アマチュア集団はプロを超えるか? 「好き」で集まるコミュニティが生み出す究極の偏愛雑誌 #コミュフェス
こんばんは!CAMPFIREコミュニティです。
2020年11月27日(金)・28日(土)・29日(日)の3日間で行われている 『CAMPFIRE COMMUNITY FESTIVAL』( #コミュフェス )。「これからの“共創”を楽しむコミュニティのお祭り」をテーマに、コミュニティオーナーや運営チームにご登場いただき、それぞれの活動に関するトーク・ライブ・ワークショップをオンラインで配信中です。
1日目の最終プログラムに登壇したのは、『箕輪編集室』主宰・箕輪厚介さん。
「サウナへの偏愛を詰め込んだ、究極のサウナ雑誌を作りたい!」
箕輪編集部内のプロジェクトとして2020年10月に行われたクラウドファンディングでは、購入冊数4316冊・10,791,640円の支援額が集まりました。
箕輪編集室にて絶賛制作中・完成が待たれる『サウナランド』制作の裏側を、速報でお届けいたします!
<Profile>
箕輪厚介(みのわ・こうすけ)
編集者。株式会社幻冬舎勤務。 株式会社エクソダス取締役。CAMPFIRE community チェアマン。『ネオヒルズジャパン』与沢翼 創刊 編集者として見城徹『たった一人の熱狂』、堀江貴文『逆転の仕事論』などを担当。現在、「偏愛」「丸裸」「混沌」をテーマにサウナ雑誌『サウナランド』を制作中。編集長を務める。
前田高志(まえだ・たかし)
アートディレクター/グラフィックデザイナー。株式会社NASU代表取締役。箕輪編集室でのデザインワークに注目が集まり、2018年3月、自身のコミュニティ前田デザイン室を開設。『サウナランド』ではデザイン面で協業をしている。
21:00 箕輪さんはまだ来ません。
配信画面に現れたのは、CAMPFIREコミュニティの事業部長・村田。
「箕輪さんは、“山ちゃんに手羽先を食べにいく”とツイートしたまま、まだ来ていません」
急遽、『サウナランド』制作にも関わっている前田デザイン室の前田高志さんが参加することになりました。
前田:『サウナランド』は箕輪編集室で立ち上がったプロジェクトです。箕輪さんからデザイン面での協力要請がTwitterで来まして、即決で参加を決めました。僕自身、箕輪編集室での活動がきっかけで前田デザイン室を作ったので、勝手に親子コミュニティだと思っています。
「デザイナーの遊び心を加えて欲しい。ただかっこいいだけじゃないデザインを作るために、力を貸してくれ」と。現在は、入稿に向けて制作中です。
村田:あっ、箕輪さん来ました。
箕輪:このイベントいつからやってるの? コロナの時代、いつでも離脱できる状態でオンラインフェスは機能しないんじゃないかと思っているんだけど、どうなの?
村田:盛り上がってます!
箕輪:じゃあいいや(笑)。よろしくお願いします。
サロンオーナーは、メンバーが背伸びできる場所を用意する
『サウナランド』のコンセプトは、「偏愛」「丸裸」「混沌」。ビジネス書で一斉を風靡した編集者が、なぜ突然コミュニティで雑誌制作を始めたのでしょうか?
箕輪:『サウナランド』、クオリティ高く仕上がってますよ! 今ね、出来栄えは6割くらい。これまでいろいろなプロジェクトをやってきて、今回改めて思ったんだけど、僕らオンラインサロンオーナーがやるべきことは、メンバーが背伸びをしなきゃいけない場を用意すること。
それがあるから「こんな実力を持っている子がいるんだ」って、新たなメンバーの存在に気がつくんですよね。今回のプロジェクトリーダーの菅原さん、ちゃんとプロジェクトを回してて、すごい優秀ですよ。
前田:前田デザイン室としても本気のプロジェクトで、全員かなり気合が入ってます。でも箕輪さん、ビジネス書の編集者から、一気に「サウナの人」になりましたよね(笑)
箕輪:そうなの。最近は「サウナランドの編集長」って呼ばれて、ちょっと恥ずかしいですよ。自分でも「サウナサウナ」言いすぎて、やりすぎたなってちょっと思っていたところ。外から来た人間がいきなり騒いで、サウナ業界の人が怒るかなって思っていたけど、実際に会ってみると、みなさんすごく優しくしてくれますね。
前田:歓迎されてるんですね。
箕輪:サウナ業界の方々にとっては、この雑誌が一つのきっかけとして盛り上がれば、ビジネスとしてもいいですよね。市場の認知が広がって、サウナ業界が儲かるのは理想的だなと思って。
でも本当はね、雑誌なんて作りたくないんですよ。僕、仕事したくないからサウナ行ってたのに、いつの間にかサウナが仕事になっちゃってる。広告も2000万弱くらい入ってるし。まだ創刊していない雑誌だよ?
思えば、僕もともと雑誌の広告部出身なのね。業界が盛り上がるには嬉しいけど、俺的には仕事になってしまって悲しい。
これを一つのノウハウとしてしまえば、「ピュアにこれが好きだ」ってアピールして、「箕輪が好きならその魅力ってなんだろう?」って注目を集めてそれが仕事になる。また俺はそれが嫌になって、また別の物をピュアに求めて…。僕はただ、何もせずにお金が振り込まれる状態でいたい。
たった一人でもやり切りたいことを見つける
とは言いつつも、『サウナランド』の制作に燃える箕輪さん。しかし、出版社にお勤めの箕輪さんが、なぜ会社ではなく箕輪編集室というコミュニティで雑誌制作を始めたのでしょうか?
