたんですけど、全キャラの絶望全部見ないと救済見れないって知らなくて。正しいと思われる回答を選び続けて「わーなんかハッピーっぽい~!救済だやったー!」と喜んで見てたら、その後ガッツリ絶望に落とされました。ほんっとにあの時の衝撃忘れられないです笑。しかもそれ、自分が一番好きそうだなと思って1人目に選んだ、シアンなんですよ。プレイ済みの方々、察してください。シアンを1人目に選び、あの絶望エンドをガチで救済だと思い込みながら進めた私の、最後の最後での絶望への落とされ方を察してください…泣。

ということでここから個別キャラ感想に入ります!
私のプレイ順は、シアン→リュカ→マティス→イヴ→アドルフ/アンクゥでした!
皆等しく絶望したので、誰が一番良かった、という甲乙がつけ難いです。従って上記のプレイ順で個別キャラ感想記載します。

3-1. シアン

つらかったああああああああああああ泣。
シアンの絶望を見てから、私の終ヴィルが始まりましたあああ泣。
私元々、「絶対に主人公に靡かないだろ」っていうくらいの鉄壁の心や背景を持つキャラが一番好きなんです。ビルシャナの教経といい、百花百狼の半蔵といい。なので絶対にシアンさんのこと好きになるなと思って1人目に選びました。
見た目も好きです。まあシアンに限らず終ヴィルは全員麗しいですけどね。サンドイッチ加えてるスチルは最高でした。あとあの黒のグローブ、イケメン度が増すので最高ですありがとうありがとう。

物事を常に客観的に捉えて、効率性や合理性で判断していくシアン。神の領域を研究し続けている稀代の天才であるというのも相まって、人間らしさを感じられません。そんな彼がふとした瞬間に見せる悪戯好きそうな笑顔や、主人公であるセレスを次第に気に入っていくところにあー好きってなりました。でも「感情」に重要性を感じていないから、リライバーの感情の引継ぎは不要だという考えを曲げない。まじで難攻不落です。なのに最後の方やばすぎません?殺し文句のオンパレードです。つら。「初めて恋をするならお前がいい」ってやばっっっっっっっ。新しい身体に乗り換えて感情も得て戻ってくるから、待っててって。これから恋をしようっていう約束された輝かしい未来があった……………………………んですけどねーーー。
彼は感情を得ることができたのに、セレスは目の前で死んでしまいました。
感情を得ることができるようになって初めて経験するのが愛した人を失った悲しみって…。言葉にできない。おまけに身体を乗り換えたから、セレスを抱きしめたこともキスをしたこともない身体になってる。ただただ辛い感情だけが新しいシアンに残されて。はあ~~~~終ヴィル~~~~~~~。
ちなみに前述の通り、プレイ当時私は終ヴィルのエンドの仕組みをわかってなかったので、私自身も心構え無しで絶望に突き落とされました。あれこれBADエンドやっちゃった?選択肢何か間違えた?あれ???って大混乱でした。ちゃんと調べてエンドの仕組みと救済エンドがあるということを知り、「シアンが幸せになる未来にたどり着かなければ」という使命感が生まれました。絶望エンドで涙を流し続けるシアンのスチルを見てそう決意して、その後リュカルートへ進んだのを覚えています!

そして救済エンド!救済だった!よかった!!!
感情を得ているかどうかの実験のために、セレスをずっと見て自身のメモリーを観察した結果、「お前のことが好きらしい」って。ありがとうございました、私のメモリーが限界です

3-2. リュカ

どうすればこの兄妹が幸せに生き続けることができたんでしょう…。どこでどうすれば。どう考えても兄妹2人が幸せに生き続ける世界線は存在しない。そう思わされました。リュカ……妹を守りたかっただけなのにね…。
しかし、2人一緒に幸せに生きられなくても、どうあってもリュカが間もなく死ぬ未来であっても、現状をどう受け止めるか、そして、できることはやる、というほんの少しの行動で、リュカとセレスの気持ちは絶望から救済に変わるんだなと思いました。リュカもナディアもいかにも清らかな人という見た目なので、余計に悲劇の兄妹という感じがします。私の好きな部類の見た目なので、恋愛っていう感じができきれなかったのはちょっと残念です。
どうあっても所謂普通のハッピーエンドは存在しないんだろうなあ。でも何がハッピーエンドなのかは、本人たちが決めるものです。だから、あの救済エンドも、間違いなく「救済」なんでしょうね。

