スペイン代表のサリーダの使い道
どうも、お久しぶりです。
スペインのEURO2020、初戦はスコアレスドローに終わりました。
モラタ酷評の記事やツイートはとても多かった(笑)んですが、「得点できなかった原因は本当にそれだけかな?」と思い、別の視点で考察してみました。
今回はこの試合で何度も試みたコケのサリーダについての考察記事になります。
■スターティングメンバー
監督: ルイス・エンリケ
■サリーダとは
まずは基本のサリーダの動きと考え方。相手は442です。
本来、サリーダってこういう形になりパスが出せない時の「逃げ道」をつくることであって、
数的優位をつくりこの択を迫ることによって相手のプレスを回避していく方法なんですよね。
もし9番がプレスにきたらパスで逃げるだけで、11番にまた択を迫れる状況が続くので安心安全設計です。
もし9番がサリーダに釣られるようなら白い部分のスペースを自由に使えるようになります。
もしプレスにこないようならサイドを走らせて空いたスペースに持ち運んでもいいですし、
さっさとサリーダしてきた選手に下げ、両CBがワイドに開いて343の形に持ち込んでもいいですね。
これで常に優位性をとれるのがサリーダのいい使い道です。
つまり、最終ラインから攻撃のスイッチを入れられるのは相手が前からプレスにきた時に限ります。
プレスにこないようならIHやアンカーは定石通り相手の間にポジションをとってパスを受けた方がいいですね。
■しかし…
今回ルチョがとった戦術ではマルコス・ジョレンテの長所を活かしたいのか、IHのコケにサリーダをやらせました。
本来のサリーダの目的を考えたら8番をうまく釣りながらコケが降りてきた時に限り効果を発揮する(バイタルにスペースが生まれそこからギャップをつくれる)のですが、スウェーデンの守備は44ブロック形成が優先されておりコケが降りても8番はプレスにきませんでした。
そしてブロックがまだ崩れていないのに、マルコス・ジョレンテはハーフスペースへのスプリントを始めてしまい、いざボールを受けたコケは幅をとったフェラン・トーレスをほとんど使いませんでした(同一レーン上でのパスなのでそもそもあまり効果的ではありませんし)。
これではスウェーデンのブロックはスライドが間に合ってしまいます。
ここでロドリをスペースへ、と思ってもボールサイドで数的同数ができてしまい必ず1個飛ばしのパスが要求されてしまいます。
これでは高精度なミドルレンジのパスが必要、もしくはキーパーまで戻すしかなくなってしまうのです。
これが前半のスペインの攻撃の停滞感を生んでいたと思います。
つまり、極論を言ってしまえばこれは「無駄な動き」なんですよね。
マルコス・ジョレンテに裏を狙わせたいのであれば最初からこの配置でいいんです。
実際にやるかどうかは別として、これであればコケの走行距離も減りますし、マルコス・ジョレンテのスプリント距離もかなり減らすことができます。単純に移動距離が少ないので、ポジションを早くとれてパスのテンポもはやくなっていきます。よって、スウェーデンのブロックのスライドが間に合わなくなる時がくるはずです。
サリーダが機能していない以上、それはただのポジションチェンジになっちゃうんですよね。
前から奪いにこない相手にサリーダは要らないのに「ジョレンテの得意なことやらせたいからコケがサリーダ」、どうしても目的と手段が入れ替わっている感が拭えません。これではコケがかわいそうだと思いました。
皮肉にも、疲労からかコケがサリーダをしなくなってきてからはジョレンテが幅をとる形になりましたが、バイタルで持てる時間もかなり増えいい攻撃も多かったように思います。
ぜひ次戦はもう少し工夫して選手の配置や戦術を考えてほしいものです。
以上、拙い文章でしたがサリーダについて知見を深めていただけてたら幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。
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