箕輪:コミュニティを持っている人の仕事の形として、一つ新しい形ができつつあるんじゃないかなって思ってる。「箕輪が面白い」という人が集まるコミュニティを基盤に、経済圏を作る。最初は一部の盛り上がりだけでも、徐々に外へと広がっていく流れは作れる。
前田:箕輪編集室って、ビジネス本を作る過程を共有することで、発売の時にそれを見てきたメンバーが応援して大きなムーブメントを作るっていうイメージがあったんですけど、本当に0から見られるんですよね。今回のことも、箕輪さんが「ピュアにサウナが好き」から見ていることが重要なんですよね。
箕輪:今回クラファンで支援が1000万円を超えたことも、テクニックとして言い換えようとしたら、いくらでも言えると思う。「プロジェクト開始前に好きをアプローチする→プロジェクトを立てる」この流れをやればある程度の成果はできるかもしれないけど、コミュニティにおいて一番大事なことは、「誰も協力してくれなくても一人でもやり切る覚悟」が見えること。オンラインサロンで、クラファンが失敗するのは支援を前提としてるからなんだよね。
例えばだけど、日本最大級のオンラインサロンを持つ西野(亮廣)さんだって、映画を作る時には例え1円も入らなくてもやるじゃん。うまくいかない人は、「みなさん協力してください!お願いします!」。これはクラファンに限らず企業の資金調達も同じだけど、覚悟の違いは透けて見える。
前田:透けて見えちゃいますよね。クラファンへの熱。
箕輪:でも一人でもやり切りたいことを見つけるって、金儲けより難しい。だからこそ、見つけた人にお金が集まるんだろうな。いやでも、俺だってサウナそこまで好きじゃないよ。
でも走り出したら止まらないんだよ(笑)。
コミュニティだからこそ雑誌が作れる
「仲間や応援者を見つけられる」ことも、コミュニティの醍醐味。そして、雑誌こそコミュニティとの相性がいいと話す箕輪さん。それはなぜでしょうか。
前田:僕もコミュニティで『マエボン』って雑誌を作っているんですけど、なんで雑誌を作ろうと思ったかって、メンバーの活躍の場を最大限作れると考えたんですよね。でも、たくさんのメンバーと作るって、クオリティ面の担保が難しいなと思っていて。今回の『サウナランド』では、どうしてますか?
箕輪:フィードバックか。今ちょうどそのフェーズだったりするけど、雑誌を作る面で大事だなと気づいたことがあって。「ここをもっとよくできる」って改善しすぎると、逆につまらなくなるパターンがある。オンラインサロンで作ることで、カッコ悪いものは絶対に出さないけど、「何これ?」って余白を残すことも大事なんだよね。制作時の熱を残すと言うか。
雑誌って、ワンメッセージのものじゃないんですよ。あくまでバラエティ番組。ただ綺麗な正規品を作らないことが大事だよなって。
前田:僕たちもデザインをする上でフィニッシュワークって、細部のクオリティを詰め切る作業があるんですけど、その塩梅が難しいんですよね。
箕輪:そう。つまらなくなっちゃう。というか、それを求めるならプロに頼んだ方がいいじゃん。正直、雑誌の取材をする中でめちゃくちゃいい話が聞けて「これ本に出来るな」って濃い内容もあるの。でも、熱を優先してあえてどんどん切る。それが好きなんだよね。
ビジネス本の仕事をしていた時は、伝えたいワンメッセージを何百ページって規模で伝えていくものだったのね。なんとかストーリーを作って、組み立てて。でも、今の僕はそれが嘘なんじゃないかって、感じてしまうようになった。みんな、感覚的に同じように感じているんじゃかな?
だったら、編集しない、素材そのもの。それこそちょっとふざけた物を読んで、「いつか読んだあの言葉が心に残ってる」とか、そういう方が、今の時代には合うんだよね。
もうね、代々受け継がれてきた編集のテクニック論とかどうでもいいんだよ。ビジネス書ブームが作り上げた「はじめに」の“エモい”テンションとか、あのパッケージング? そこに今はリアルを感じなくて、それよりはサウナTシャツを100枚集めたり、サウナ好きな人に一人ひとり会いに行ったり、そういう雑多なことをひたすらやっていく中で、読者に何か新鮮さを感じてもらえた方がいいんじゃないかなって。今はこの表現をしているんだよね。
すべてのものは、市場ができてノウハウができて飽きられるっていうサイクルなんだけど、ビジネス書に関してはノウハウができたところだからもういいなって。
前田:雑誌作るの、本当にめっちゃ大変ですけどね(笑)。
箕輪:映画を作るようなもんだよ。単行本より編集長をやるのは難しい。編集長にかなりのクリエイティブ力やディレクション能力がないと、冊子になっちゃう。
でも、多種多様な経歴・経験を持つ人が「好き」で集まるコミュニティだからこそ、その全才能を集結させる形として、コミュニティで雑誌を作るのは最適なんじゃないかなと今は思っている。
雑誌が正解かはわからないけど、雑誌ブームにはしたいよね。2021年、雑誌めっちゃ来てるじゃん! って。いや、来ると思うんですよね。
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明日の #コミュフェス も、コンテンツ盛り沢山!
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こちらの記事は #コミュフェス 特別企画として、合同会社LA BOUSSOLEが受託して制作いたしました。
執筆/柴田 佐世子、菅井 泰樹
編集/ 柴山 由香
バナー制作:小野寺 美穂
バナー写真提供/三代目箕輪かばん持ち・藤澤厚志