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思い出デジカメ『ペンタックス Q』
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今回は2011年8月に発売されたペンタックス Q。約1430万画素の超小型レンズ交換可能な世界最小ミラーレスカメラの実力はいかがなモノだったのでしょうか?
『 ペンタックスQ ナノ一眼ってどんなもんナノ?』
一眼レフを模したミニュチュアカメラというジャンルがあります。
これは画質面、機能的には冗談半分オモシロ半分といった全面的に洒落を楽しむカメラでございます。レンズも交換できないし。
今回登場したナノ一眼ペンタックスQはまるで一眼レフのミニュチュアのようなサイズながら、小さくて可愛いから画質とかそのへんはまあよしなに的な甘えや妥協はございません。
よおし遊ぶなら徹底的にやってやろうじゃないかというペンタックスの本気が見える超小型デジ一眼になっておるのでございます。
いまデジ一眼界は「世界最小最軽量」記録を年々更新しつづけ、(注・APSサイズ以上の記録素子を持つストロボ内蔵型レンズ交換デジタルカメラにおいて)とか(注・光学ファインダーを装備したレンズ交換式デジタルカメラとして)などの各クラスごとに「世界最小最軽量(注)」王者がひしめいておりますが、レンズ交換ただ一点に絞り込むと堂々の世界最小最軽量王者がこのペンタックスQなのであります。
Qにまつわる全てが小さく出来ておりますゆえ、交換レンズである03フィッシュアイレンズなんかは芽キャベツくらいのサイズしかありません。
レンズのリアキャップはそら豆サイズ。
ボディのほうのサイズは煙草の箱より長さと厚さがちょっとプラス、幅はその分狭いくらい。
これくらいの寸法だとズボンのポケットに入れるのには躊躇しますが、上着のポケットなら十分ありです。
これならカメラ一式そろえてもおばあちゃんが財布と飴玉とチリ紙を入れて提げていた巾着袋に合切が収まり、形見分けが活躍できると非常に喜んでおる次第であります。
みなさんもこのQに最適なカメラバッグを探そうとしても困惑するでありましょう。商売熱心・・・失礼、ユーザーを思いで知られる当のメーカーでも「別売りアクセサリー」には上品な革製のカメラケースを用意するに留まっております。
既存のどんなバッグの仕切りでもこのペンタックスQの交換レンズには大きすぎるのです。
なんてステキなのでしょう。
これならQを首からぶら下げ、交換レンズはポケットに。
おっと、もう一本レンズ入れておくか・・・まてよ、予備ボディも持って行ったほうがいいな。それから飴玉を一掴み、あとは定期入れと・・・なんてお出かけ持ち物一式を含めて身に着けようともカメラレンズの重量なぞ何も気になりません。だって、本体質量は驚異のおよそ180g。スマートフォンやらのデジタルガジェット並みの重さなのです。
それでいてボディ外装にはマグネシウム合金を採用し、手にした時の質感も高く、決して気安い手触りではありませんぞ。カメラとしての機能は約1240万画素1/2.3型裏面照射型CMOSセンサー、撮影感度ISO125から6400、フルHD動画撮影、約5コマ/秒の連写性能、ボディ内蔵センサーシフト方式手ブレ補正、ゴミ除去のダストリムーバブル機構と本格一眼並みの装備をぎっちり搭載。
ストロボも収納した状態でもポップアップでも発光出来るというスグレモノ。この凝縮感だけでもQを手にする価値がございます。
気になる交換レンズ群はまず5本リリース予定。01スタンダードレンズはなんと8.5mmF1.9!
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豪華魚介料理を撮影中、イセエビの鮮やかな赤をキャッチーによろしくと関係者諸君。それではと、ポケットからペンタQを取り出し撮影。画像にデジタルフィルター「色抽出」で赤を選択、イセエビレッドを抽出し伊勢感をこれでもかと強調。どよめく関係者一同。ただし採用はされず無念。趣味人の範囲で楽しんでこその風雅風流。描写は一流。
・・・と数字だけみるとまるで画角がわかりませんので公式としてはだいたい5.5倍をかけてください。これは採用しているCMOSセンサーもボディに合わせてコンパクトゆえ。
で、8.5ミリ×5.5倍というと、ええと・・・約47ミリ。35㎜判換算で約47ミリF1.9の標準単焦点レンズになります。 このレンズのキレの良さは小さな記録素子の持つポテンシャルを最大に発揮させ、およそこのサイズのCMOSで撮った写真とは思えない画質。このレンズを使い、カメラってやっぱりレンズが一番大事なんだなと再認識しました。NDフィルターも内蔵し、明るい光線の下でも絞りを開けられますので撮影の自由度が広がります。
02レンズは5-15㎜F2.8-5.6(換算27.5ミリから83ミリ相当)の3倍ズーム。通常撮影ではやっぱり欲しい標準域のズームレンズであります。なんだかんだで一番使うトコロでありますな。
03レンズからは「ユニークレンズシリーズ」として3.2㎜F5.6フィッシュアイ(35㎜換算17.5ミリ)。
04レンズは6.3㎜F7.1(換算35㎜)トイレンズワイド。
05レンズは18㎜F8(換算100ミリ)のトイレンズテレフォトと気軽に楽しめる廉価なオモシロ交換レンズとなっております。
それぞれF値固定、ピントマニュアル、レンズ収差抑えず価格抑え目となっておりまして、これは意図的に緩い表現を楽しみ写真に幅を持たせましょうというペンタックスからの提案なのです。ここで「作りが甘い!収差が!歪曲が!」と目くじらを立て吼えーるのは大人じゃありませんぜ親方。
写真を楽しむ機能といえば早くからカメラ内でのエフェクト効果を確立してきたペンタックスならではの豊富なデジタルフィルターの数々。
撮影した写真に様々な効果をかけることができるこの機能は「トイカメラ」「ハイコントラスト」「ミニチュア」などをはじめ、広いラチチュードを再現する「HDR」、特定の色を抽出する「色抽出」など全19種類のフィルターが搭載され、それぞれのフィルターでは好みと表現に合わせて実に細やかな調整も可能になっているのであります。その上、ボディ前面のクイックダイヤルに好みや得意とするフィルターも登録でき、撮るまさにその瞬間にフィルターチョイス。
また、このクイックダイヤルには「極彩」「ソリッドモノカラー」「Auto110モード」「クロスプロセス」「さくらほのか」「ドラマチックアート」ハードモノクローム」水彩画」「あでみやび」など画像効果のほどが想像できるもの、どんな仕上がりなのか撮るまでわからないものなど楽しげなエフェクトも登録でき、しばらく飽きることはないでしょう。たくさんありすぎて、一巡した頃に最初のエフェクトがどんなだか忘れて二度美味しいですね。
それではこの小さなボディと小粒なレンズで小粋な写真をじゃんじゃん撮ってきてください。いつでも一眼レフは手放さないという根っからのカメラ野郎にも、カフェ巡りひねもすのたりのたり哉的カメラ女子にも、この超コンパクト一眼レフ・ペンタックスQはお勧めです。
さあ、世界の果てまで撮ってQ!
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スマートエフェクトで「ドラマチックアート」を選択、撮影後デジタルフィルター「ハイコントラスト」を最小で掛けてみました。このくどい画像に賛否はありましょうが、灰汁も味のうちとすればなかなかのものであると思います。
F5.6固定の超広角なのでつい被写界深度に頼りそうになりますが、しっかりとピント合わせを行うとトイレンズ扱いのユニークレンズでも見所のある描写をします。