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激辛の鏡 | 毎週ショートショートnote

夜の学校の時計台の前に立ち、
右手と左手に手鏡を持って合わせ鏡を作り、
そこに自分の顔を映すと『呪い』が起きる。
鏡に映る自分の顔は、
奥に行けば行くほど遠くなるが、
一番最後に映る顔だけが
ミイラのような形相をしていて、
それを見てしまった人間は
地獄へ連れさられてしまうそうだ…

そんな噂を聞き、僕と白川君は夜の学校に忍び込んだ。

両手に手鏡を持ち、合わせ鏡に自分の顔を映す。
恐る恐る鏡を覗き込むと…一番奥にミイラがいた。

干からびた顔に落ち窪んだ目元。荒れた唇が開き、
『地獄へ来るか?』と話しかけてきた。呪いは本当だった。

「白川君、今だ!」

事前に打ち合わせていた通り、
右手の鏡を白川君が用意した『激辛の鏡』に持ち替えた。

奥に映ったミイラは激しくムセだし、
「ゲホゲホ!かっら!何これ!二度と呼ぶなバカ!」
と言い残し涙目で消えていった。

呪いに勝った。

白川君と抱き合って喜んだが、
激辛の鏡に映り込んだ代償で僕もムセ返っていた。

(410文字)


たらはかにさんの企画に参加させて頂いております。

お題はこちら。

#小説 #ショートショート #毎週ショートショートnote #激辛の鏡


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