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マイナ保険証の方が届くのが早かった実体験

 私のnoteではよく取り上げているマイナンバーカード。取り上げている理由は単純で、国の思いと国民の受け取り方が大きく乖離している点が興味深く、観察対象としては面白いから、結構取り上げることになっています。
 今回は、マイナ保険証で興味深い実体験があったため、その報告をnoteにまとめたいと思います。

 河野大臣がマイナ保険証のメリットとしてあげている中に、転職してもマイナ保険証であればすぐに使用できる、ということがありました。それが本当かどうかを検証することができました。

 私の現状は、上の記事と大きく変わっていません。現在もリタイアしているという状況に変化はなく、たまにですが仕事をして収入を得ているという状況です。
 今年1月からたまたま面白そうな仕事があり、応募したところ採用されたものがあり、仕事をすることになりました。期間としては、1月中旬から3月末までです。仕事の期間が2ヶ月を過ぎるために、最初から社会保険への加入が必要となり、現在の国民健康保険から切り替える必要が出てきました。
 もう少し具体的な日付を申し上げると、1月17日から仕事を始めて、3月29日が最終という仕事をすることになりました。仕事は、人材派遣経由です。

 1月17日仕事開始であるため、河野大臣がマイナ保険証のメリットとしてあげている「転職時にもすぐに使える」というのが正しければ、1月17日にマイナ保険証として使えることになります。

 しかし、残念ながらマイナポータルで確認する限り、以前の国保のデータのままでした。恐らくマイナ保険証として使ってしまうと、国保として取り扱われることになってしまいます。

 翌日も確認しましたが、まだ国保のままです。その翌日もです。結局、国保から新しい保険者へ切り替わったのは、1月23日でした。マイナポータルで表示されている内容では、交付年月日が1月22日であり、その翌日にポータルへと更新が反映されたようです。
 残念ながら、河野大臣が言われているように転職した時にすぐに使える、という状態ではありませんでした。人材派遣会社から保険者に、被保険者の情報を伝えるというタイムラグ分が掛かってしまったのでしょう。途中に土日も挟んでるため、その情報を伝える手段が郵便などであれば尚更時間がかかってしまいます。転職した当日に、問題なく使えるようにするためには、転職先と保険者との間のデータのやり取りを郵便などではなく、デジタルデータでやり取りできるような仕組みが必要になります。今後の課題は、ここをいかにタイムラグなくやり取りできるかが鍵になりそうです。

 ちなみに、紙、というかプラスチックの保険証は1月26日に届きました。しかし、その日は平日であり、結局受け取れたのは翌日の27日でした。物理的な受け渡しがない分、マイナ保険証の方がやはり早めに使用できることになります。

 この実体験から分かる通り、転職してもすぐに使えるようになるというのはまだ実現できておらず、紙やプラスチックの保険証が届く前に使えるものの、転職先と保険者との間で被保険者の情報伝達の方法を改善する必要があるというのが現状のようでした。

 あと、補足ですが登録されたデータに若干の違和感がありました。皆さんも、ニュースなどでマイナ保険証に登録されているデータが他人のものだった、という報道を何度も聞かれたかと思います。

 ここの仕組みをもう一度説明すると、保険者は事業者から被保険者の情報を受け取った際に、独立した端末を用いてマイナンバーの情報を検索します。事業者から受け取った被保険者の情報の中に、マイナンバーの記載があれば、本当に本人のものなのかを確認するために検索します。もし、マイナンバーの記載がなければ、漢字氏名、カナ氏名、住所、性別、生年月日の5情報で検索して、マイナンバーを確認します。

