母のマイナンバーカードで不思議な現象を体験しました

 母は現在80歳を超えています。まだ元気ではあるものの、認知症の心配もあり、今後の介護、相続等での心配事を整理するため、今年に入ってから司法書士に何度かお世話になりました。
 具体的な内容は避けますが、相続や介護関係での問題を司法書士にお願いするときには必ずと言っていいほど、住民票、戸籍謄本、印鑑証明書などが都度必要になってきます。その時に活躍するのがマイナンバーカードとコンビニのマルチコピー機です。母と私が住んでいる区が違うため、母の住民票等々を取得するには母が住んでいる区役所に行く必要があります。80歳を過ぎた母を家から離れた区役所まで連れて行って、司法書士のところまで更に移動するというのは、結構大変な事になってしまいます。
 そこで司法書士のところの途中にあるコンビニでマイナンバーカードを使用して、住民票を取ろうとしました。
 しかし、以下のような画面が出てしまい、肝心の住民票が取れないという結果になってしまいました。画面が反射して見えづらいですが、画面に「指定した証明書を交付できません。市区町村にお問合せください。」と出ています。

 タイトルには不思議な現象と書いてあるのですが、これの何が不思議かというと、取得できないのは住民票のみで、その他戸籍謄本や印鑑証明書は何の問題もなく取得できたのです。したがって、暗証番号が間違っていたとか、カードのICチップが正しく読み取れなかったとか、そもそもコンビニ交付サービスが母のマイナンバーカードでは使えないと言う単純なことではありません。
 この画面が表示されるのは、住民票の交付のみなんです。
 これが発生したのが、大体1ヶ月少し前です。今まで放置していましたが、いよいよ重い腰を上げてちゃんと調査するかと思い、母の住んでいる区役所に行ってきました。さすがに80歳過ぎの母も同伴するとなると大変なので私のみが今朝行ってきたと言うことです。

 とりあえず、区役所の担当者さんに、上記現象を話をしました。交付できないのは住民票のみ、その他戸籍謄本や印鑑証明などは問題なく交付できた、と言うことを説明しました。
 しかし、担当者さんから返ってきた一番最初の言葉は「暗証番号が間違っているとかはありませんか?
 え?人の話をちゃんと聞いて理解していますか?戸籍謄本や印鑑証明は交付できたと言っているのです。住民票だけ都合よく暗証番号を間違えて入力する方が難しいです。
 とりあえず、調べると言うことで母のマイナンバーカードを預けました。

 しばらく椅子に座り待っていると、先ほどの担当者さんが近寄ってきて、「マイナンバーカードのICチップを確認しましたが、問題はなさそうです」と一言。それはそうでしょう。戸籍謄本や印鑑証明が無事交付できているのですから、ICチップに問題はないでしょう。さっきからICチップに問題ないことを前提に話を進めていたつもりなんですがね(こちらの勝手な憶測で余計な情報を入れない方がよいとの判断でICチップに問題はないと断言して話をしていませんでしたが、話理解して動いてくれているんですかね)。
 「エラーメッセージが表示されたときにエラー番号が表示されませんでしたか?」との問いに「エラー番号は表示されませんでした」と私。
 もう一度調べてみます、と担当者さん、再度引っ込んでいきました。

 大丈夫なんでしょうか。何か難癖つけて、コンビニ交付サービスを提供している地方公共団体情報システム機構(以下、J-LIS)に問い合わせろ、とか言い出しそうな雰囲気です。
 しばらくして、やはり先ほどの担当者が近寄ってきて「マイナンバーカードには何の問題も確認できなかったのでこちらで調べることができるのは、これ以上ありません。これ以上は、コンビニ交付サービスを提供しているJ-LISに確認していただくのが一番よいかと・・・
 やっぱりそうきたか。そんなことを言い出すような予感はしていました。もちろんそれには納得できないので、「いいですか。戸籍謄本や印鑑証明が交付できているのですから、マイナンバーカードに問題ないのはこちらも想定しています。問題は、住民票のみがJ-LISと役所との間でトラブっているんですよ。それを私があなたたちに代わって問合せしないとならないんですか?どう考えても、役所とJ-LISの間の問題ですよね?」と私(文章にするため多少綺麗にまとめましたが、その時はもう少しストレートな物言いをしています)。
 お客様がおっしゃられたことをもとにもう一度調べてみます、と担当者さん。

 いい加減、ちゃんと仕事してほしいものです。点と点を結んで、本当に起きている問題点を見つけ出すのは役所の仕事です。こちらではありません。
 仮にも2年前までIT屋に勤めていた私からすると、ここまで情報がそろっていれば、とりあえず母の住民登録を確認して、マイナンバーが間違っていないとか、その他住民票関連で調査できることを確認していくのが当然だと思うのですが、何故J-LIS側に丸投げしようとするのでしょうか。役所側で調査すべき事はまだあると思うのですが。

 しばらくして、次にやってきたのは、先ほどとは異なる担当者さんでした。
 「住民登録に使用されている漢字に実際とは異なる文字が使われていました。新しいシステムでは問題ないのですが、旧システムでは正しくない漢字のまま交付されてしまうと言うことから、コンビニ交付ができないように停止していました。もうすでに新しいシステムに変わっているため、コンビニ交付ができるように修正しました
 やっとこちらが望んでいる回答にたどり着いてくれたようです。詳細は聞きませんでしたが、おそらく異体字を使用しないと正しい漢字が出ない問題による交付停止が関係していたようです。いわゆるJIS2004字形問題ってやつでしょうか。当然、役所のシステムで出す場合は、JIS2004字形問題を回避した出力が可能でしょうけど、コンビニに設置されているマルチコピー機はいわゆるパソコンに複合機が一緒になったような機械なので、JIS2004字形問題を考えてあげなければならなかったんでしょう。
 それだと、住民票とともに戸籍謄本や印鑑証明なども一緒に停止状態になっていなければならなかったはず。推測ですが、異体字を使用しなければならない住民の漢字のデータを修正した後、コンビニ交付停止フラグを取らないとならないのを母のみ取り忘れていただけではないかと。

 一応、問題は解決したものの、正直不安が残ります。私は現象から役所側の住民票データの問題では?と疑いを持ちながら、問合せしに行きましたが、私以外はうまく役所に丸め込まれて、役所が本来すべき確認を代わって市民側がJ-LISに問い合わせるだの、マイナンバーカードのコールセンターに問い合わせるだのさせられる可能性があります。
 正直、今のままでは役所のマイナンバー関連の問合せ対応能力の低さが混乱を生みそうな気がしてなりません。
 マイナンバー関連だけではなく、デジタル庁主導のガバメントクラウド等々、色々と問題が発生しそうなイベントが今後役所に降りてきそうです。そんな中、今回の現象のように、点と点とを結びやすい問題すら原因追及に時間を取られているようでは話になりません。

 おそらく、役所が自分自身で対応能力を底上げしようとしても難しいでしょうから、デジタル庁などが対応能力の底上げプランなどを作って、地道に役所を回るしかないような気がします。とりあえず、ほとんどの国民が持つことになるであろう、マイナンバーカード関連の問合せは今後役所に重くのしかかってくることになるので、早めの対策を講じてほしいものです。

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