見出し画像

思い出デジカメ『シグマ SD15』

『頑固一徹 シグマSD15』(2010年発売)

2652×1763×3層のFoveon X3ダイレクトイメージセンサー搭載。このセンサーに惚れ込んだシグマの四代目デジ一眼。この切れ味画質に目を見張れ!

 

シグマHPより

 皆さんの周りに職人はいますか?
 縁側であっちいお茶を飲みながら一服している、ごま塩角刈り、口は悪いが仕事は固い。なんていう昔ながらの職人イメージの人です。
 おりませんか?
 じゃあ、祖母の代から伝わり、毎日欠かさずかき回している糠ドコはありますか。
 コレで漬けたオシンコがないとゴハンを食べた気がしない。火事なら真っ先に持ち出す我が家の宝です。なんてゆう糠ドコです。
 じつは私もございません。
 でも、そんなイメージとなぜか重なる一途で頑固で真っ直ぐな、決して万人受けはしないけれどもその正直さと味わいに胸を打たれるというデジタルカメラがございます。
 このシグマSD15です。
 これでも私、ひそかに先見の明があると自負しております。ブルース・ウィルスははるか昔、「こちらブルームーン探偵社」の頃より光るものを感じておりました。ボンドでお馴染ピアース・ブロスナンも「探偵レミントン・スティール」から彼は伸びると確信してました。
 
 で、このシグマSDシリーズはデビューより、フォビオンセンサーの生み出す描写力に私は胸を打たれたのです。このカメラは違うと。
 残念ながら、初号機はカメラボディのロハスなレスポンスにより主流からは外れてしまいましたが、2代目と熟成を重ね、3代目にはJEPG画像も撮影可能になり、このたび4代目SD15へと生まれ変わり、よりクイックなレスポンスと高画質を手に入れたのでございます。
 では生い立ちの説明はこれくらいにいたしまして、SD15のポテンシャルをご説明いたしましょう。
 シグマSAレンズマウント採用、記録媒体はSD/SWDHCメモリーカード、マルチメディアカード。ロスレス圧縮RAW、JEPG記録方式。8種類のホワイトバランス、ファインダー視野率は約98%、中央クロスの5点AFポイント、ISO感度は最小50、最大3200。連続撮影速度約3コマ/秒。サイズは幅144ミリ、高さ107.3ミリ、奥行き80.5ミリ、ボディ質量680g。
 と、正直ごく普通のデジ一眼スペックであります。
 ただし、このSD15に搭載されているFOVEON X3 の3層C-MOSセンサーはRGBの3色をそれぞれひとつのピクセルで取り込むことにより、豊富な階調と精細な画像を記録するので、非常に緻密精細な画像を手にすることができるのであります。

50mm F1.4EX DG HSM 定価6万円
なにより明るい絞り開放F値が強力な武器となる50ミリF1.4レンズ。多少の暗がり、雑多な背景でも被写体を浮かびあがらせるような描写が可能になります。使いこなしは難しく融通の効かなそうに思いがちですが、この一本で活路を見出せるモチーフも多くあります。写真をやっていればいずれそのうち欲しくなりますので早いうちにどうぞ。


 ぜひシャドー部にライトを加えたような独特の表現をする「X3フルライト」をはじめとした9つのパラメータでRAW現像するSIGMA Photo Pro 4.1でじっくり写真を完成させてみてください。ハマッたときの切れ味にいたく感動するはずです。
 この一点だけでも手に入れようかなと思うカメラであります。
 また地味ながら優れた機能の一つとして、センサー前にダストプロテクターを装備した構造も上げられます。これはユーザーが簡単に清掃することができ、ゴミの写り込みを極力防止することができるのです。現在ではかなりのモデルにダストクリーニング機能がついておりますが、実際にブロアーで掃除しないと取れないゴミは結構あるもんなんです。
 ほかにも大して説明書を読まずとも操作できるインターフェースは素晴らしくシンプル。ごくタマにしか使わないややこしい機能などほとんどついていないSD15の潔さ。
 写真を撮るだけに研ぎ澄まされたカメラなので、やれ動画だ、パノラマはどうしたなどと機能に煩わされることなく写真撮影のみに専念できるのであります。
 さあ、それではこのシグマSD15を支える至宝のレンズたちを讃えようではありませんか。
 まず現時点でシグマからラインナップされているレンズは4.5mm円周魚眼から超望遠1000mmまで45種類。ただし、これは原稿を執筆している時点でのカウントなので皆様のお手元にSD15が握られる時にはこの数字には若干の増減があるやもしれません。シグマの光学製品は日々進化を遂げておるのです。
 これに疑問を挟むひとは一度シグマのレンズカタログを御覧なさい。
 「ん?コレとこのレンズはどう違うのかな?」とすぐには違いがわからず戸惑う製品があるはずです。70-300mmなんか3本もあります。

