7 | Life is hard, but I need to fight
昨日用事があって病院に来ていた。
そこで出会ったのが普段いつも冗談ばかりを言ってくる教育局でIT部門で働いているおじちゃん。
今日はどんなボケをかまそうかと考えていたところ、
近づくと明らかにいつもと様子が違うのは、表情で一目見て感じ取ることができた。
「こんにちは、今日はどうしたんですか?」
「妻が癌でね、入院してるんだ」
そうすると、
自分の中に閉じ込めていたことを吐き出すかのように、奥さんがどんな治療を乗り越えてきたのかを話してくれた。
卵巣癌になってそこから転移して膀胱や子宮も全部取り除いて、何度も病院に行って帰ってを繰り返した。
もう完治と思っていたら今度はまた肝臓に癌が転移していたり、胃に膀胱を取り除いたりしたせいで水が溜まっていたりして。
息がしづらいから酸素チューブを繋いだままでしか生きていないといけないんだ。
聞いている方も心が痛くなる話だった。
「でもね、先週の日曜日、妻がね。『本当に全部ありがとう。私に対してしてくれたこと全部全部ありがとう』って言ってくれたんだ 」
と彼が言った時、胸の中に熱いものが込み上げた。
"Life is hard, but I have to fight"
彼は目を真っ赤にして、自分に言い聞かせるようにそう強く言い放った。
「間違いなくあなたの奥さんはあなたといられて幸せだと思います。本当に」
何年間も連れ添った伴侶がそうやって、目の前で苦しみながらも闘っているのを見るのは、想像を絶するほどの辛さだろう。
幸せであればあるほど、それを失った時悲しみも大きいのだと思った。
故に、悲しみが大きいということは幸せが大きかったということが言えるのだとも感じた。
「悲しい時こそオープンにならないとね。やってけないよ」
いつも冗談ばかりを言っている彼が普段は隠している心中の悲しみ。
生きていくのは、残酷だと感じた一幕だった。
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