 厚生労働省は、当初氏名、住所、性別、生年月日の4情報が合えば、マイナンバーの届出がなくても、被保険者のマイナンバーとして取り扱うようにと指示していたのですが、いい加減な保険者は、氏名と性別、生年月日のみで住所は無視するという方法でマイナンバーを取り扱っていたために間違った登録が数多く発生してしまいました。これは、住所が間違っているケースが多くあり、4情報で付き合わせると、ほとんど合わないということになったため、3情報が合えば同一人物として登録するという方法をとっていたようです。しかし、登録の間違いが数多く出てしまったため、厚生労働省は4情報からさらに厳しい5情報が合った場合のみマイナンバーを本人のものとするように指示し直したようです。

 私の場合は、人材派遣会社にマイナンバーを届けているため、基本的に、住民基本台帳の情報にあるマイナンバーと同じかどうかを確認するということになったようですが、担当者の知識レベルの問題なのか、少しでも違いがあればこのようにしなさいと言うルールがあったのかわかりませんが、氏名のところに●という表記が含まれていました。

 具体的に言えば、苗字の1文字が●に置き換えられていました。例えば、「山田 太郎」と言う名前であれば「●田 太郎」となっていたと言うことです。

 理由は簡単です。2004年に改定されたJIS規格によって今まで1点しんにょうで表していた文字が2点しんにょうに変わったことが影響しています。その他の文字でも表記に影響があったものが数多くありました。例えば、葛などもそうです。
 上の記事にもあるとおり、画数が少ないので代表的に取り扱われる辻という字であれば、住民基本台帳には基本的には1点しんにょうの辻󠄀が使用されているはずです。

 つまりこう言うことです。
 保険者はマイナンバーを確認する際に独立した専用端末を使用するのですが、そこで表示されるのは、住民基本台帳に記載されている文字が表示されます。上の辻であれば、1点しんにょうの辻󠄀が表示されます。
 それを今度は、別の端末でマイナ保険証の元となるオンライン資格確認等システムに登録する際、1点しんにょうの文字を表示できないため(当然、今一般的に使われているWindowsパソコンでは1点しんにょうは1回の変換では入力できません)、あえて●を使用したようです。本来であれば、字形は異なるものの同じ文字であるため、2点しんにょうを使用してもいいのですが、あえてこの保険者は使用しなかったようです。これが、この保険者独自のルールなのか、入力担当者の知識レベルの問題かはわかりません。ちなみに、以前の国保では●などは使われず、新しい字形の文字を使用していたため(厳密に言えば、紙の保険証の印字は1点しんにょう、オンライン資格確認等システムでは2点しんにょう)、厚生労働省がガイドラインで指定しているわけではないようです。

 本当に余談ですが、Windowsであれば、IMEの設定を変更することで、字形が異なる文字も簡単に入力できますが(いわゆるIVSの文字入力を制限しないという設定に変えるというやり方です)、本当にそのような入力で表示された1点しんにょうの文字を使用して良いかどうか。こればかりは、オンライン資格確認等システムを作成した中の人に聞いてみないとわかりません。

 私のマイナ保険証での違和感は、他人のデータが表示されるとかそういった類の間違いではなかったのですが、まさか自分の名前に●が使われるとは思ってもみなかったという状況だけでした。

 それ以外は、概ね、紙やプラスチックの保険証よりも早く反映できると言う点では、マイナ保険証側にメリットがあるのではないでしょうか。ただし、国民健康保険への切り替えという点では、役所に直接出向くという方法が取れるのであれば、恐らくそちらの方が早い可能性があります。マイナポータルの問題なのか、オンライン資格確認等システムの問題なのかはわかりませんが、実体験から推測するに実際のデータの反映は翌日になっているようです(紙の健康保険証は当日窓口受け取り可能ですが、オンライン資格確認等システム、つまりマイナ保険証の場合、翌日反映のようでした)。

 課題は見えているので、着実に潰していけば、物理的なやり取りがない分、マイナ保険証の方が使い勝手が良いかもしれません。さて、今年の12月から実際に紙、プラスチックの保険証が新規発行されなくなるわけですが、今色々と問題視されている課題がどこまで潰せる状態になるのでしょうか。

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