70-300mm F4-5.6 DG OS 5万9千円
約120ミリから510ミリの超望遠ズームとして使えるこのレンズは遠く離れた被写体から、望遠特有のパースを活かした撮影表現までさまざまに使えます。シャッター速度にして約4段分の手ブレ補正と優れたコストパフォーマンスでぜひ手に入れたいレンズであります。芯のある描写力にきっと満足いただけます。私も欲しい1本です。


 それぞれにレンズガラスの違いや異なる機能を持ち合わせた3本ですが、私はこの中からあえて推したいのが70-300mm F4-5.6 DG OS。シャッター速度にして4段分の手ブレ補正はやはり便利であります。SD15に装着すると約120ミリから510ミリの超望遠ズームになり、もう望遠側はこれ以上は望まないという感じで遠くの被写体を引き寄せられます。
 微妙な違いでも良いモノであればすぐに製品化する英断、実現化する高い技術力。この攻めのレンズ展開が我々にとって強い味方なのであります。
 さらに傑作を手にするレンズを引き続きご紹介いたしましょう。
 あまりに基本すぎて、ついうっかり見逃してしまっている50mm F1.4。この素晴らしいレンズの良さをここで再認識しようではありませんか。
 ベテラン勢は「その昔は50ミリがカメラとセットだったなあ」、若手は「ズームじゃないのは不便」などの感想および苦言が聞こえてきそうですが、そこをこらえて試しに使ってごらんなさい。
 ちょっと油断するとすぐ被写界深度から外れるピントの浅さ、思いのほか暗い中でも早いシャッターが切れる開放F値の明るさ、そしてなによりアウトフォーカスのボケの美しさと写真の立体感。
 身の引き締まる思いがいたします。
 そんな写真撮影の基本を振り返る事ができるシグマ50mm F1.4EX DG HSM、SD15では85mmF1.4のポートレートレンズとしてお使いいただけます。どうぞふるってご使用ください。
 なにか急に写真に対する真剣さが宿ってくるような気がしますから。
 さて、これまでの2本があなたの写真生活に彩りを添えるレンズだとすれば、つぎの一本はそれを根幹から支える要石のようなレンズをお教えいたしましょう。
 17-70mm F2.8-4 DC MACRO OS HSMです。
 「なんか地味ね」という意見が聞こえてくるのは承知のうえのチョイスなのはわかってます。
 ごく普通のズーム比、ちょっと明るめのF値、手ブレ補正機能と突出した部分は確かに見当たりません。
 「最短撮影距離22センチ」を除けば。
 これがどれくらい凄いかというと、レンズ前で計ると被写体までほんの指2本ぶんまで寄れます。
当然レンズフードなんかは被写体にブツかりますから最短撮影では外さないといけません。
 この超近接撮影可能な標準ズームでは見える世界が違ってきます。
 ボディは買えないけど、どうしてもこのレンズを自分のカメラで使ってみたいというヒトは適合をシグマHPでチェック、5種類のマウントを用意しているシグマの懐の深さを実感してみてください。
 どうも私、さっきからお気に入りの静かなお店をヒトに教えてしまったかのような気分になっています。お店が繁盛するのは喜ばしいけど、有名になって込み合うのは寂しいような・・・
 クセの強さが味の深さ。SD15風味にはまり込むと、ちょっと他では物足りなくなります。
 

17-70mm F2.8-4 DC MACRO OS HSM 定価5万6200円
このレンズさえあればたいていの業務撮影がまかなえるな。とヒソカに狙っている職業写真家は多いのではないでしょうか。すでにこっそり使っている人もいるはずです。とがった部分は目立ちませんが強力な手ブレ補正と廉価なズームより一段開けれる絞り値、標準域ズーム一のマクロ撮影機能であらゆる撮影に対応できるレンズに仕上がりました。

いいなと思ったら応援しよう!