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#9 『太田上田』を見たらようやく元気が出た話

最近、何を見ても心から楽しめていなかった気がする。
定期的に訪れるそんな時期だった。
完全にモラトリアム大学生の典型だが、
漠然とした不安に襲われ、何をしても悶々とした時間を過ごしていた。
好きな音楽を聞いて、たまに酒をあおって、
-100くらいの気持ちを-50くらいになんとか持って行っている感じだった。

そんな時、だいたい傍にいてくれていたのは深夜ラジオだった。
ただ、なんでか最近はあまり心を引いてもらえない。
展開される幸せな話か仕事で忙しすぎる話は、
悶々大学生の心を余計悶々とさせるばかりだった。
(とはいえこの前の不毛な議論だけは楽しく聞いたが…。)
仕方ないし、良い悪いという話ではない。
だからこそ、「今その話無理、ごめん」という気持ちが
深夜に自分の罪悪感もかき立てた。

テレビをつける時、だいたいトーク番組をつけるが、
芯を食ったトークに心を食われてしまいそうで、
なんとなく敬遠してしまっていた。
「どうしよう、何をつけるのが正解なんだろう」
ザッピングと配信の番組一覧を行き来し、
見るものが決まるまでに長い時間をかけてしまって
「ああ、また不毛な時間を過ごした」
とか思ったりしていた。

そんな時、たまたまHuluで『太田上田』を見た。
偶然出会った感じを装ってはいるけど、
太田さんのことはもともと好きだったので、
前からこの番組を見たりはしていた。
ただ、そういえば最近あまり見ていなかったなと。
軽い気持ちで晩御飯のお供に選んでみた。

驚いた。
こんなに面白かったか。
めちゃくちゃ笑った。
何も考えずに、笑った。
無鉄砲で最高にエッジがきいていて、
ゲストにも真っ向から対抗しているのに、
たまにピュアさが映る太田さんのトーク。
それに対して、みんなをぶっ飛ばしていきそうな
豪快で軽快な上田さんのトーク。
ゲストの話をしっかりと引き出しつつ、
爆発的な笑いに落としていく。
もしかしたら恐れていた芯を食ったトークもしていたのかも。
でも、「すごい」と思う間もなく笑った。

気づけば何時間も、
何も考えずに笑っていた私。
ようやく気が済んだころには、
すごくすっきりしていた。
特に道筋がたったわけでもないけど、
妙にすっきりした。
直感的で爆発力のある面白さに心を救われた。
明日からは-10くらいの心持で
少し前向きに生きていけそうな気がする。

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