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CEOの適齢と在任期間は?スタートアップだとどうなの?

今回は事業のお話でも、プライベートでもなく、日頃から自ら思っている疑問「CEOって、皆さんどれくらいの期間やってるの?」「スタートアップのCEOは、何歳くらいが多くて、成功しているケースは何歳くらいなの?」について文献を調べたので、それに関して記したいと思います。
はじめに申し上げておきますが、調べた結果が何年だから、自分は何年やるとかいうつもりはありません。CEOは、お客さま、従業員、株主の皆さまの信頼があるからこそ成り立つ商売ですから。

さて会社は、個人のものではありません。お客さま、従業員、株主のものです。個人の一生とともに終わるものではありません。私がCEOを次の人に交代しても、さらにその先の世代になっても、お客さま第一で会社として存続しなければなりません。
一方で、私は創業CEOであるため、この話題を考えるとき、少し複雑な気持ちになります。さらには、もともとJR東日本という大企業で働き、2〜3年おきの人事異動に慣れていましたので、何が正解なのか、よく分からなくなります。
スタートアップ業界において、創業者は誰よりもその会社に対する愛着があり、想い入れがあるゆえに、交代するのが難しいと言われています。創業者の想い、エネルギー、カリスマが会社を大きくしますが、一方で、その想いが結果的に会社の存続を難しくする可能性もあります。だからといって2〜3年で交代していくことは、まずあり得ないと考えます。一方で、一人が長期間にわたりトップであり続けることも、弊害があると考えます。
一般的な話をすると、日本の取締役の任期は2年で、CalTaもこれに倣って2年としていますが、これをCEOに当てはめるならば、実感としてCEOの在任期間2年はあまりに短すぎると考えます。考えて行動しても、結果が出るにはやはり時間がかかります。2年で終わりでは、これからというところで終了になってしまいます。

いろいろ文献をあさってみると、まず見つけたのは、だいぶ前の記事ですが、フィナンシャルタイムスの「The perils of the chief who stays too long at the top(トップに長く留まりすぎる危険)」という記事です。
「CEOの座に長居しすぎる危険は明確だ。かつて有効だったがすでに時代遅れの戦略を継続してしまうし、自ら社内で引き立てた少数のイエスマンに相談する。顧客や取引業者との交流も減ってしまう」。ただ一方で、「長すぎるのと反対に、企業トップがめまぐるしく変わるのもよくない。就任の際に5年未満の期間を想定していると、長期的な視点で成長軌道を描こうとするより、目立つ成果を上げたいとの誘惑にかられる。」
日本の大企業の中には、20世紀とあまり変わらぬ経営スタイルを続ける企業もあり、結果として上記のめまぐるしく変わるケースに該当する場合が多いと思います。あまり変わるのは良くないと思いますが、世代交代のために変わるとしても、長期的視点での成長を描くことを意識しながら、バトンタッチしていって欲しいですね。
記事では「定説があるわけではないが」とことわったうえ「有能なリーダーにとって7~10年が適切だと思われる。本当に重要な問題に対処するのに十分な長さであり、妄想に陥る前に退任することができる。それ以上長居すると危険領域に入る。」となっています。
次に「The Best-Performing CEOs in the World 2018」(ハーバード・ビジネス・レビュー)を見ると、Best-Performing CEOsの平均在任期間は16年。Best-PerformingだけでないCEO全体で見ると、2017 年のS&P500のCEOの平均在任期間は7.2年。この記事を見ると、業績好調ならば10年以上、一般的には7年程度、というイメージになるでしょうか。
そうはいっても在任期間を一概に規定はできないと思います。何故ならばCEOは会社のすべての課題の山と戦うわけですし、一つの山を登ると実際にはそこが頂上でなく、さらにその先の山を登ることも多々あると思います。自分じゃないと登れないのか、後進に登ってもらうのか、会社の継続性を念頭に置いて判断することになりますから、このタイミングがいい、ということが永遠にないと思います。だから、社長の交代時期は極めて難しいと思います。

ところで帝国データバンク「全国社長年齢分析調査(2022年)」によると、日本の社長は平均年齢60.4歳で、32年連続で年齢が高くなっているそうです。この5年でみても平均値が1歳以上も上昇しており、高齢化が進んでいます。先ほど述べたような課題の山と戦い奮闘努力している社長から見れば、そうなることも分かりますが、後輩から見ればまだまだ交代してもらえず、私の時代はいつ来るの?とか、まだ任せてくれないの?など、夢のない日本社会になっているとも言えますね。
このデータから、トップへの順番待ち行列が長くなっていると推測されますので、今度は視点を変えて、待ち切れずに会社を飛び出す人たちについて調べてみました。日本政策金融公庫の「2021年度新規開業実態調査」を見てみると、脱サラの平均年齢は43.7歳。40代で開業する割合が最も多く36.9%であることから、先程の社長の平均年齢も含めて概観すると、40代になると先が見えてきて、或いは待ってられなくて、それぞれの道をゆくという感じでしょうか。会社に残る人は役員を目指すのか、先輩社員として職場に密着したアドバイザーになるのかと思います。例えば研究開発の職場では、探求心の旺盛な先輩社員はかなり重宝がられると聞きますし、そのような熱意溢れる先輩社員は、研究職でなく営業職でも何でも、職場から求められているのだと思います。

いずれにせよ、40代までにマネジメント技術やその産業に必要な技術、コアな要素技術などの所謂「技術」と、実現させようとする熱意やマインドなどの「想い」をしっかりと身に着けないといけない、そして時代に合わせて磨きをかけていく、ということは当然でしょう。さもなくば、何となく敷かれたレールの上を走っていたら、途中でいきなりレールが切れて、行き先を見失うことになるでしょう。改めて、データから人生って厳しいなあと感じた次第です。

話を戻します。次にスタートアップ業界を見てみましょう。スタートアップ企業では、経営者を含めて社員の年齢が比較的若く、20〜40歳代で構成されていることがほとんどです。帝国データバンクによると、「スタートアップ企業を設立した際の社長の平均年齢についてみると、・・・設立2年目(2021年設立)では40.0歳となった。」とあります。
私が設立した2021年7月で、私の年齢はこの平均値よりも概ね10歳近く上でした。ですから、前にも書きましたが「CalTaをつくろうと動いたとき、こんな年齢になってチャレンジできるのか?と不安はありましたが、まだまだ人生の半分と考えればいい、と楽観的に割り切ったのを思い出します。」という気持ちを持って、CEOをやる決意をしました。

スタートアップ企業は消滅する企業も多く、5〜10年後の生存確率が10%前後という厳しい世界であるため、今度は成功したスタートアップ創業者の平均年齢を調べてみました。すると、MITスローン経営大学院のピエール・アゾレイ教授の分析(ハーバード・ビジネス・レビュー)により、アメリカではありますが、成功起業家の創業時の平均年齢は45歳なのだそうです。お、私の年齢に近くなった!\(^o^)/

・・・などと強引に(笑)分析していたとき、デジタル庁の業務に関与し、大学の先生でもあるN社のM社長にアフター5でお会いし、こうアドバイス頂きましたので、その言葉を本ブログの締めにしたいと思います。
「高津さん、起業したの遅いですね。でも年齢なんてぜんぜん関係ないですから、高津さんの取り組む最先端の技術を、先頭に立ってどんどん進めて、日本を変えて下さい!」
まずは、余計なことは考えず、日本の明るい未来のために前進あるのみ、ですね。
大変失礼いたしましたm(_ _)m

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