リュカとセレスの平凡な幸せな様子をもう少し見ていたかった。ファンディスクにあるかなあ。

3-3. マティス

なんか変な子だなと思ってたら人造人間かいー!
そして灯台下暗し。ジャンお前も狂ってたのか…。ジャンに限らず、終ヴィルのサブキャラは全員何かがおかしいです。もはや「サブ」ではない。

お話としては王道っぽかったかなと思います!何度新しい自我が生まれても、何度でも君と恋に落ちるよ、って。絶望エンドも、セレスがマティスのその言葉を信じて耐えていたから、あまり絶望には感じませんでした。それほど2人の絆は強く結ばれたんだなと思います。救済エンドでも宣言通り、リライバーとなったマティスが、再びセレスと出会い、一目ぼれをしましたって素直に伝えてきます。いい救済でした

3-4. イヴ

3人プレイして完全に疑心暗鬼になった私。イヴも絶対何かやばい過去とか、実は~とか、裏があるはずだと思い込んでいました。しかし彼は本当にまっすぐ誠実な、王道的なヒーローでした。設定が既に運命的ですよね。リコリスの花を守り続ける家系のイヴと、リコリスの花の力を身に宿すセシル。そして何より、何があってもイヴを助けるという強く折れない心。本当に強い、王道的ヒーローです。別ルートでアンクゥも言ってましたが、アドルフもアンクゥもずっと、イヴがセレスの運命であればいいと思っていたようですね。納得。
書いていて気づきましたが、シアン・リュカ・マティスの絶望エンドは主に「男性側の絶望」であるのに対して、イヴの絶望エンドは「セレスの絶望」のような気がしています。イヴは何があっても絶望しない人で、だからこそ、そんなイヴを失った時のセレスの絶望、ということなんですかね。
イヴは間違いなくいい奴。ヒューゴの気持ちも分からんでもない笑。

3-5. アドルフ/アンクゥ

この物語の真相が分かるルートです!アドルフとアンクゥ、そして他のサブキャラの正体が明かされるルートでもあります。

言いたいことはたくさんあるけど言葉にできない。特にアンクゥ
アンクゥが救われて欲しい、と思うと同時に、アンクゥが救われるとはどういうことなのか、と考えさせられます。
生きているセレスが幸せに笑うのを見るために、途方もない時間を苦痛に耐えてきたアンクゥ。生きているセレスの笑顔は、一体誰に向けられているのがアンクゥの幸せなんでしょうか…。アドルフ/アンクゥ以外の人にその笑顔が向けられたらきっと「俺ではセレスを幸せにできない」という思いを強めるだろうし、本人たちに向けられたらきっと「俺ではセレスを幸せにできないのに」と悩むことでしょう…。その解として、アンクゥよりも強く成長したアドルフがセレスを幸せにする、というのが本ルートの救済エンドです。でもどうしても、アドルフ≒アンクゥだけど、この救済エンドのときのアンクゥは本当に救われたの?という若干の疑問が残ります。どうやらアンクゥ本人と向き合うルートがファンディスクにあるようなので、プレイしてみようかなと考え中です笑。

イヴは正真正銘王道のヒーローだったと記載しましたが、アドルフだって平凡ながらのヒーローでした。特別な力や背景がなくっても、セレスを守りたいという一心で前に突き進む。間違いなく、セレスにとってのヒーローです!昔のアドルフも、今のアドルフもね!!!
あとあと。イヴは「僕を選んで、愛しているよ」というスタンスなのに対して、アドルフ/アンクゥは「俺を選ばないで、愛しているよ」という異なるスタンスだなと感じました!

アドルフの救済エンドは、真の大団円エンドという感じでした!!!!!
5年間ずっと看病し続けて、アンクゥにも他の人にも見守られながら二人は結ばれる的な。
でもここまでの本当に長い長い道のりを(私が)プレイしてきたから分かる
このアドルフの救済エンドは、あり得た未来の可能性の1つでしかなく、しかもその確率は極めて低い。2人が、いや全員が手繰り寄せた微かな未来が偶然交差して生まれた結果なだけ。本当にたくさんプレイしてたくさん死んでたくさん殺したからね(遠い目)。


4. おわりに

超大作!!!大満足です!!!乙女ゲームに分類されるかはちょっとわかんないけど!笑
重厚で、壮大で、複雑に絡み合った糸のようなストーリーを楽しみたいという、メンタルが健全なプレイヤーにお勧めします!

どうやらファンディスクもなかなかのボリュームらしく、でも救済エンドのその後のストーリーや、同じくあり得た未来のIFストーリー、そしてアンクゥと向き合うストーリーがあるらしいです。私のエネルギーが回復したらファンディスクもプレイしてみようかなと思います~!


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