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暁美ほむらに対する感情

まどか☆マギカがインパクトを与えた理由
 最近再びまどマギシリーズに熱中してきたので、改めて他の人のまどか☆マギカのレビューを読んでみた。

 上目遣いな書き方で恐縮だが、世間の声の最大公約数的な意見なのかなという印象である。
 ここではまどか☆マギカがインパクトを与えた理由として、
 1 3話で魔法少女モノの仮面を破る
 2 震災前後による混乱と放送延期
 3 物語の重厚さや考察の楽しみ
 が挙げられている。

 とりわけ「3」については、輪廻や魂の在り処についての考察のしがい。10話で明かされるほむらの壮絶な過去、12話でのまどかの選択の巧妙さなどが挙げられるだろう。

 当時からまどか☆マギカにハマりつつ、どこかこうしたレビューに頷ききれない部分があった。例えば僕は放送が終了した直後にまどか☆マギカを視聴したせいもあるのか、まどか☆マギカ3話に関しての驚きはほとんどなかった。むしろ1話ですでに衝撃的で、戦闘シーンのアヴァンギャルドな泥犬空間にドキモを抜かした。
 
暁美ほむらのキャラクター
 今も昔も、一番隔たりを感じるのはもう1人の主人公と呼ばれる暁美ほむらの人気ぶりである。よく神回として話題にあがるほむらの軌跡を描いたまどか☆マギカ10話だが、確かに演出として見事だったと思っている。この回があったことで、その後のまどかとほむらのやりとりも感動的なシーンになったことは間違いない。ただ、10話は僕自身がほむらのキャラクター造形に対して、どうも違和感を感じてしまったきっかけになっている。

 彼女ははじめ内気な少女で周りと上手く打ち解けず、一番仲良くしてくれたのがまどかだった。魔法少女システムの真実を知ってしまった後も彼女のことを信頼したのはまどかだった。時間をループするごとにほむらの拠り所はまどかのみとなり、まどかを魔法少女にさせないことが彼女の使命になっていく。
 ほむらの過酷な運命を考えるならば、彼女がまどかを頼りにし、精神的支柱にしていったのはよくわかる。ただ、僕はむしろこのほむらの物語が感動的なものというより、悲劇のように思えてならなかった。

 冷静に考えれば、本来神でもないまどかという1人の人間を支えにする、言い方を変えれば「依存」することに生きがいを見出すのは不健全だ。好む好まざるを問わず人間は、多くの人を支え、支えられながら生きていく。それがほむらにはできなかった。ほむらの運命がそれを許さなかったばかりに後味の悪さばかりが残っていた。

主人公まどかの選択
 では、自分にとってまどか☆マギカが好きになった点は何だったのだろう。物語的な側面の核はまどかの存在である。最終的に主人公まどかが何を決断し、魔法少女になるか、そこでどんな変化をもたらすのか追うことがカタルシスだった。まどかが様々な魔法少女と出会い、魔法少女システムの存在と歴史を知り、彼女たちの思いを受け止めながら自分にしかできない答えを見つけ、重くも崇高な決断をする過程に僕はとても惹きつけられた。
 僕からみれば、まどかの真っ直ぐな魂に対してほむらの魂は真逆なのである。ちょうどまどか☆マギカ10話でまどかに「このまま二人で怪物になって、こんな世界、何もかも滅茶苦茶にしちゃおうか」と提案したエピソードなど象徴的だ。どこか彼女には破滅願望があって、究極まどかさえいればどうでもいいみたいな節がある。それを演出としてヒロイックに描いたり、公式グッズでもまどほむカップリングが多いのも、どことなく違和感を感じながら見ていた。

叛逆の物語
 そうしたほむらの特徴を一層形作ったのは続編である「叛逆の物語」だろう。最終的にほむらはまどかが作り上げた円環の理を一部捻じ曲げ、自分が作り上げた世界にまどかを引きずり込む。他の魔法少女を消滅させはしないものの、記憶を消し去る。
 「叛逆の物語」は精神世界を中心に、どうとでも変化する世界観でストーリーを展開する大変わかりづらい物語だ。また、ほむらがなぜ円環の理を捻じ曲げられうような大きな力を持つにいたったのか、それが理解できないまま物語が終わるので、個人的に釈然としない作品ではあった。しかし、ともあれ自身を「悪魔」と称するほど、何か人間として危ういものを持っていることをほむらが自覚し、作品としてもほむらの「業」を追求した点は、まどマギシリーズに新しい価値を提供したと思う。

最後に
 多くのまどマギファンを敵に回すような書き方であれだが、先述したとおりどうも、まどか☆マギカや叛逆の物語におけるほむらが苦手だ。もっというと、「まどほむ」カップリングやほむらがとても愛されている世間の雰囲気に馴染めないままここまできてしまった。その意味でも新作の映画でどのような結末を迎えるのか、大変気になるところだ。覚醒前夜1話でみたような感動や発見が新作映画にも映し出され、僕のほむら認識が変わってくれれば、「ほむらが苦手」という面倒くさい呪縛から解放されるのになと期待している。

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