見出し画像

【息ぬき音楽エッセイvol.32】 キース・ケニフと津原泰水 by 村松社長

みなさまこんにちは。カロワークスの村松社長です。
年々過酷になる猛暑に加え、地震や台風で大変なことになっている2024年夏、みなさまご無事でお過ごしでしょうか。

お盆、弊社は毎年のことながら特に休みを取るでもなく通常営業でした。
ここ数年、自分の夏休みも夏の間に取ってないなぁ…。今年は特にプライベートの方で少し忙しく、そのために休みを溜めておこうという作戦。

社長はよくnoteでも「プライベート」とか言いますが、弊社は社長も含め二足のわらじ、つまり会社とは別の仕事?活動?をしているメンバーばかりなのですよ。なので正しくは「プライベート」ではなく「別名義」のような感じでしょうか。
今日はそんなお話をしたいと思います。



さてみなさま、小説家・津原泰水さんをご存知でしょうか。

1964年広島生まれの幻想・SF・ミステリ小説家なのですが、大変残念なことに2年前の2022年、58歳の若さで急逝されました。
SF好きの社長としては、亡くなる前からお名前は存じ上げており、短編もいくつか読んではいたのですが、2020年のコロナ禍真っ只中に全文が無料公開された「五色の舟」(2011年、『11 eleven』所収)を改めて読み、うわー、やっぱりこの人すごいな、と思ったのでした。

まだ当時のまま無料公開してくださっているので、お時間あればぜひ。


そしてですね、亡くなってからはじめて津原さんのプロフィールを読んだのですよ…。すると衝撃的な一文を発見してしまいまして…。

1989年のデビューから1996年まで、津原やすみ名義で少女小説を執筆した。

「津原泰水」Wikipediaより

…え?!…は、はい……?!
私、小学生のとき津原やすみめちゃくちゃ読んでたんですけど……?!
まさかの同一人物?!!??


なぜそれまでちゃんとプロフィールを確認しなかったのか、しかも同じ名前だし隠さず公表していたのに、小学生のときかなり愛読していた(なんなら全巻持ってた)作家に、大人になって気づかずに再会していたのでした…。衝撃。

ちなみに、社長が全巻持っていたという津原やすみさん名義の少女小説は「あたしのエイリアン」というシリーズなのですが、随所にデヴィッド・ボウイの歌詞が散りばめられているそうです。ここでもだいぶ伏線回収感があります…。


作家やアーティスト・ミュージシャンで別名義を使い分ける、という方はたくさんいらっしゃいます。
有名なところだと米津玄師さんの「ハチ」(ボカロP)、赤瀬川原平さんの「尾辻克彦」(純文学作家)などなど。
ユーミンこと松任谷由実さんの作詞・作曲家としてのペンネーム「呉田軽穂」なんていう例もあります。

ここでミュージシャンとしての例で取り上げるのが、キース・ケニフさん。

アメリカ・ペンシルベニア州生まれのアーティストで、本名(Keith Kenniff)での活動のほか、パートナーであるHollie Kenniffとのバンド「Mint Julep」、ポスト・クラシカルなピアノ曲を発表している「Goldmund」、アンビエント寄りエレクトロニカの「Helios」、双子の兄弟とのユニット「SONO」という、けっこうな数の名義をお持ちの方です。

社長は最初にGoldmund名義のピアノ曲に魅了されて聴き始めたのですが、どの名義もそれぞれ違っていて、しかも同じ人だとわかるくらいの統一感があり、良いのですよね。


別名義を使い分けること・いろいろな名前(顔)を持つことは、自分の経験からしても一長一短があって、”名前を売っていく”という考えからすると「ひとつに決めたほうがいい」という意見も多いです。

しかしながら作品を受け取る側からすると、その人の知られざる一面や別の顔を見ることができて、何だかちょっと得したような気持ちになりませんか?

それではまた次回〜!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?