Clandという会社について
はじめまして。日本酒イベント「若手の夜明け」を主催している株式会社Clandのカワナアキと申します。多くの方にとっては初めて聞く社名であり、何をやっている会社なのかご存じない方も多いと思います。はじめにそうした方に向けて、Clandについてお話をしたいと思います。
Clandとは
2007年から始まった若手の蔵の日本酒イベント「若手の夜明け」を、今年から引き継いで開催している会社です。日本酒の蔵の映像コンテンツ制作や日本酒アプリの開発をしています。
これまで国内外でデザインコンサルタントとして活動していた僕が、日本酒の事業をやるためにつくった会社です。
社名の由来
はじめに、僕の経歴を少し紹介します。僕は、デザインコンサルティングと呼ばれる領域のコンサルティング業務を長年やってきました。「デザイン」といっても、プロダクトやグラフィック系の見た目の部分をかっこよくする仕事ではありません。企業の研究開発、商品開発、新規事業開発などの担当をされる方々と、リサーチを元に、ターゲットから的外れにならないよう商品開発や新規事業のプロジェクトを進めていくガイドのような仕事です。
独立して、自分の会社をつくるとなったときに、頭に浮かんだのが「コンサルタントは黒子である」ということでした。表に出るわけではないけれど、その会社がうまくまわり、より発展するように影で尽力する。それがコンサルタントの役割です。
その昔、律令制の時代には天皇の秘書的な役割として「蔵人(くろうど)」という人がいたそうです。そしてこの蔵人という言葉が、諸説ありますが後に「玄人 (くろうと)」という言葉に進化したと言われています。企業の経営者とコンサルタントは、この天皇と蔵人と似た関係性にあると思い、そこから「Cland (くらんど)」という社名をつけました。
「Cland (くらんど)」という社名には、もう一つ意味があります。日本酒のことをやろうと思って立ち上げた会社ですから、酒を造る人のことを表したいと考えました。
日本酒の世界で「蔵元(くらもと)」とは蔵の当主のことを指し、「蔵人(くらびと)」はその蔵の造り手のことを指します。手を動かして実際にお酒を造っている蔵人に対してのリスペクトを「Cland (くらんど)」という名前に込めたかったのです。
沿革
2018年11月 株式会社Cland設立
2020年1-2月 新潟県、福島県の酒蔵にて映像・写真の制作を開始
2021年1-6月 島根県出雲市を皮切りに全国を撮影で回る
2021年8月 J.S.P.加盟蔵の撮影を開始
2021年9月 映像展”saketrimony”開催
2022年6月 日本酒イベント「若手の夜明け」の事業承継
2022年9月 新生「若手の夜明け」開催
事業内容
2022年4月までは、主に2つの事業を行っていました。前述のデザインコンサルティング事業と、日本酒アプリ開発です。
前者については東急不動産や三菱地所と、渋谷、札幌、内神田などの地域における再開発、複合開発の一環で商業施設開発に携わっていました。不動産デベロッパーにとっての商品はビルそのものです。どんなビルにするか、商業空間の目玉は何か、小売の未来はどうなるかなどを議論し、形にしていくお仕事をしていました。
日本酒アプリ開発は、アプリそのものよりその中で表示をするコンテンツの制作に軸足を置いていました。コンテンツの内容は、主に酒蔵の情報や様子をデジタルデータ化したものです。
後述する倉渕カメラマンとの出逢いにより、これまで57軒の酒蔵と4軒の酒販店の撮影を手がけ今季(2022.6-2023.7)はさらに30蔵ほどの撮影を予定しています。
すべての蔵の情報をデジタル化することはできませんが、応援してくれる人たちの幸せを増やせるように、僕たちは僕たちの得意なことでお手伝いができればと思っています。
日本酒に興味を持ち、知識を深めるまで
デザインコンサルタントだった僕が、日本酒の世界に入ったのは偶然がきっかけでした。祖母の法事で集まったとき、日本酒を飲んでいると兄が「日本酒ってなんだか覚えられないんだよな。ワインの『Vivino』みたいに、コレクションの機能があるスマホアプリがあれば覚えられるのにね」という話をしたことがキッカケでした。
飲んだら忘れてしまう、覚えにくいなどの問題はワインも日本酒も共通しています。それならば、日本酒にもVivinoのようなアプリがあればいいのに。そう考えて2019年、日本酒アプリの開発を始めたのでした。それまで、数あるお酒の一つとして飲んでいた日本酒としっかり向き合い始めたのがこのタイミングでした。
当時の僕は、日本酒についてまったくの素人でした。なにせ、純米酒とアル添酒 (醸造アルコールを添加した酒)の違いもわかっていなかったのですから。僕はコンサルティングの仕事をする時、とりあえず関連書籍を20冊ほど読むことから始めます。このときも、Amazonで「日本酒」と打ち込み、おもしろそうな書籍を片っ端から買って読みふけりました。
日本酒の世界には、専門用語がたくさんあります。酒蔵と話すには造り手との共通言語が必要だ、と考え、醸造協会のホームページに掲載してある教科書も数冊買いました。
実際に蔵を回ると、醸造協会の書籍はどの蔵に行ってもだいたい置いてありました。多くの蔵元さんの醸造の知識は、この醸造協会の教科書が基礎になっているのだとわかります。
一方、中には昭和に初版が出て、そのまま改定されていない本もありました。これだけを参考にしていたら、古い知識から更新されなくなってしまう。そう思い、一通り書籍を読んだ後は、論文を読むことにしました。海外の醸造関連の文献にも手を広げ始めました。
もちろん日本酒の文献は日本語が一番多いのですが、醸造学や微生物学などの分野まで広げれば圧倒的に英語文献が多く、酒造りの科学的な側面に触れることになりました。
と、Clandや僕の紹介はこのあたりにして、次回は僕が運営を引き継いだ日本酒のイベント「若手の夜明け」について書いていこうと思います。
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